リオとタケル

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672749

感想・レビュー・書評

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  • 筆者の中村安希はアメリカのカリフォルニア大学アーバイン校演劇学部卒であるが、本書の題名となっている2人、リオとタケルは、筆者の恩師である。
    リオとタケル本人たちばかりではなく、彼らを知る多くの人たちへのインタビューを通じて、リオとタケルとはどういう人たちなのか、および、彼ら2人の関係性、および、周囲の人たちの関係性等をクリアにしていこうとするのが、本書の流れである。
    リオとタケルは、プロの演劇家であり、プロの演劇デザイナーであり、そして、優れた教育者であり、更には、とても立派な人格者だ。そして、2人はオープンリー・ゲイのカップルでもある(オープンリー・ゲイは、自分がゲイであることを周囲にオープンにしている人たちのこと)。2人はとても魅力的な人物であるが、その2人を描くと同時に、中村安希自身のカミングアウトも加わる。それは、中村安希のセクシャリティ、自分をバイセクシャルであると考えていることや、DVのある家庭で育ったことや、あるいは、小さい頃に性的暴力を受けたことがあること等についてである。
    演劇家としての2人、教育者としての2人、ゲイのカップルとしての2人、そして、中村安希自身のセクシャリティについて、という多くの流れが本書にはある。
    インタビューを通じて紡がれる話は興味深いものが多く、それなりに楽しんで読めたが、やっぱりテーマが絞り切れていない感覚はぬぐえない。中村安希自身が実際に何を本当に描きたかったのか、もう少しクリアになっていた方が面白かったような気がする。

著者プロフィール

ノンフィクション作家。1979年、京都府に生まれ、三重県で育つ。高校を卒業後、渡米。カリフォルニア大学アーバイン校舞台芸術学部を卒業する。アメリカと日本で三年間の社会人生活を送ったのち、取材旅行へ。訪れた国は六十五に及ぶ。2009年、『インパラの朝』(集英社)で第七回開高健ノンフィクション賞を受賞

「2011年 『Beフラット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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