「プランB」の教科書 (インターナショナル新書)

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  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797681055

作品紹介・あらすじ

すべてのは失敗する!
予測不可能な現代において、組織が生き延びるため「プランB」とは?
行動経済学と豊富な実例に裏打ちされた「危機の時代の経営学」テキスト、登場。

■コロナ禍、ウクライナ侵攻、原油高、台湾海峡の緊張──世界は、日本はまさに予測不可能な時代に突入した。
■この現代において、すべての「プランA」は失敗する危険性をはらんでいる。その中で重要になるのは、状況に変化に即応するための「プランB」(代替案)であるのは言うまでもない。
■しかし、企業のみならず、日本の組織は「既定の方針」にしがみつき、それを改めることに躊躇してしまう。その代表例がコロナの水際対策であり、また東京オリンピックの強行開催であった。
■いったいなぜ組織はプランBを実行できないのか? そしてその真の原因はどこにあるのか? 最新の行動経済学を駆使して語る「危機の時代の経営学」がいよいよ登場!
■冨山和彦氏【経営共創基盤(IGPI)グループ会長】、藤野英人氏【レオス・キャピタルワークス 代表取締役社長】が絶賛!

【著者略歴】
尾崎弘之(おざき ひろゆき)
1984年、東京大学法学部卒業。同年、野村證券入社。モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント(93年)、ゴールドマン・サックス証券バイス・プレジデント(95年)、同投信執行役員(98年)などを歴任の後、アカデミズムで自らの経験を理論化する道に転進。2005年東京工科大学大学院バイオ情報メディア研究科教授・コンピュータサイエンス学部教教授、15年神戸大学大学院経営学研究科教授、16年同大学院科学技術イノベーション研究科教授など。

【本書の目次より】
はじめに──「完璧な」プランなど存在しない

第一章 「想定外の時代」に生きるために
東芝はなぜ凋落したか/データ分析には「落とし穴」がある/「そうは言っても大丈夫だろう」シンドローム/なぜすべての会議はうまく行かないのか

第二章 あらゆる「プラン」は修正を迫られる
「プランA」が行き詰まるとき

第三章 「プランB」はなぜ発動できないのか
集団思考という魔物/独裁的な起業家でさえ軌道修正ができない

第四章 「悪魔の代弁者」の助けを借りる
「レッドチーム」を機能させるための鉄則

第五章 アイデア集約と実行のための仕組みを作る
オープンイノベーションの仕組み作りを利用する/市場を柔軟に選択せよ

第六章 AIには不可能な「課題発見」スキル
AIの強さとその限界/アーティストと起業家の共通点/知覚を研ぎ澄ます手法

第七章 集団思考を打破する「説得術」
プレゼンは「アリストテレス」に学ぶ/エトスなくして説得なし/信頼されるリーダーの条件とは

感想・レビュー・書評

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  • A案と採用されなかったB案があるが、いざというときにB案へシフトできない背景が少しわかった
    具体的な会社での事例は理解しやすいが、これはビジネス書の定番の構成だと思うので、もう少し構造的な部分が語られてそこを理解できるとありがたい

  • シンプルなタイトルそのままの感想だけれど、本書はプランAだけではダメな理由とプランBの必要性を説いた教科書であり「ではどうすれば?」のヒントが盛りだくさんの参考書でもある。
    通常よりは長めの「はじめに」から目次を追って読むだけでポイントはわかるし超重要なところは網かけで強調してあるのも親切で実用的。
    印象的なフレーズもてんこ盛りで最後まで興味深い。参考文献も充実。

  • 当初の予定「プランA」でいけるのであればそれに越したことはない。
    しかしながら「プランA」を当て続けるのは神でない限り不可能だし、当初はうまくいっていた「プランA」であっても社会情勢や顧客ニーズの変化とともに必ずワークしなくなる時が来る。
    そのため「プランB」を持っておくことは必須。
    また、「プランB」は次善策などと訳され、「プランA」よりも重要度が低いものと思われがちだが、まずトライとしての「プランA」とそれに対するリカバリーショットとしての「プランB」と考えると、「プランA」よりも難易度は高く重要性も高いのかもしれない。

    その「プランB」についてたくさんの実例をあげながら丁寧に解説。面白い。

  • ゴールデンウイークに本屋で新刊のコーナーを見ていたらちょっと難しそうかもしれないが読んでみようと思って購入。これが意外と分かりやすくて秀逸な内容だった。意思決定科学、心理学、行動経済学のよい教科書としての一面と実践的なビジネス書としての一面を併せ持つ内容に感じた。全体の話がきちんと構造化されていてさすが大学の先生はまとめ方うまいよねぇと思わせてしまう、そんな本。

