わが家 (竹書房文庫)

著者 :
  • 竹書房
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本棚登録 : 39
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801900943

作品紹介・あらすじ

幼いころ、大好きだった父親に目の前で家出された桜木一歩は、その日以来家族というものに不信感を抱きながら、30歳に至る現在も定職に就くことなく"レンタル家族"稼業に身を置き、ひとり刹那の日々を生きていた。しかしそんなある日、舞い込んで来た依頼はなんと実の妹・ほの香からで、結婚相手の両親に紹介するために失踪した父の身代わりを見つくろってほしいというのだ。そのせつない胸中を不憫に思った一歩は、妹のために本物の父・武士を見つけ出すべく、海辺の町でひとり暮らす母・鯛子の元に赴きその所在を問い質すのだが、返って来た答えは思いもよらぬ近くにいるという予想だにしないものだった-18年ぶりの再会の果てに待つものは一体…?父、母、息子、娘…いつのころからかバラバラに暮らす4人の葛藤と愛憎、和解と再生の歩みを通して"家族"の本当の意味と素晴らしさを真摯に、そして爽やかに謳い上げる、至高のヒューマンストーリー!!

感想・レビュー・書評

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  • 本業が脚本家の方が書かれた小説だからなのか、短い台詞のラリーがけっこう長めに続くあたりはちょっと脚本っぽいのかな、と思いながら読んだ。
    (ドラマが先で小説が後なのかも)
    読みやすくて、ページ数のわりにかなり早めに読み終えたような気がする。

    幼い頃目の前で大好きな父親に家出された経験を持つ桜木一歩は、家族というものに不信感を抱きながら、30歳を過ぎても定職につかずレンタル家族という稼業に身を置いている。
    ある日依頼され仕事に赴くとそこにいたのは実の妹で、「結婚が決まったから相手の両親に紹介するための家族をレンタルしたい」という妹の思いと行動から、バラバラだった四人家族が変わり始める。

    自分を捨てた(と思っている)父親への、一歩の複雑な感情が物語の主軸。
    もう顔も見たくないけれど、やっぱり会いたい。もう二度と一緒に暮らすのは御免だけど、本来家族は一緒にいた方がいいことは理解している。
    一歩と同じ境遇で育ったはずの妹・ほの香はまた、父親に対してはまた少し違う思いを抱いているというか、許す気持ちが強いように思えるのは、性別の差なのかこれから結婚するという境遇からなのか。
    二人の母親はまたひとつの秘密を抱えていて、夫である二人の父親の帰宅を心のどこかで待ち続けている。

    レンタル家族って実際ある商売だと思うけれど、お金を払ってその“ふり”をしてもらうものだと分かっていても頼んでしまう人の多さに、人間の孤独を感じる。
    依頼する人たちに、本物の家族が残っている場合も多いのに。
    家族はやはり、離れすぎてしまうものではないのかも、と思う。
    血の繋がりが保ってくれるものなんて本当は少なくて、そこには大きな努力が必要だから。

    読みやすくハートフルな小説。
    しばらく積ん読になっていたのだけど、何がきっかけで買ったのか思い出せずにいる。笑
    “レンタル家族”に興味があったのかも。

  • ドラマから作られた作品ということもありセリフが個性的な印象で、登場人物のキャラクターが想像しやすかった。離れ離れだった家族がまた家族になっていくまでがおもしろく描かれていて、とても心温まる。

  • レンタル家族業で働く青年が、妹からの依頼をきっかけに音信不通の父親を探すことに。両親の秘密が明かされバラバラになっていた家族が再び動き出す物語。子は自立してもいつまでも子ども。夫婦は親になっても夫婦。この中に描かれる古風な家族論が気恥ずかしくもあり憧れでもある。ドラマの原作らしく登場人物のセリフが生きていたしテンポ良く読めた。

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