ゼロの激震 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800272461

作品紹介・あらすじ

不可思議な大規模災害が頻発する北関東。そんな折、元大手建設会社で技術者だった木龍のもとに奥立という男が現れる。すべてはマグマ活動にともなう火山性事象が原因であり、これ以上の被害を阻止すべく木龍の力を借りたいという。やがてマグマは東京へと南下していく。このままでは関東が壊滅、日本が滅んでしまう-。未曾有の危機にゼネコン技術者たちが挑む、パニックサスペンス。『生存者ゼロ』『ゼロの迎撃』に続く"ゼロ"シリーズ、最新文庫!『このミス』大賞シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • よく調べて書かれてます。馴染みがない分野でしたので勉強になりました。

  • 安生正『ゼロの激震』宝島社文庫。

    『生存者ゼロ』『ゼロの迎撃』に続くゼロ・シリーズの第3弾。手に汗握る展開に、460ページがあっという間だった。

    阪神淡路大震災を境に、今やいついかなるところで大規模自然災害が起こるか解らぬ世の中になったように思う。しかも、その発生サイクルは次第に短くなっているようだ。本作は、そんな未曾有の大規模自然災害と闘う男たちを描いたSFのようなパニックサスペンスである。最近、読んだ高嶋哲夫の『富士山噴火』と映画『アルマゲドン』を掛け合わせたようなストーリーであった。

    不思議な大規模災害が頻発する北関東。栃木と群馬の県境で起きた大規模土砂崩れ、栃木で震度5の地震の直後に街で人びとが大量死するなど、天変地異が相次ぐ。そんな中、元大手建設会社の優秀な技術者だった木龍の前に奥立という謎の男が現れ、天変地異の原因は大規模なマグマ活動であり、関東壊滅を阻止するためには木龍の力が必要だと、協力を依頼する…

  • 「ゼロ」シリーズらしい、壮大で恐ろしい話。

    発端は、つまらない人間の欲とエゴ。
    結果は、このまま行くと日本滅亡。
    日本のみならず、アジアはもちろん全世界に
    少なからぬ悪影響が予想される。

    それを、最悪の事態を避けるために、
    それでもかなりひでーアイディアを実行しに行く
    市井のヒーローたちの物語。

    主人公に感情移入すると、かなり救いのないラスト。
    だが、これがこの状況下で選びうる最善の選択。
    登場人物がほぼおっさんのみという、男臭い話。

    いや、なかなかドキドキしながら読みました(^ ^;

    が、ときどき、ちょっとリアリティの点で
    いかがなものか...と思う部分も無くはない(^ ^;

    例えば「新宿で地割れ噴火が起きてるのに、
    首相官邸で会議してる」とかは...??(^ ^;
    直線距離で5Km位しか離れてないのでは?(^ ^;

    あと、小説だからでしょうが、
    日本の首相が「格好良すぎる」(^ ^;

    現実は、今の日本の体制だと、
    すぐアメリカにお伺いを立てて、
    この場合だと「見捨てられて」パニックでおしまい...
    となるだろうな、と(^ ^;

    それは作者のせいではありませんが(^ ^;

  • 三作目。今回は突然の地震から、関東一帯壊滅かという、将来起きたら本当に怖い話。
    常々、マントルって誰も見たことないし、地球の中心に向けて穴掘ったら人類のロマンが、、、なんて夢想してたけど、人間のエゴ以外何物でもないのかも。呆気なく飲み込まれる人々に日本どうなるの?と、映像化されたらかなり衝撃的な画になるに違いない。

  • ゼロシリーズ三作目。相変わらず面白かった。
    関東平野の地下深くで活性化した火山活動にどう立ち向かうのか。分からない専門用語が多くても気にならないくらいその他の書き込みも多く、ほとんど休まずに読み切ってしまった。
    歴代だとやっぱり生存者ゼロが一番面白かった気はする。
    170828

  • 面白かった!
    パニックサスペンス、パニックエンターテイメントです。
    映像で見たい!

    ゼロシリーズ3作目。前作「ゼロの迎撃」の規模を大きく上回る関東壊滅、日本壊滅の危機です。それをどう乗り越えるかのストーリ展開です。

    今回は、関東平野で活性化した火山活動に政府、ゼネコン技術者がどう立ち向かうか、といったはらはらドキドキのストーリです。
    当然最後はアルマゲドンよろしくの展開となっています。こういったベタなストーリ展開には弱いんです(笑)

    しかし、説明っていうかディテールが細かくて長くてつらい。
    ゼロの迎撃では武器の説明の細かさでうーんと思いましたが、今回は、関東の地層学の話や、ゼネコンの工法の話など、ちんぷんかんぷんなところが多かったです。リアルな現場を表そうとしていると思いますが、正直、その現場やそこで行われていること、対応しようとしていることがビジュアライズできなかった。勝手に想像していました(笑)
    なので、だれか映像化して欲しい(笑)
    とはいうものの、それを差し引いても本書のパニックストーリはたっぷり堪能できました。

    そして最後、日本を救えるのか!!といった山場のシーン。
    ここでの技術者たちの漢ぶり、心意気にグッときます。自己を犠牲にしながら日本を救う漢達の思いがひしひし伝わってきます。(こういうの弱いんです)

    さらに、今回、ヒロインが出ていません。ほんと、ガテン系の漢達の物語となっています。それがまたいい。

    とってもお勧め!!