    キチンと図を使って概念枠組みを示している。当初のプランAが実行できなくなる不適応状態について様々な角度から環境要因やその他様々な要因を分析している。プランAを実行できなくなる、ここまではよいが(まぁ柔軟性が組織に不足という意味ではよくないのか?)プランBを発動できなくなるというこちらの分析が秀逸。舵を切ることができずに過去の成功体験、トップマネジメントの場の雰囲気が原因になる話は、山本七平の「空気の研究」に通じるなぁとおもったら筆者も「空気の研究」をあげてきた。おぉ、なるほどそうだよねぇ、と納得。ここで私が秀逸だと思ったのは分析をしたうえでプランBを発動促進する施策を提言しているところだ。

    悪魔の代弁者、仕組みづくり、AIにできないSomething(詳細はこの本を読んでもらいたいが)の中から自分にやれることを組織の中でやっていこうと思った。もはや出世することもないだろうということで気楽な身分だろうし(笑)。

  • 2023.06.13
    プランBの重要性はよく理解できた。しかし、実践は難しいと思う。
    最近改めて思うのは、日本社会で組織のトップに立つ人はプランBの重要性は「わかっている」ものの、それから目を背けて、「自分の任期の間」だけ良ければそれで良しとする「悪魔の思考」に身を委ねることができる「靭さ」を持つ人だとつくづく思う。
    私はそういう鉄面皮な「強さ」は自分にないのをよくわかるので、自分の出世もこの程度なのだと理解した。もっと早くに「鉄面皮」に徹すればもっと上に行けたと思うがそこまで「強く」なれない自分の限界もわかる。

  • 名著だと思う。まさに現在の名著。
    タイトルだけでピン!とくるものがあった。
    内容は少し私には「堅いな〜」と思ったけど、
    それは私のレベルの問題。
    示唆に富んだ話がありすぎて溺れそうですが、
    まさに読み応えがありました。
    実践は難しいけどなぁ、個人では。
    でも、知っておいて損は無いことばかりです。

  • 新鮮さはないものの、理論構築の背景に様々な理論が散りばめられていて、これまでの自身の活動の振り返りになった。

    アリストテレスの弁論術を勉強しようっと。

  • 2022年10月号

    優れた「プランB」を作っても、実行するのは難しい。では、どうすれば良いのか?その方法の一つとして、「悪魔の代弁者」の助けを借りるというものがある。

  • はじめに──「完璧な」プランなど存在しない

    第一章 「想定外の時代」に生きるために
    東芝はなぜ凋落したか/データ分析には「落とし穴」がある/「そうは言っても大丈夫だろう」シンドローム/なぜすべての会議はうまく行かないのか

    第二章 あらゆる「プラン」は修正を迫られる
    「プランA」が行き詰まるとき

    第三章 「プランB」はなぜ発動できないのか
    集団思考という魔物/独裁的な起業家でさえ軌道修正ができない

    第四章 「悪魔の代弁者」の助けを借りる
    「レッドチーム」を機能させるための鉄則

    第五章 アイデア集約と実行のための仕組みを作る
    オープンイノベーションの仕組み作りを利用する/市場を柔軟に選択せよ

    第六章 AIには不可能な「課題発見」スキル
    AIの強さとその限界/アーティストと起業家の共通点/知覚を研ぎ澄ます手法

    第七章 集団思考を打破する「説得術」
    プレゼンは「アリストテレス」に学ぶ/エトスなくして説得なし/信頼されるリーダーの条件とは

  • p32 ローマ・カトリック教会には、その名に相応しくない人が聖人に選ばれないように二重三重にチェックをする機能がある それを担う人は悪魔の代弁者と呼ばれる

    p49 データはあくまでもデータであり、分析結果には、「こういった行動をすれば正解です」とはどこにも書かれていない。データは解釈されてこそ意味があるとも言える。そして、その解釈に基づいて意思決定がなされるときに、そこにバイアスや誤りが生じる。これがデータ活用型経営が失敗する所以である

    p116 失敗情報の特徴
    失敗情報は隠れたがる、単純化したがる、変わりたがる、ローカル化しやすい、神話化しやすい、

    p120 空気=group think
    次の3つが揃うと集団思考が起きる
     組織が類似した考えを共有して同調圧力が強いこと
     組織が外部からの批判を受け入れないこと
     組織が成果を求められるなど、強い圧力を受けていること

    p130 追認バイアス 自分の考えを肯定する情報ばかり目が行き、反対意見を無視する

    p135 脳は人数を実感できるが、コンマ以下の確率はイメージできない このように数字の表現方法によって印象が全く変わることを感情ヒューリステックと呼ぶ

    ヒューリスティックは古代ギリシャ語の発見するが語源で、論理的に考えずに直感で決めることを指す
    副反応が回復しないリスクが0.005%ということは実質ゼロと変わらないのに、なぜかどうしてゼロでないのかという強いこだわりが起こる

