歴代首相のおもてなし ~晩餐会のメニューに秘められた外交戦略 (宝島社新書)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800224583

作品紹介・あらすじ

饗宴で出されるものには、すべて狙いがあった!「各国首脳を迎えて行う饗宴の目的とは?」「料理人・メニューはどうやって決められるのか?」「首相官邸での饗宴と宮中晩餐会の違いは?」といった素朴な疑問から、安倍、小渕、森、小泉、福田、鳩山、菅ら歴代首相による"おもてなし"の違いや、その狙いと効果にいたるまで、外交手段としての「饗宴」を解説する一冊!聞けば誰もが食べたくなるような豪華絢爛なコース料理や年代物のワイン、人間国宝が作った酒盃に最高のサービス…。さまざまな政治的意図とシグナルを読み解けば、その背景にある世界情勢、そして日本の外交戦略の真意が見えてくる!

感想・レビュー・書評

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  • 料理などおもてなしも外交の大きな武器であることを示した本。勉強になる。

  •  「外交」の一つの側面を、饗宴という舞台を通して伺い知る。

     政治の場では、脅したりすかしたり妥協したりといろいろあるかもしれないが、饗宴というのは基本的には国家同士の、あるいは首脳同士の友好を深めるための場である。
     主催者は招待者の関心・歓心を引き出すために、両国の繋がりを感じさせるような食材や調理法、銘柄の選択に心を砕き、時節に合う由縁の装飾を用意する。
     特にこの本では日本の饗宴についてまとめられている。

     鉄板焼きが大好きなシラク大統領のために、わざわざ飯倉公館にそのための設備を運び込み、電圧を上げるための改装工事まで手をかけたというエピソードなど、そこまでやるかという甲斐甲斐しい準備もあったりしてビビらされる。
     その国にとっての重要度を示すため、各々もてなしのレベルに差をつけるというのにも少し驚いた。

     印象に残ったのは、洞爺湖サミットでの晩餐会に対して、その豪華な料理が、会議の議題(食糧危機)と矛盾しているとして批判を受けたという話だ。
     外交饗宴の情報が世間一般にも公開されるようになった今、世間の注目もまた加味した上で、相応しい饗宴を作り上げることが求められている。
     現にその3年前の英国のグレンイーグルズ・サミット(アフリカ支援を議題とする)では、3コースに絞った簡潔なメニュー・G8国家全てのアルコールを出す計らいを見せている。こういった視点での配慮の仕方もあるというのが、日本も学ぶべき点として浮かび上がったといえそうだ。

     しかしそれにしても、メニューを見るだけでも、品数の多さや食材の使い方のなかに、何となく日本の繊細かつ多彩な料理の凄さを感じ取ることができるような気がした。飲物に関しては最初は無難な感じでフランスワインを選んでいたのが、日本製ワインを活用するようになるなど、しだいに工夫されるようになってきたというのが面白い。

     近年は、饗宴を和食アピールの場として積極的に使っているようで、そうした積極性に乏しい印象のある日本にとって、頼もしい戦略だ。

  • 外交において料理は大事なおもてなし。

    裏方の苦労がよくわかる本。

  • 和食アピールに本気出すため 農水省がしきりだした

  • 20140703読了
    政治の延長にある、首相官邸での饗宴。相手に何をアピールするのか、意図によってメニュー構成も変わってくる。国のトップが集って単に贅沢しているのではなく、これも大事な外交戦略のひとつだと知らしめてくれる本。●「第14章 食をともにする」話すことがなくても仲が悪くなっても、国のトップ同士はとにかく会って食事をするルールを作ったドイツとフランスの大人な関係。●日本産のワインを官邸自らこんなにプッシュしていたとは知らなかった。そんなにレベルが高くなっているとは。●小渕首相は饗宴外交に長けた人物だったのねーと、今さらながら。食事場面でのおもてなしというのは、首相本人のセンスも影響するものなんだろうと思う。

  • 東2法経図・開架 KW/2014//K

  • 官邸での饗宴に関するエピソードが多数。ロシアのプチン大統領、仏独首脳、米ホワイトハウスの菜園、仏エリゼ宮のシェフ等のエピソードが興味深い。日本のワインや和食に対する高まる評価などにも触れられている。

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著者プロフィール

毎日新聞社客員編集委員。長崎県出身。1971年毎日新聞社入社。テヘラン、パリ、ローマの各特派員、外信部長を経て専門編集委員。2020年4月までの18年間、国際政治・外交・文化についてのコラムを毎週朝刊に執筆。2014年から現職。公益財団法人日本交通文化協会常任理事。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、1997 年度サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮社)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、『知られざる皇室外交』(角川新書)など。近著に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)。共訳に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店)。仏国家功労勲章シュヴァリエ。

「2021年 『教養として学んでおきたい日本の皇室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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