  • <ゼロ>シリーズの三弾目。
    今回は、地震により関東地方が絶滅の危機に瀕するかという現実感たっぷりのパニックサスペンス。
    北関東から始まった大規模災害が、やがて東京に押し寄せる。
    しかし、この事象は効率性ばかりを考え技術的検証をおろそかにした人類の都合で進められたプロジェクトがもたらしたもの?
    それを阻止するべく開発技術者が立ち上がる。
    太平洋プレート、マントル、マグマ溜まり、関東フラグメント、あるいは関東造盆地運動等々、地震関連用語が飛び交い、まるで大学の講義録を読む様。
    巻末の主要参考文献の数々が、著者のこの作品に対する意気込みを伝える。
    「今ここにある危機」として、首都直下地震が語られている現在、物語の中で描かれている新宿区や港区とかの惨状は、けっして絵空事とは思えない。

  • 29年7月21日読了。
    安生正 ゼロシリーズ3作目。迫り来るマグマが、首都東京を壊滅させる。土木技術者達が、自然の猛威の中 いかにして日本を救うのか。
    道定めし者は闇を恐れない。
    己が積み上げてきたものを信じるからだ。
    学び、考え、打ちのめされ、我々は成長してき
    た。
    壁にぶつかり、跳ね返されても我々は挑み続けてき
    た。
    技術者の誇りはどんな困難も乗り越えてしまう。

  • 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の安生正さんのパニック作品です。
    パニックの原因がほんとに?と思ってしまう(フィクションなので当たり前だが)ので、「実際にありそう感」がちょっと薄いのが残念ですが、なかなか面白かったです。
    ラストは、やっぱりこんな感じだろうなと思ってしまうが。。。

  • 『生存者ゼロ』と同じゼロシリーズ。今回は東京が噴火するB級パニック小説。日本ならではの天災感を添えて。漂う『午後のロードショー』感。好き。是非、映像化して欲しい。

  • 安生氏のゼロシリーズはの中でも究極の厄災が大都市東京を襲う本書は、冒頭から想像のつかない世界に読者を誘い、著者の並々ならぬ本書に傾けた熱意を感じさせる。通常、地震や火山の噴火は身近なものではないが、複雑に大陸プレートが折り重なる日本に住んでいるとときに大地が生きている証のような地震や火山噴火に出会う。近年、何十年、何百年単位の厄災が立て続けにおこり、新聞紙面においても活動期に入ったなどとの記事が掲載されるようになっているが、本書はそのもっとも最悪の事象を小説にしている。本書には最近の学説など従来の知識を刷新するような考えがふんだんに取り入れられており、関東全域を対象とするような大規模な災害へのイクステンションも違和感なく受け入れられる。

  • パンデミック、テロときて自然災害。相変わらずの引き込まれる文章と迫力満天の展開に一気読みしてしまいます。
    この三作目で特に考えさせられたのは、「犠牲」です。自ら犠牲になる事、犠牲を払う事は両方とも計り知れない覚悟が必要であり、避けては通れない事もあります。様々な登場人物たちがその決断に迫られ、苦悩し、覚悟を決める姿は格好良く、切なく感じます。自ら犠牲になる者は自分の死に価値や意味を持たせなければならない。生き残った者は犠牲を無駄にする事は許されず、どんな事があろうとも生き、事態を良い方向へと導かなければならない。考えさせられます。

  • いわゆる元凶となった決断をした人も、決断をした時は大きな信念を持って多くは人の為国の為を思っていた正義の人なんだなと。
    そしてただ批判するだけの人間は何も生まず、醜いだけだなとおもった。
    アメリカのその起こるかもしれない噴火、知らなかったけど、もしも神様がいるなら、もうしばらくで人間は絶滅するのに、ミサイルとか水爆とか滑稽に見えるだろうな。

  • ‹内容紹介より›
    不可思議な大規模災害が頻発する北関東。そんな折、元大手建設会社で技術者だった木龍のもとに奥立という男が現れる。すべてはマグマ活動にともなう火山性事象が原因であり、これ以上の被害を阻止すべく木龍の塚らを借りたいという。やがてマグマは東京へと南下していく。このままでは関東が壊滅、日本が滅んでしまうーー。未曽有の危機にゼネコン技術者たちが挑む、パニックサスペンス。