    p139 やらなかった後悔はしたくないという思い込み、バーディーパットは難しいという思い込み(メンタルアカウンティング)、ジンクスは当たるという思い込み、少ないサンプルで代表がわかるという思い込み(代表性ヒューリスティック)、見たものは信頼できるという思い込み、わかりやすいことは正しいという思い込み(利用可能性ヒューリスティック、想起容易性、検索容易性、具体性、結果が全てという思い込み

    p153 サンクコストの誤謬

    p158 事前に対処方法を考える死亡前死因分析(プレモータム分析) 決められた計画の関係者を集め、一年後失敗に終わるとして、どのような失敗が考えられるかを話し合う。集団思考を防ぎ、関係者の想像力を刺激し、反対意見を言いやすくすることが目的


    p50 情報収集を台無しにする思い込み
    分断本能、ネガディブ本能、直接本能、恐怖本能、過大視本能、パターンか本能、宿命本能、単純化本能、犯人探し本能、焦り本能

    p60 逃れるのが難しい成功の罠 サクセストラップ

    p65 会議の目的
    開催すること自体が目的、アリバイづくりが目的、ガス抜きが目的、情報共有が目的、ブレインストーミングが目的、実質的な意思決定が目的

    p116 失敗情報の特徴
    失敗情報は隠れたがる、単純化したがる、変わりたがる、ローカル化しやすい、神話化しやすい

    p121 空気、集団思考
    組織が類似した考えを共有して同調圧力が強いこと
    組織が外部からの批判を受け入れないこと
    組織が成果を求められているんなど、強い圧力を受けていること

    p135 脳は人数を実感できるが、コンマ以下の確率はイメージできない。 数字の表現方法によって印象が全く異なることを感情ヒューリスティック

    ヒューリスティックは古代ギリシャ語の発見するが語源で、論理的に考えず直感で決めることを指す
    可能性の効果によって、あえて期待値が低いものを選択することがある。副反応が回復しないリスクが0.005%ということは実質ゼロと変わらないのに、なぜか「どうしてゼロでないのか」という強いこだわりが起こる

    p139 やらなかった後悔はしたくないというおもいこみ 後悔回避
    バーディパットは難しいという思い込み 心理会計メンタルアカウンティング
    ジンクスは当たるという思い込み
    少ないサンプルで全体がわかるという思い込み 代表性ヒューリスティック
    見たものは正しいという思い込み
    わかりやすいことは正しいという思い込み 利用可能性ヒューリスティック
    結果が全てという思い込み


    数字に操られる
     すでに起きた損失に操られる(サンクコストの誤謬)、少額の赤字に操られる、ゼロまたはイチに操られる、無力なデータベースに操られる

    p211 すでにAIが実装された分野
    データを使った単純作業、画像音声テキストデータの分析、ルールがはっきりと決まっている土俵での意思決定、データに基づいた結果の予測

    人間の知性でなければできな課題設定

    p250 プレゼンはアリストテレスに学ぶ 弁論術
    説得の三原則 エトス(信頼)、パトス(感情)、ロゴス(論理)の三要素が必要

    p252 ダニエルカーネマン 人は与えられた情報が白か黒か瞬時に判断するシステム1とじっくり理性的に判断するシステム2という2種類の認知機能を備えている

    p259 信頼できる専門家とは、非常に狭い分野でありとあらゆる失敗を重ねてきたひと ニールスボーア

    p261 チャルディーニ 影響力の武器 信頼には返報性、権威、社会的証明、一貫性、好意、希少性が重要

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著者プロフィール

神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科教授1984年東京大学法学部卒業、1990年ニューヨーク大学MBA、2005年早稲田大学アジア太平洋研究科博士後期課程修了、博士(学術)。1984年野村證券入社、ニューヨーク現地法人などに勤務。モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント、ゴールドマン・サックス投信執行役員、複数のベンチャー企業の立ち上げ・経営に携わり、2005年東京工科大学教授、2015年から神戸大学教授。専門はベンチャー経営、オープンイノベーション 。経済産業省、環境省、沖縄県、経済同友会などの委員を務める。著書に『次世代環境ビジネス』(日本経済新聞出版社)、『環境ビジネス5つの誤解』(日経プレミアムシリーズ)『『俺のイタリアン』を生んだ男 「異能の起業家」坂本孝の経営哲学』(IBCパブリッシング)などがある。

「2018年 『新たなる覇者の条件 なぜ日本企業にオープンイノベーションが必要なのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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