迷える英語好きたちへ (インターナショナル新書)

  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680607

作品紹介・あらすじ

・英語民間試験導入は最悪の改革だ! ・小学校英語は百害あって一利なし!
・スピーキングの指導を学校でやる必要はない! ・オーバーシュートは英語にあらず!
「百万人の英語」やNHK「ニュースで英会話」の講師を務めてきた鳥飼久美子と、東京大学で長年、英語教育者育成に携わってきた斎藤兆史による対談と書き下ろしを収録。日本で最も信頼されている英語のエキスパートが、迷走する英語教育政策に翻弄される学生・教育者たちの疑問・不安に応え、「日本人と英語」の理想的な付き合い方について教えます。

【目次より】(抜粋)
第1章 対談1 民間試験導入狂騒曲
大学入試の「民間試験」導入とは何だったのか?/採点者も採点基準も曖昧/民間試験にもミスやトラブルはある/学校の勉強では受からない試験を生み出すシステム
第2章 「四技能」という「錦の御旗」 鳥飼玖美子
「四技能」は古い!? 今は「七技能」だ!/コロナ以後の社会に英語は必要か?
第3章 四技能信仰の問題点 斎藤兆史
四技能には考える力は含まれていない/英語の四技能をバランスよく教えるのはいいことか?
第4章 対談2 日本人の英語の現在、過去、そして未来
「小学校英語」で何が起こっているのか/英語の先生が間違えるかもしれない、という危うさ/日本から英語教師がいなくなる?/英語だけでノーベル賞はとれない
第5章 カタカナ語を活用した英語学習 鳥飼玖美子
新型コロナ感染症対策で頻出したカタカナ語/オーバーシュートをめぐるミステリー/東京アラートの不思議
第6章 日本語を脅かすカタカナ英語 斎藤兆史
ピークアウト、インバウンド――カタカナ英語の感染力/日本語の生態系を守るべき
第7章 メデイアの英語講座 鳥飼玖美子
NHK「ニュースで英会話」/「世界へ発信!SNS英語術」/テレビ英語番組のこれから
第8章 実用と教養のはざまで――私が関わった英語番組 斎藤兆史
NHKテレビ「英語でしゃべらナイト」/NHKラジオ「原書で読む世界の名作」
第9章 文学を用いた英語学習法 斎藤兆史
すぐれた英語教材としての文学作品/名作冒頭の一文だけで英語の復習/英語に時制は二つしかない
第10章 英語で文学作品を楽しむ 鳥飼玖美子
文学の知識が英会話に生きる/世界の名著を英語で読んでみよう

【著者略歴】
鳥飼玖美子(とりかいくみこ)立教大学名誉教授、東京都生まれ。サウサンプトン大学大学院博士課程修了。1960年代から同時通訳の草分けとして活躍。『本物の英語力』(講談社現代新書)など著書多数。
斎藤兆史(さいとうよしふみ)東京大学教授、栃木県生まれ。英ノッティンガム大学英文科博士課程修了。専門の英語文体論・英語教育の他、英文学の翻訳も多く手がける。『英語達人列伝』(中公新書)など著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • 英語研究者でNHKの英語教育番組の監修や英文学の翻訳に携わる二人が日本人の英語教育諸々に対して議論をする。
    著者自らが認めるように二人の主張は似通っている。ひらたく言えば、英語教育について色々と声高に議論されているが、それは本当に正しいのか考える必要があり鵜呑みにしてはいけないということ。
    言いたいことはなんとなくわかるが、教育論に関する言及が多く、目先でともかく使わざるを得ないビジネス英語にはちょっと応用しづらいのが残念。

  •  改めて、英語学習は楽なものではなく、根気と努力が必要なのだと再認識しました。
     あまり、英語の本を読んだことが無かったことに後悔しました。今からでも読めるかな?

  • ●全てを鵜呑みにするわけではないが、大学入試への英語民間試験導入は危ういなっていうのがよくわかった。

  • 改めて英語教育について考えた。
    今の日本は英語できたらすごい、みたいな風潮あるけど、世界規模で考えたら英語で語る何かがないと。
    学校の決められたつまらない教科書よりも自分の興味あることを視野広く世界規模で考えなければ。

  • 何のために英語を勉強するのか
    大人になってからもずっと英語の勉強を続けている私は、いろいろ考えさせられました。
    この本を読んで、あらためて目的を考えました。
    1 英語のドラマや映画を字幕に頼らず楽しむこと
    2 地元で海外からの観光客のボランティアガイドをすること
    これからも勉強を続けたいと思います。

  • 大学入試の改革に問題があることはよくわかった。これからの日本の成長のために英語は不可欠だと思うのだが、翻訳アプリでもいいよね。
    平泉、渡部の英語教育論争の話が面白かった。

  • 日本の英語教育の問題点、コロナ禍におけるカタカナ英語多用の問題、英文学を用いる英語学習法について書かれている。長年英語を勉強してきた人なら納得できる部分ばかりかもしれない。

  • 興味深く読ませてもらった。
    対談形式ということも関係してると思うが、現行体制の批判が主となり、英語教育に必要な力が何かという点に対して詳しい説明や考え方が、詳しく書かれていなかったのが残念だった。あくまでも英語教育に対する導入編として書かれたものであると感じる。
    ただ、最後の方の英語の勉強の仕方は興味深く参考になるものだったので、そこら辺の教え方、英語教育に対する考え方の体系立てたものを、両作者の著書を追って学びたいと思えた。

  • 自分のこれまでの英語学習についての考え方をかなり変えさせられた。自分も「日本人が英語が不得意なのは読解と英作文に偏ったこれまでの英語教育のせいだ、と軽々しく発言している経済人や政治家」と同じことを言っていた。小学生のころから簡単な道案内や自己紹介を英語で言えるようにしたとしても、パーティーでネイティブスピーカーと楽しく話し合えるような会話力が身につくわけではない。これまでやってきた中学・高校での英語読解と文法の基礎をしっかりマスターしたうえで、個々人が勉強を継続することしか全く異なる言語である日本語を母語とする我々が上達する道はない、という主張は説得力があった。大学入試に「英語四技能」の導入は不要なばかりか、高校生が読解と文法の勉強にかける時間を減らす点で害悪である。
    一昨年引退するまで化学系の研究者だった自分にとって、大学の研究室から企業の研究所時代を通じて英語の文献を読み、英語論文を書く能力が仕事上のパフォーマンスに大きな影響を与えたことは間違いない。一方でオーラルコミュニケーションで十分に仕事ができる研究者は自分も含めてほとんどいなかった。このような国でも科学分野で30人近いノーベル賞受賞者を輩出しているのである。

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著者プロフィール

立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科教授(研究科委員長2002-2005、2008-2010)を経て立教大学特任教授、立教・異文化コミュニケーション学会(RICS)会長(2009-2011)。著書『通訳者と戦後日米外交』(みすず書房2007)(単著)Voices of the Invisible Presence: Diplomatic Interpreters in Post-World War II Japan(John Benjamins, 2009)(単著)『通訳者たちの見た戦後史――月面着陸から大学入試まで』(新潮社2021)(単著)。

「2021年 『異文化コミュニケーション学への招待【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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