ラジオ深夜便 うたう生物学

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 97
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797674095

作品紹介・あらすじ

世界が違って見えてくる。
ラジオの人気コーナー、待望の書籍化。

NHK「ラジオ深夜便」の人気コーナー「うたう生物学」が一冊の本に。生物の不思議や成り立ちをわかりやすく解説。日常の生活や物事を生物学の視点で覗くと新たな発見がある。『ゾウの時間 ネズミの時間』の著者が書いた生物学入門エッセイ。毎回、放送の最後にうたう、オリジナルの歌付き。

「放送はもう四年目に入っていますが、最初の二年半分の放送原稿にかなりの手を入れ、このような本にしました。多くの話題はすでにあちこちに書いたものですが、一五分読み切りの形にこうしてまとめると、話の論点がはっきりして悪くないなとにんまりしています。(中略)一回一回が読み切りです。寝っ転がりながら読むのを前提にしていますので、どうぞ気軽にページを開いてみて下さい」(はじめにより)

【目次より抜粋】
出前授業「生き物は円柱形」/ナマコはすごい!/僕らの体はすごいのだ!/昆虫はすごい!/ヒトデはなぜ星形か/貝殻はなぜ渦巻きなのか/生物とは何だろうか/ゾウの時間 ネズミの時間/通勤電車は虫かごなみ/大きなシステムの中の構成員は働かない/体は水でできている/人はコケながら歩く/車輪動物はなぜいないのか/味について/長寿について考える/生物学から現代文明を考える/桜の花びらは五枚/東京はどれほど密か ほか

【著者略歴】
本川達雄(もとかわ たつお) 生物学者、シンガーソングライター。1948年、仙台市生まれ。71年、東京大学理学部生物学科卒業。東京大学助手、琉球大学助教授(86年から88年までデューク大学客員教授)、東京工業大学大学院生命理工学研究科教授を歴任、東京工業大学名誉教授。理学博士。専攻、動物生理学。著書に『ゾウの時間 ネズミの時間』『生物多様性』(ともに中公新書)、『人間にとって寿命とはなにか』(角川新書)ほか多数。

感想・レビュー・書評

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  • 自分が生物が好きだからかもしれないが、とても面白かった。専門的なことも説明されているところもあるが、やさしい文語ですんなり入ってくる。
    生物の種に着目した章だったり、門についての章、体サイズに着目した章など幅広くて飽きなかった。
    花弁がなぜ奇数なのかの説明や、体の小さな動物と大きな動物・子供と高齢者の時間の説明が中でも納得感があって興味深かった。
    人間社会から抜け出して、生物学的な面からヒトを見直してみると新しい視点が得られて面白いなと改めて感じた。

  • 気取りのない生物学のエッセイ集。もともとはラジオ番組のコーナーから始まっているので、耳で聞いた方が楽しそうな内容。
    著者の著作である『ゾウの時間 ネズミの時間』を読んで置くと、更に楽しめるのではないかと思った。

  • この著者の作品に失敗作はない。
    どの本からも、さまざまな生き物たちの生き様から生命のかけがえのなさ、不思議さ、面白さがコンコンと溢れるように湧き出て来る。
    おまけに各章の内容の要約を歌詞にし、さらにそれに曲までつけてしまうという才人ぶり。
    何度もおいしい名著。

  • 面白いといえば面白いんだけど
    ラジオ聴いてた方がおもしろいのかな、
    なんかわからないし、ちょっと読みたい感じと違ったかも…

  •  いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
     本川達雄さんの著作は、以前も「ゾウの時間ネズミの時間」「生物多様性」などを読んだことがあります。親しみやすい語り口で紹介される生物の世界はとても面白く刺激的ですね。
     本書は、NHK「ラジオ深夜便」の人気コーナーを書籍化したものとのこと。「生物」をテーマにしたバラエティに富んだエッセイという体で、興味深いネタが数多く紹介されていました。

