薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800295057

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んで思い出したのは
    何年も前の冬。咳喘息のようだから、呼吸器科があるところに行った方がいいよと知り合いに言われ、子供のお迎えに間に合うように呼吸器科がある病院に早退して行った時

    待合室に誰もいなくて
    男の技師さんが待合室のテレビを見ていて
    おかしいなとは思ったけど

    最初にCT.その後にレントゲンを撮られた
    挙句、逆流性食道炎といわれ、咳止めももらえず、もらったのはリーゼという不安な気持ちを抑える薬と胃薬、、、。

    帰りのバスで涙が出たな
    不安だった。ちゃんとした薬がもらえなくて。

    後日その知り合いに言ったら、逆流性食道炎は胃カメラ飲まないとわからないよ
    CTとレントゲンではわからないけどね

    って言われて、あの時間、お金、悲しい気持ち返してーーーー。体へのダメージも!!

    と森医者に出会った悲劇を思い出しました。

    知ってるって大事!無知は怖いという事を思い出させてくれた本でした

  • フォローしている方々のレビューを読んで気になっていた本、やっと読むことが出来た。

    薬剤師の「毒島」という苗字、少し前に某公共放送のお名前雑学番組で取り上げていたのを思い出した。「毒島」の「毒」とはトリカブト、一般的には毒物というイメージが強いけれど、「毒島」が多いある地域においてトリカブトは薬、つまり薬を扱う薬剤師という意味での「毒島」姓だったというように聞いた記憶がある。
    つまりこの作品の探偵役、「毒島」の苗字はまさに薬剤師ピッタリということだ。

    作品の内容は、薬剤師・毒島花織が様々な薬に関するトラブルや疑問を解決するという薬剤師探偵の話なのだが、主人公は医療はもちろん薬にも全く知識がないホテルマン・水尾爽太なので私と同じ目線で読める。

    通常、医師が診断は正しく、処方した薬もその診断に沿った正しいものだと思うのだが、それが違っていたら。
    爽太の場合は足白癬(水虫)と診断されたのだが、その診断自体が間違いで処方された薬も症状を改善するどころか悪化させるものだった。
    幸い毒島のアドバイスで別の医師に診断してもらい、正しい診断と処方薬によって症状は改善したが、トリカブトと同じで薬であっても場合によっては命に関わることもある。

    逆に、一見病状と何の関係もなさそうな薬であっても治療に必要という場合もあるのも興味深い。ニキビの治療に低用量ピルが使われることもあるとは驚きだが、説明をよく聞けば納得。

    表紙の毒島はとっつきにくそうな、怖そうな『女史』という感じの女性に描かれているが、作中の毒島はもう少し柔らかい。
    言うべきところはビシッと指摘するが、世話焼きだし薬オタクだし思い込んだら猪突猛進なところもある。
    薬トラブルで毒島と知り合った爽太が次第に彼女に惹かれていくものの、なかなか上手く想いを伝えられなくて何とか毒島との縁を繋ぐために薬のネタを集めようとする健気さも可愛い。

    だが爽太もホテルマンだけにコミュニケーション力は高いしあれこれ首を突っ込んでも疎まれない魅力もある。
    何よりお客様を日頃よく観察しているその洞察力で、毒島とは違うタイプの推理力を見せてくれるのも頼もしい。

    個人的には第二話のアトピー性皮膚炎に悩む親子の話は胸が痛かった。病気は一過性のものだけでなく長期に渡って、中には一生付き合っていかなければならないものもある。親が幼い子供が自分の皮膚をかきむしる姿を見るのは辛いし、なかなか合う薬や治療法と出会えず追いつめられることもあるだろう。
    毒島の冷静で落ち着いたアドバイスと爽太の優しい言葉はありがたい。

    ちなみに毒島が勤める薬局が「どうめき(百目鬼)薬局」で、そこに勤める薬剤師も方波見さんや刑部さんなど、珍しい苗字が多い。その理由も優しくて良い。

    続編もあるようなので、読んでみたい。
    そこでは毒島の親子関係も改善しているだろうか。そして爽太は想いを伝えられるようになっているだろうか。

  • ホテルマンが偶然知り合った薬剤師さんが、その豊富な知識と真面目な性格で、薬にまつわる様々な事件を解決していくミステリー。
    ミステリーに薬物はつきものなので、薬剤師探偵というのがいてもおかしくはなかったなーという印象。
    まぁ都合よくこの二人の回りでこんなに事件が起きるものかという気はするけれど、そこはご愛敬。

