全国マン・チン分布考 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 306
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680300

作品紹介・あらすじ

女陰語はいやらしい言葉ではなかった! 多重円を描く方言分布図を丹念に辿り、その起源を究明。マラの梵語説を覆し、辞書のミスを指摘する。言葉の奥にある心にも迫る、空前絶後の女陰・男根語研究書!

感想・レビュー・書評

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  • これも『全国アホ・バカ分布考』のように、ある視聴者からのハガキが元だった。ただし、女陰・男根語は放送禁止用語であるため、テレビでは取り上げることができなかった。

    「アホ・バカ」と違って、話はスピーディーに進んで行く。ただし、実際にかけた時間は23年!

    今回は、もう調査方法は確立されているし、大学の先生方の知り合いも増えた、一次史料もすぐに取り寄せる。すっかり在野の学者としての風格が見える。

    もちろんこれらの語も周圏分布を示した。ただ、アホ・バカと違って、一種タブーのような扱いを受けた語であるため、また違った苦労がつきまとう。数ある辞書も詳細に事欠き、ついには広辞苑を始めとする辞書の間違いをも指摘することになる。

    ここでも著者の執念である。そもそも新たな命が生まれ出る箇所が禍々しい言葉を語源とするはずがない!そこから、広く認知されていた語源について、徹底的に疑い、調べ尽くしていくのだ。

    調べるうちに、女陰・男根語がタブーとされ卑猥な印象を持つようになったのは、極々最近の話であることも分かってくる。

    最後には、当初調査依頼をしてくれた視聴者に直接会って周圏地図をプレゼントする。
    京都では仕上げの会を催す。
    そこから、著者の大いなる想像力が花開き、、、と言う大団円。

  • 人気番組「探偵!ナイトスクープ」のプロデューサーだった松本修氏が番組では、放送禁止コードに引っかかるため残念ながら取り上げられなかった女陰・男根に関する日本語について全国分布をまとめたものです。新書なのですが、学術的にもきちんと調査されていて日本国民必読の内容です。松本氏の文章もどこまでも紳士的で好感が持てます。卑猥・穢れ・下品・変態などの負のイメージが強い言葉ですが、ルーツを辿れば気品のある素晴らしい言葉でした。

  • 「アホ•バカ分布考」ほどのインパクトはなかったかなあ。。

  • アカデミックではないから、自由に研究ができる。
     在野研究の見事な成果。

  • 興味本位で読んでみたが、実に学術的に素晴らしい仕事で、圧倒されることになった。各地の方言を採取しそれが京を中心に同心円状に分布している事を示すことによって、元々時代ごとの御所や宮中での高貴な女房言葉だった可能性を論じている。この論考は調査結果と数多くの文献をベースにしているので説得力がある。
    また、広く流布されているマラの梵語説は、実は証拠を見出せず、それらを無批判に取り入れている言語学・民俗学の有名人にも容赦なく批判を浴びせている。このような分野をあまり真剣に論ずるつもりがなかったのだろうと!
    最後は筆者の夢想による大円団が描かれるが、人によっては余計と感じる向きもあるようだ。ただ、私はこれで、この著者がTVの世界出身であった事を思い出させるのである。

  • 始まりは23年前のナイトスクープの依頼、性器の呼称について大真面目に分布図をまとめている本です。まさかの350ページです。

    女性のは放送禁止用語なんですね。男性のはいいのに。
    オメコやマラは聞いたことあるけどホト、マンジュー、ボボ、ヘノコ、カモ、シジとか聞いたことなかった!
    饅頭とか辺野古とか…

  • 2/18は「方言の日」
    放言の収集・分析・検証によって、学術的レベルで隠語を突き詰めた一冊。
    新書大賞2019、19位!

  • ネタはおもしろいが、若干くどい。
    遠回りした文章の面白さはあるが、冗長な感じがしてあんまり好きじゃない。

  • あの「アホ・バカ分布考」の探偵ナイトスクープ松本さんが、同じく投書をもとに男根と女陰の名称を調べたという大作。
    いやいや、文化人類学ですよ。民俗学。アホ・バカと同じように、京都を中心とする同心円で言葉が伝わっていくということと、性がタブー視され言葉が秘められること、いろんなテーマが含まれています。
    放送禁止用語になって、番組で取り上げられることがなかったのが残念です。

  • 読んでもモヤっとするだけ。
    無駄に会話シーンの再現が多く、本の厚みは即ちこの会話シーンの無駄な内容で膨れ上がっただけのものだとしか思えない。
    肝心な語源の説明などになると筆者のコジツケや「そうであって欲しい願望」、ほかにも、私はこっちの方が好きだからこうでしょう、みたいな意味不明な理由で説明をまとめ、取材や調査の背景にあった個人的な交流や思い出を美談的にケツに付け足して色を添え、終わり。
    これで1100円税抜。
    「そこのあなた!ニヤけてないで。」(本帯)
    いやいや、全く面白くなく、ニヤけるポイントがみつからない。
    「本書はまことの学問です。」(本帯)
    学問かじった素人のエッセイにしか思えない。
    学問やと言う割に、冒頭部でしっかり自分の業績自慢、終いには方言研究の徳川先生と交流があると言い出したかと思いきやまさかのダメ出し。
    大学で講義受け持った時に誰それさんを讃えました、ってあなた何様?
    勘違いさんの勘違いな本。
    可也頑張って読んだが、最後まで辿り着く気力なく、売却。

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著者プロフィール

1950年生まれ。文学座の俳優を経て、演出家として演劇集団MODEを立ち上げる。独自の手法によるチェーホフや、カフカの舞台化などにより、高い評価を得る。現在、近畿大学文芸学部芸術学科教授。

「2018年 『ぼくの演劇ゼミナール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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