ふくしまノート 2 (すくパラセレクション)

  • 竹書房
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本棚登録 : 33
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801902480

作品紹介・あらすじ

漫画家・井上きみどりが3年間の取材を元にメディアが取り上げない「福島県」の本音を綴る!

感想・レビュー・書評

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  •  『温故知新3.11 #2 コミック②』
     ー井上きみどり さん『ふくしまノート2』ー

     第2巻の内容は、全9話+特別授業+番外編。前作から2年、東日本大震災から4年経過し、変わったこと・変わっていないこと、人の思いも含めて本作も丁寧に描かれていました。

     前作は、地域住民家族へ多くスポットが当てられ、放射能への不安、避難が一時的なのか否か等、生活基盤も落ち着かず右往左往する様子が多かったですが、さて本作は‥?
     続編の本作は、支援する立場の人々の奮闘ぶりと食の問題が多く描かれています。特に沖縄・久米島に施設の買上げ・改修工事をし、福島の子どものための一時保養施設『玖美の里』(一回50人程、約2週間無料受入、10年で133回の実績、コロナ禍もあり運営主体は変わっても、現在も継続中!) 等、知らなかった事実も多く、勉強になりました。
     線量測定者や医師の苦悩、また、風評による「福島県産◯◯」の壁の深刻さ、現実と思い込みの乖離、葛藤や軋轢‥、その埋まらない溝にやるせない思いがします。

     月日が経つ毎に「福島の今」が伝わりにくくなっている、と話す人たちの言葉が重いです。
     不安の中にも前向きに生きようとする姿が伝わってくる一冊でした。

  • 借りたもの。
    前巻よりも生活に密接な部分に踏み込んでいる。
    原発事故を受けて、懸念される内部被曝――その要因となりうる食に関する事を掘り下げている。
    福島の方々でさえ、地域によって、隣近所によって価値観・考え方が異なり、情報に翻弄されている気がする……それを痛感する。
    マスコミが安全と報道しても説得力が無く感じていた事は具体例を挙げられて腑に落ちる部分もあった。

    放射線量は地域によってもまちまちで、福島の人達はどう折り合いをつけてその大地で生きるかを模索している……
    震災で物流が遮断されても、循環型産業はそれに影響されなかった。だが、原発事故を受けて、循環するためにあらゆるものに影響を受けてしまう。
    土壌からセシウムを取り除く実験、ひまわり油、バイオガスプラント……
    あらゆる試みをされていらっしゃった。
    各家庭でも自家製栽培の野菜をセシウム検査し、場所や作物によってセシウムが検知されなかったり、異常に高かったりと、3年を経てようやく、少しずつ分かってきた事があるようだ。

    nhkドキュメンタリーであった、『被曝の森はいま』を思い出す。
    http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/110510.html
    同じ内容と思われるものは『被ばくの森から ~チェルノブイリの生態系~ 』(http://booklog.jp/item/1/B0095EPV9C)だろうか?
    これを読むにあたって参考になると思う。
    だが、コミックでも言及されていたが、チェルノブイリと日本では、爆発した状態も土壌も異なるので、一概には言えないようだ……

    一体何が安全で、何に注意が必要なのか――
    結局のところ、誰も(日本人はおろか、海外の方々も)確かな事は言えないのかも知れない。
    まだまだこれからなのだ。

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著者プロフィール

宮城県仙台市在住の漫画家・コラムニスト。震災復興、福島の問題、女性と子どもの病気、国際協力などをテーマに作品を発表。
主な著書に『子供なんか大キライ!』『嫁タイム』『オンナの病気をお話ししましょ。』『マンガでわかるコドモの医学』『わたしたちの震災物語』(以上、集英社)『子育ては「絵メモ」で伝えればうまくいく!』(KADOKAWA)『孫育』『ふくしまノート』(以上、竹書房)ほか。ウェブサイトなどでも、アジアの子どもたちの人身取引問題、アジアの不発弾問題、シリア難民問題、アフガニスタンの女性と子どもの性暴力問題などを発表。国土交通省発行・公開の、漫画による防災時のトイレマニュアル「災害時のトイレ、どうする?」制作

「2019年 『これって、「甲状腺の病気」のせいだったの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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