    ーーーー
    帯にも「迫りくる巨大マグマ、東日本消滅の危機!」と大きく煽り文句が書かれており、一級品の災害パニック小説だと思います。
    技術者たちの意地や矜持、その裏に潜む政治の思惑、それらが不幸な形で実を結んだとき、関東平野の直下に巨大なマグマだまりが形成されました。
    都市機能の真下に潜む大地の怒りの脅威。
    やがてそのマグマは火山性の地震、そして噴火へとつながり、多くの死者・行方不明者をだします。
    全ての情報が開示されず、原因究明や災害予知、避難経路策定などにも困難をきたすなか、一つのアイディアが提案され、木龍に日本の未来が託されることになります。

    行政側とゼネコン側の互いに依存しあっているような関係性や、災害の描写、そして災害の原因となる地質学的な部分など、とてもリアルに描かれているように感じました。読んでいてハラハラする場面が多かったです。
    ただ、地学の知識がある程度ないと(もちろん、専門的な内容ではないですし、説明もなされているので、問題はないのでしょうが)、読んでいてつらい場面が出てくるかもしれません。
    実際、地学の授業をロクに聞いておらず、地層や岩石の特色はおろか名前も覚えていなかったので、この災害の原因はこういうところにあるのだよ、とあかされていく場面を読んでも、いまいちピンときませんでした。
    ……ピンと来なくてもストーリーを理解する上では全く困りませんでしたけれど。

  • もう少し未来の日本、マントルにも届くぐらいの杭を打ち地熱発電を行うシステムを開発した。その後、北関東でマグマが発生するなどの事象が起こり、技術者の主人公が国のプロジェクトメンバーによばれ、問題解決に挑むパニックモノ。
    他の「ゼロ」シリーズもそう感じたが、シュチュエーション、題材、タイトルは「おお」と思い、興味を引くのだが、長い説明文やストーリー展開はいまいち牽引力にかける感。でも一番の山場では、主人公や周りの漢達の心意気にぐっとくる。

  • 面白いが、専門用語が多すぎる…

    マントルの熱を利用した超巨大発電所の建設からほどなく、関東でマグマの噴出が頻発する。

    このままでは首都が壊滅すると思われたところに巨大発電所の工事を指揮した男が立ち上がる。
    果たして、東京の壊滅は防げるのか…

    ラストはイマイチだけど、ストーリーとスピード感はかなりのもので、続きが気になってあっという間に読了しました。

    残念なのは、地殻や工学系の専門用語があまりにも多過ぎ&難しすぎなので、もう少しバカ向けに書いてくれたなら、もっと物語に入り込めた気がする。

    マグマとかマントルとかその辺が好きで、スピード感がある小説が好きな人にオススメです。

  • 人が追い求める世界って何だろう。先を見通せない技術は何の為になるのだろう?関東がマグマに沈む!!

    なぜ?? どうしたら良いのか?? 対応するのは人しかない。人を救うために取る行動に心を奪われる。この先も続く世界のために行動するそのことが美しい。

  • ともすれば荒唐無稽とも取られかねないテーマは壮大で、比較的科学的にも正しい描かれ方はしているんですが、なんかね、上滑りしてるんだよねぇ。理系の人の文章らしく、確からしくはあるけど、物語に深みが無い。もっと、人の心情、周辺の物語を深堀出来れば、もっといい作品になるんだと思いますが、ちょっと残念。

  • よくもこんなシチュエーションを思いつく。自然が相手の話だから、どんなことでも起こりえるんだろうけど、首都圏を舞台にここまで苛烈なシチュエーションを描いている作品はあまりないんじゃないだろうか。
    あと解説にも書かれてるけど極端に女性の登場がない。ガテン系でもないけど、非常に男臭い作品です。

  • 不可思議な大規模災害が頻発する北関東。そんな折、元大手建設会社で技術者だった木龍のもとに奥立という男が現れる。すべてはマグマ活動にともなう火山性事象が原因であり、これ以上の被害を阻止すべく木龍の力を借りたいという。やがてマグマは東京へと南下していく。このままでは関東が壊滅、日本が滅んでしまう―。未曾有の危機にゼネコン技術者たちが挑む、パニックサスペンス。『生存者ゼロ』『ゼロの迎撃』に続く“ゼロ”シリーズ、最新文庫!『このミス』大賞シリーズ。

    このネタなら、スケールを大きくして、上下巻にしてもよいような気もする。

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著者プロフィール

1958年、京都市出身。京都大学大学院工学研究科卒。第11回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『生存者ゼロ』にてデビュー。同作から続く〈ゼロ〉シリーズは、累計130万部を超えるベストセラーに。現在、建設会社勤務の傍ら、執筆活動を続けている。著書に『レッドリスト 絶滅進化論』(幻冬舎文庫)、『ホワイトバグ 生存不能』(宝島社)、『不屈の達磨』(角川春樹事務所)などがある。

「2022年 『首都決壊 内閣府災害担当・文月祐美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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