    それにしても、病院で処方された薬をただ受けとる場所だと思っていた調剤薬局の役割がとても重要で、薬剤師さんが色々聞いてくるのにもちゃんと意味があったんだ…と初めて知った。なんで医師に話したことをまた言わされるの?と思っていたけれど…こういうこと、薬局業界はもっと宣伝した方がいいのではないだろうか…

  • ホテルマンの水尾爽太は足のかゆみに悩み、処方された水虫薬を試すもなかなか快方に向かわない。そんなときに助けてくれたのは、調剤薬局に勤務する薬剤師、毒島花織。
    軽快なテンポで描かれる薬に纏わるほんわか連作短編ミステリー。既にシリーズ化もされており本作はその一作目。
    処方解析、疑義照会など、初めて聞く薬局ならではの言葉も出てきて興味津々。
    医師の発行する処方箋には患者の症状は書かれない。なので調剤薬局では薬を出すときに薬剤師に色々と尋ねられる。こっちは薬を貰うのに医師に説明しそれで処方された薬なのに、何故薬剤師へまた話さなくてはならないのか。薬を見れば症状など判るんじゃないの?面倒だなあ。とたまに思ったことが確かにある。今更ながら初めて知った。

  • 薬の知識は全くないので主人公のホテルマンの気持ちがよく分かる。
    専門用語は分からないけれど、それでも会話を続ける努力をする主人公は健気だなぁ。
    ホテルマンのコミュ力強い。でもヘタレ。
    思いっきり応援してました。

    薬剤師の毒島さんは表紙のイメージよりも親切で格好いい。
    同業者からもオタク呼ばわりされるほど知識に貪欲で仕事熱心。
    身近な薬や病気の話題だったので、専門用語は難しかったけれど興味深く読めた。
    続編も読む!

  • アンソロジーでいいなと思っていた作家さんの単体作品を初読み。
    薬にまつわる様々な事から事件への解決に導く物語。
    各章に分かれていて事件解決というよりは、その手前で終わるって感じかな。
    警察刑事モノであれば解決までってところだけど、あくまで一般社会人の立場ですしね。
    薬に関する多くの専門用語と知識も織り交ぜられていて。色々ためになる作品でした。
    次作も読んでみようと思います。

    • だいさん
      解決しないのかぁ それは残念だなー
      解決しないのかぁ それは残念だなー
      2021/02/03
  • このミステリーがすごい!大賞作家書き下ろしBOOKvol.21(2018年6月)笑わない薬剤師の健康診断、vol.23(12月)お節介な薬剤師の受診勧奨、書き下ろし不安な薬剤師の処方解析、怒れる薬剤師の疑義照会、の4つの連作短編を2019年5月宝島文庫刊。シリーズ1作目。毒島、百目鬼、方波見、刑部と珍しい名前の登場人物のオンパレード。この理由は三話目で明らかに。なるほど。毒島さんの薬に関する探求と推理に恐れ入るが、自身のことに関して疎いところが微笑ましい。ホテルマンの水尾くんのトボけた役回りも楽しい。次作が楽しみ。

  • やたら薬に詳しい薬剤師(女性)がキーマンとなるミステリー、4編の連作。

    水虫薬やステロイド、にきび治療薬、などなど。
    薬をテーマに様々な事件が起こりますが、その裏には...

    殺人事件など、大きな事件は起きませんが、薬も使い方によっては、毒にも薬にもなるという事でしょうか?

    ホテルマンの水尾爽太は、様々な事件を通し、真面目一徹の薬剤師・毒島花織に好意を抱き、アプローチするものの、彼女には大きな謎が...

    新型コロナウイルスが社会問題化する中、これに対抗できるような特効薬は、無いのでしょうか?

  • 主人公の毒島さん、表紙のイラストとイメージが違いすぎるなぁ…というのが率直な感想。
    絵は性格キツめのお局風?に見えるのだが、実際は薬以外には興味のない、不器用で繊細な女性。もっと可愛らしく描いてくれたら、と思った。

    薬の名前がビミョーに違うような、と思ったらわざとなのですね。
    やや越権行為気味な所はあるものの、自分の健康について考えること、医療行為や薬についての勉強や選択が大切だということは伝わる本だと感じた。

  • テンポよく進みます。
    病院と、薬局の関係。薬剤師さんの役割、そういえばいつも薬局で症状聞かれるな、と。
    病名は処方箋に書いてないわ。と思いました。
    病院選びも大事。
    続きが気になります。

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著者プロフィール

1962年、千葉県生まれ。第7回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞、『毒殺魔の教室』にて2009年デビュー。

「2020年 『甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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