世界最凶都市 ヨハネスブルグ・リポート

著者 :
  • 彩図社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801304468

作品紹介・あらすじ

インターネット上で「世界で最も治安の悪い都市」として語り継がれる南アフリカ共和国のヨハネルブルグ。本書は、ヨハネスブルグにある新聞社にジャーナリストのインターンとして赴任した著者が、都市の状態やそこで生活する人々の姿を克明に記録したものである。
殺人、強盗、ドラッグ、スラム、違法鉱山……。 ヨハネスブルグにはこの世のあらゆる犯罪が集まっていた。ヨハネスブルグの真の姿に誰もが震撼する。

感想・レビュー・書評

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  • 「(黒人への差別は)彼らのためにしてるんだ。」という白人の言葉や、現地ツアーガイドは参加者がiPhoneを強盗に奪われた時にも警察を呼ばなかった、など、いろんなショッキングな現実が出てくる。これが本当に2020年のアフリカ2番めの先進国か、とも悲しくなる。けどそれを我々他国基準の正義をもって非難や追及できるかというと、決してそうではないのだろうな。政府や現地メディアが目を背けている根深い社会構造とか警察への不信感とか、すごくリアルに伝わってきて苦しくなった。南アフリカ、いつか行ってみて自分の目で見ないとなあ。

  • タイトルよくないな。安っぽいイメージを与える。
     でも、内容は決して悪くない。南アフリカに抱いてたイメージはやっぱり感もあるけど、誤解もあったことが分かった。
     でも、やっぱりわれわれ日本人にはとても想像できない世界だ。何度かひやひやしながら読むシーンが登場する。命の危険に遭遇しながら、よくぞこれだけのドキュメントを成し得たと感服する。
     怖さ見たさも興味もあるし、行ってみたいけど、とてもやわな日本人には神経がもたないだろう。そんな世界をコーヒーカップ片手に見ることができた読書タイム。緊迫感となんとも言えないやるせなさにも包まれた読書だった。

  • リアルが勝る

  • 『地元最高!』の影響で『ニャオペ』を知りたくて読んだのですが、それ以上にいま発生している社会課題を知れたと思います。日本の近い未来がこの書籍で描かれている社会に繋がっている可能性は0ではないと思いました。

  • 「世界で最も治安の悪い都市」と言われる、南アフリカ共和国のヨハネスブルグに、著者が実際に足を踏み入れ取材したノンフィクション。家には(強盗に侵入されないために)電流フェンスが設置されており、ドラッグが蔓延、スラム街では強盗を生業にしている人も多いなど、とにかく危険な匂いしかしない。警官の汚職が多く、警察が機能しいないのも大きな問題。「南アはアパルトヘイト後にいい感じになった国」というイメージがある人にはぜひ読んでもらいたい一冊。本書の最後の方に出てくる表紙の人物が最凶か。

  • 確かに僕でも耳にするような、日本で聞くような噂ほど凶悪な街ではないのかもしれない。けど実際起こりうる100日での内容はおぞましいし、ただファクト・フルネスに記載されているようにそれは恐怖を煽るからここ我々の興味を引くのかもしれない。

    とにもかくも黒人の差別と陵辱していたであろう白人も今度は差別に合う負の連鎖、6/6現在なうで暴動起こしてるアメリカ人も読んだらいいのにと思う。

    行ってみたいな〜南ア

  • 最初は、流布しているヨハネスブルグの危険伝説の実態を知りたいという思いで手に取り。著者も似たような動機で乗り込んでいたが、電流の流れた鉄線にかこまれているはずが、その鉄線をさわりながらにゅるりと猫がすりぬけてきたことに絶望を感じ。著者は、ニューヨークの大学院から、南アフリカの新聞社へ、相棒のアメリカ人リチャードとともに派遣され。強盗に合う確率は150%とか、腕を切り落とされて腕時計を盗まれた、みたいな目にはあわなかったし、そういった目にあった人の話はきかなかったが、普通に生活していても危ない目にあった人もいるし、そういったことが起こってもおかしくない、という空気はかんじた、と。標的にされる中国人、「英語を話せない被害者の通報を警察に仲介する」トニーを立派な仕事だとほめたたえるも、当人は、無力感に苛まれていたり...。/不当に白人に土地を奪われた黒人は、土地を取り戻すのは尊厳の問題、と訴え。/かと思えば、白人農家は、黒人に土地をかえしても荒れ地になるだけ、差別しているという意識もなく、自らの土地所有を正当化する。人として気持ちよく、紳士的なふるまいとは裏腹に。/まずしい白人のスラムがあったり、裕福でゲイの白人からは、おれは南ア人だから南アで暮らしたい、それに外国で自分が南ア人だと明かすのも怖いとあかしたり。/根強い警察不信が横たわる。殉職率が高いのに薄給。人材にめぐまれない。通報しなければ犯罪は統計に反映されない。犯罪者はやり得で治安は悪いまま。通報する人間が少ないということは、ヨハネスブルクの実際の犯罪発生率は、統計で示される値より高い可能性が常にあること/自由世代を育てるのはアパルトヘイト世代。教育機会を与えられなかった世代は、教育の重要性を認識せず、仕事を得るのに不利に、法を遵守する倫理観やHIVなどの疾病から身を守る知識もない。/法律上、強盗は犯罪であるが、彼らから見れば犯罪とくくるほどのものではない。麻薬の使用も然り。パトカーを盗むというような大それた行為に至ってようやく「犯罪」なのだ/かつてマンデラが示した「虹の国」というビジョンを熱烈に支持した貧しい黒人たちから私は3度同じ言葉を聞いた。「誰を憎めばいいのかわからない世の中になってしまった」/あとがきでふれられた、ケニアの国民的作家「ビンヤバンガ・ワイナイナ「アフリカの書き方(How to write about Africa)」2005 というエッセイ。アフリカを書くならこう書きなさいという皮肉がこめられていて、著者もワイナイナのエッセイに批判されるような側面があった、だが、極力あったことを書こうとしようとつとめた、と。/所感。支配者たる白人は悪で、支配されている黒人は善という単純な構図は壊れたはずなのに、貧しい黒人はまずしいままで不満は鬱積するばかり、「誰を憎んでいいのかわからない」。標的は中国人やパキスタン人などの「よそ者」。暗澹たる構図は暗澹たるままに思えるが、アパルトヘイト後に育った自由世代のあたらしい動きに一すじの光を見出しつつ、本をおく。

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著者プロフィール

ライター、フォトグラファー。1985年生。日本大学藝術学部、ニューヨーク市立大学ジャーナリズム大学院卒。朝日新聞出版、メール&ガーディアン紙(南アフリカ)勤務等を経てフリー。アジア、アフリカ、南アメリカの国々を中心に公共政策、コミュニティ、貧困問題等をテーマに取材・執筆を行う。著書に『SLUM 世界のスラム街探訪』『アジアの人々が見た太平洋戦争』『大日本帝国の謎』(いずれも彩図社)がある。

「2020年 『世界最凶都市 ヨハネスブルグ・リポート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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