境界争いと戦国諜報戦 (歴史新書y 45)

著者 :
  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800303615

作品紹介・あらすじ

合戦場は、何処でもよかったわけではない。国境、郡境といった「境目」が戦場を決める重要なファクターだった。山や峠、そして河川といった地形や水系が「境目」を決め、「忍び」たちの諜報・破壊活動が合戦のタイミングを計っていた。

感想・レビュー・書評

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  • ここ数年の私は、様々な文脈における「境界」や「境目」という言葉に興味をもっている。戦国時代における「境界地域」「境目の城」という文脈もそのひとつ。有力な戦国大名に挟まれた在地領主や国人衆が、戦乱の世を生き延びるためにどのような手を打っていたのか、本書を読むことでその一端を垣間見ることができる。ある時は両隣の大名の仲を取り持つ正式な外交官として、またある時は諜報活動や攪乱作戦を実行する「草(スパイ)」として動いていた様子を、古文書の内容から推測している。
    戦国時代の地政学に限らず、どのような社会構造においても、人が集まれば必ず「境界的な人」がでてくる。そこで、その人がキャスティングボードを握って大きな影響力を発揮できるか、はたまた草刈り場と化してズタボロにされるかは、当然ながら天と地ほどの差がある。自分が「境界」的な位置に置かれてしまった場合、そのことに関して自覚的でないと、とても不幸なことになるので要注意。「境界」と対極的な概念として「辺境」という生き方もあり、ある程度の経済力が保障される限りにおいてはとても魅力的な生き方なのだが、話が長くなるので触れるだけにとどめておく(内田樹氏の「日本辺境論」は参考文献として有益)。これからの日本は、アメリカと中国によるパワーゲームの「境界」に置かれることになる。草刈り場になるのだけは勘弁して欲しいところ。この文脈でのキーワードは「沖縄」かな。

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著者プロフィール

1958年、横浜市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。東京都立大学大学院修士課程修了。博士(史学)。専攻は日本中世・近世史。神奈川大学、慶應義塾大学、中央大学などで非常勤講師を務めた。 著書に『草と木が語る日本の中世』(岩波書店)、『軍需物資から見た戦国合戦』『境界争いと戦国諜報戦』(洋泉社、のちに吉川弘文館)、『鎌倉武士と横浜』(有隣堂)など。

「2022年 『家康家臣の戦と日常 松平家忠日記をよむ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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