  • 生物学のいろいろな話

  • なるほどーと、あたらしい発見があるうえにわかりやすくておもしろい。

    ▼簡単なメモ

    【歩き方】爬虫類は横に張り出した手足を身体をくねらせることで動かし移動する。ほぼ魚と同じメカニズム。ちなみにすり足(ナンバ歩き)はこの歩き方。
    【円柱】生物のパーツは円柱形のものが多い。
    【大きさ】大きくなるほど表面積の率は低くなる。
    【エネルギー消費量】人間が食べる食物の量は一日百二十一ワット。電気や天然ガスなどの形で使っているのは三千三百ワット。身体の時間は縄文時代から変わっていないのにエネルギー消費量は三十倍、要するに生活の時間は三十倍になっているギャップが現代の息苦しさ。またエネルギー消費量は体重の四分の一に反比例して減っていくという法則があり大きいものほどエネルギー消費量は減る。
    【親子】生物学的には子と親は同一のもの。
    【オルガニコン】生物の目的。アリストテレスが名づけた。
    【拡大版生殖活動】子どもを産めない年齢になっても生き続けるために次代のたすけを行う。
    【辛み】辛みを感じるのは味覚センサーではなくトリップチャネルという温度センサーなので触覚の部分。辛い=熱い。メントールやワサビもトリップチャネルが感じる。
    【クチクラ】昆虫の殻。小さい羽虫は羽を筋肉で動かすのではなく羽がついたクチクラの箱の振動で飛ぶ。
    【五弁の花】偶数だと花弁の示す方向が重なってしまい効率が悪いので多くの方向に対応するため奇数になったのではないかと。
    【時間】アリストテレスによれば「時間とは前後に関しての変化の数」。生物のエネルギー消費量が固有の時間を定める。体内の化学変化の速度が生物的時間といえる。老人はエネルギー消費量が下がるので時間もゆっくりになるので若者とは異なる世界に存在する。東洋では循環する円としての時間だったが現代はキリスト教世界的な直線的な時間が世界を支配している。
    【四足類/しそくるい】魚が進化して四足類となったわけだがその中では両生類がご先祖でそこからは虫類や哺乳類に進化した。
    【島の規則】小さいエリアに隔離されると大きな動物は小型化が進み、小さな動物は大型化する。
    【人口密度】人間の動物としての適正な人口密度は一キロ四方に一・四人。現在の日本平均の人口密度は一キロ四方に三百三十五人。人口密度から逆算すると人間の体重は一三四グラムでないといけないのでほぼドブネズミ並。東京は全国平均の二十倍の人口密度なので適正体重は五・三グラムでトガリネズミ並でないと苦しい。
    【ゾーエー】ギリシャ語。動物園の語源。親から子へとずっと伝えられていく生命活動=遺伝子のことなので死なない。
    【ナマコ】ナマコは超省エネ動物。エネルギーを使う器官をほとんど持っていない。毒と堅い皮を持ち砂(につくバクテリア)を食うので持つ必要がない。
    【ビオス】生物個体のことなので死ぬ。バイオの語源。
    【文明】硬いこと。速いこと。活動時間を増やすこと。恒環境。
    【水】水の分子サイズだと本来沸点は摂氏マイナス八十度くらいだが水素結合のおかげで大きな分子のようになっており摂氏百度まで沸点が上がっている。温めにくく冷めにくいのも水素結合のおかげ。ゆえに水中の環境は変化しにくいという特徴がある。人間は体重の六割が水。赤ん坊では八割、老人では五割くらい。
    【レジリン】ゴムのような弾性タンパク。ノミのジャンプやバッタの飛翔に使われる。

  • ゾウの時間ネズミの時間の著者だった。
    子どもにも分かりやすく書かれている、面白い。
    ラジオ聞きたい。

  • 動物たちは体に見合った生活をしているが、現代人は体に本来備わっている空間の広さや時間の早さから極端にはずれてしまった。かえってはずれさせるのが良いことだ、限界を打ち破るのが文明の進歩だと努力した。
    これではどうしても体に無理がくる、社会システムにもほころびがでる。
    ……コロナも温暖化も根は一つ。エネルギーを使ってあまりにも時間を早くしたことの付けが襲いかかってきているのだ。
    生物学者である本川達雄さんの思いに同感する。
    カネカネカネの資本主義がもたらした災厄をどう克服するか答えは明白だ。

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著者プロフィール

生物学者、東京工業大学名誉教授。

「2019年 『生きものとは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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