小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 宝島社 (2017年7月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800274939
感想・レビュー・書評
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母の遺言から北海道へ行った主人公に
起こる出来事のお話でした
流れはスムーズでした
三十年前の集落、秘境駅探索や裏金の謎などなど
要素はいろいろあり飽きさせませんでした
終盤に明かされる謎もなるほどといったところでした詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
関係のない2人の語りが、徐々に交わっていく感じがたまらない。北海道の自然の描写もとてもリアルで、想像しながら楽しめる。
そして、ラストの怒涛の展開には驚きの連続‼︎ -
概ね旅小説ですね。過去の陰惨な事件や埋蔵金がスパイスとして加わりつつ、主人公2人のそれぞれの旅を淡々と描いている。中盤以降いろいろな事柄が繋がり初めて終盤一気に盛り上がっていく。解説にも書かれていますが、伏線の張り方と回収はお見事だと思います。
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なんと!
このミステリーの舞台が、自分が暮らす最寄駅「羽帯駅(はおび)」なのです。
もう来春には廃駅が決まっている無人駅。
私自身、ここに13年間住んでいて、一度も使ったことがないという(汗)
ここを舞台に描かれたミステリーで、
「羽帯(ハオビ)」というのは、アイヌ語で「小さいそれがいるところ」という意味だそうで。
なんとなんと!面白いのは、
著者は一度も羽帯駅に来たことがないそうです。
時刻表と、駅周辺のYouTube動画などをもとに想像をふくらませて書いたとか。
すごい。
プロットも面白く、描写もいいのですが、
たぶん、実際にこの駅に降り立ってみたほうが立体的な空気感のある作品になったのでは?
とも思います。
ぜひ今度、廃駅の前に、この著者さんをご案内したいわ〜〜
これはこの作家さんのデビュー作で、「このミステリーがすごい!」の隠し玉賞受賞作だそうです。
あとがきの解説の言葉がとても良かったので、転載します。
「さて、この東羽帯駅は、実は根室本線には存在しない(新得駅の隣の隣に羽帯駅は存在する)。東羽帯駅は実在しないが、しかしながら、『小さいそれがいるところ』は、たしかに実在する。
そしてこれが実在することは、綾見洋介という作家が誕生したことを意味する。
それが大事だし、それが嬉しい。」
不在と実在。フィクションとノンフィクション。