小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800274939

感想・レビュー・書評

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  • 母の遺言から北海道へ行った主人公に
    起こる出来事のお話でした
    流れはスムーズでした
    三十年前の集落、秘境駅探索や裏金の謎などなど
    要素はいろいろあり飽きさせませんでした
    終盤に明かされる謎もなるほどといったところでした

  • 亡くなった母から託された願いを果たすために北海道を訪れた主人公が体験するひと夏の冒険。

    鉄道マニアの鉄道マニアによる鉄道マニアのための小説かと思えるくらいに鉄道に関するディープな知識が随所に織り込まれていて、前半はのんびりとした旅行記のような雰囲気だったが、『まりも号脱線事件』という史実と『狩勝の裏金』という都市伝説のような噂話、そして過去に起こった一家惨殺事件とが絡み合ってきた後半は、ミステリー色が強まったサスペンス的展開となって、一気読みした。

    物語の舞台がサブタイトルどおり根室本線の狩勝近辺ということもあって、道産子のとしては気になり手に取った本作。でも、考えてみたら根室本線には乗ったことがないかもしれない。

    また、タイトルの「小さきそれ」も、私の予想したものとは違っていた(笑)

    それにしても、巻末の解説を読んで、著者自身は全く鉄ちゃんではないという事実に驚いた!

  • 関係のない2人の語りが、徐々に交わっていく感じがたまらない。北海道の自然の描写もとてもリアルで、想像しながら楽しめる。
    そして、ラストの怒涛の展開には驚きの連続‼︎

  • 概ね旅小説ですね。過去の陰惨な事件や埋蔵金がスパイスとして加わりつつ、主人公2人のそれぞれの旅を淡々と描いている。中盤以降いろいろな事柄が繋がり初めて終盤一気に盛り上がっていく。解説にも書かれていますが、伏線の張り方と回収はお見事だと思います。

  • なんと!
    このミステリーの舞台が、自分が暮らす最寄駅「羽帯駅(はおび)」なのです。

    もう来春には廃駅が決まっている無人駅。
    私自身、ここに13年間住んでいて、一度も使ったことがないという(汗)
    ここを舞台に描かれたミステリーで、
    「羽帯(ハオビ)」というのは、アイヌ語で「小さいそれがいるところ」という意味だそうで。

    なんとなんと!面白いのは、
    著者は一度も羽帯駅に来たことがないそうです。
    時刻表と、駅周辺のYouTube動画などをもとに想像をふくらませて書いたとか。
    すごい。

    プロットも面白く、描写もいいのですが、
    たぶん、実際にこの駅に降り立ってみたほうが立体的な空気感のある作品になったのでは?
    とも思います。
    ぜひ今度、廃駅の前に、この著者さんをご案内したいわ〜〜

    これはこの作家さんのデビュー作で、「このミステリーがすごい!」の隠し玉賞受賞作だそうです。

    あとがきの解説の言葉がとても良かったので、転載します。
    「さて、この東羽帯駅は、実は根室本線には存在しない(新得駅の隣の隣に羽帯駅は存在する)。東羽帯駅は実在しないが、しかしながら、『小さいそれがいるところ』は、たしかに実在する。
     そしてこれが実在することは、綾見洋介という作家が誕生したことを意味する。
     それが大事だし、それが嬉しい。」

    不在と実在。フィクションとノンフィクション。

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