父と娘の認知症日記 : 認知症専門医の父・長谷川和夫が教えてくれたこと

  • 中央法規出版
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805882641

作品紹介・あらすじ

自らも認知症になった専門医が家族に望んだケアとは。それに家族はどう応えたか。父の日記や写真を元に60年の歩みを長女の視点でつづるフォトダイアリー。不安を乗り越え、認知症とともに日々を豊かに過ごすヒントがつまっている。本人・家族にエールをおくる1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「僕はやっと認知症がわかった」を読んだあとに、読みました。
    娘さん視点で描かれた父親の姿です。
    あの頃の父は、という風な日記のような。
    葛藤とか、医者も人間だし、仕事の顔、家庭の顔が見えて、ほっこりしました!

  • 現在、厚生労働省は、2025年に認知症の人は約700万人となり、65才以上の人口の約20%に達すると予想しています。認知症専門医であり、長谷川式簡易知能評価スケールを開発した長谷川和夫先生は、認知症と診断されたことを公表し、最後まで医師として、認知症の患者として講演を続け、認知症について知ってもらうことをライフワークにされていました。そして、身近でそのお父様の活動を支えてきた南高まりさんが長谷川先生が書かれた日記や一緒に取った写真、その時のまりさんの思いを日記形式で振り返っています。長谷川先生が認知症の第一人者として、どのような思いで活動してきたか、また認知症になってどのようなことを思ったり、考えたりしていたのかを読める本になっています。この本で認知症のすべてが分かるわけではないですが、認知症について興味・関心がある方はぜひ読んでみてください。

    社会福祉学:田口先生

    https://bit.ly/3H8dh4g

  • うーん
    認知症の様々について語られるかと期待したんだけど、どちらかというと、長谷川和夫さんについて語られていて、あまり話は広がらない。
    素敵な人で認知症になってからも前向きでいい人生を送っている、そんなところかなあ。
    特に認知症で困った話もなくて、だから対処法もなくて・・・
    まあ、認知症の専門医として先駆的なお医者さんなので、その伝記っぽい感じ。

  • パーソンセンタードケア

    長谷川先生の日記と娘のまりさんの撮影した写真をもとに、親子の生活がアリアリと浮かんでくる、ホッとする書籍!

    長谷川先生が認知症になってからの苦しさが書かれていると思ったら、楽しみや明るさも伝わってきました。

    下記の一文が印象的でした。
    =======
    「パーソンセンタードケア」とは、その人の立場に立って、その人が一番利益を得るケアということですが、そのためにはその人のことをよく理解しなければなりません。認知症の人にも一人ひとりユニークな個別性があります。
    =======
    向き合っている相談者さんと話すときにも大切にしたい言葉です。



    勉強になった箇所
    ・父はこの頃から変わっていないと思います。生きがいを感じながら生きたいという気持ちは 認知症になっても変わりません
    ・そこで 介護者がご本人の心を推し量って言葉や理屈ではなく 和やかなフィーリングや 暖かい 微笑みを表現することで 絆という関係性を作ることが認知症の人に安心感を与え いい場所を見つける きっかけになります
    ・ですから 検査に際しては温かい 配慮が大切です。①お願いをするという スタンスで行う、②各設問が持つ意味を理解する③質問は適切な聞き方をする④結果をケアに役立てる、ということが大切です
    ・認知症という病に対しては 医療だけでなく 安心感を持っていただけるケアと連携してことが大切なことだと思います
    ・トム キット ウッドのパーソンセンタードケアの本でした。そこにthe person comes first と書いてあるのを見てこれだと感じ、「パーソンセンタードケア(その人を中心としたケア)」2連にしたそうです。それまではきっとウッドが指摘しているように「認知症」の人 出会ったのが、認知症の「人」と、当事者(人)をより大きくとらえることを心がけるようになりました
    ・父は人のことを褒めますが自分の事もよく褒めていました。自己肯定感が高く よく笑う 明るい気質は若い頃に アメリカに行った影響が大きいのだと思います
    ・2004年には痴呆から認知症への名称変更もありました。父は痴呆に変わる 擁護に関する検討会のメンバーになっていました。
    ・超高齢化時代になって 認知症は誰にでも起こり得る状態と言えますが より安く使われやすい 用語になったことは一つの 前向きなステップです。これからも 認知症の人がその人らしく 尊厳性を守られて地域で暮らし続けられるように私たちも支え合いの努力を継続していきたいと思います
    ・診療で心がけていたこと。ご本人の背後に隠された形で家族と話すことは避けたいのです
    ・大学病院の食堂で「迎えが来るよ 消えてしまいたいよ」「みんなに迷惑かけるね 早く死んだ方がいいね 僕は………」と後ろ向きな言葉が続く
    ・85歳の頃。また自分のことを アルツハイマー型認知症だと認識して アリセプト も服用していた。この頃よく仕事でお世話になっていた 聖路加国際病院の日野原重明先生がいきょされた。父は彼を目指す人として歩みたいものだと日記に記している
    ・デイケア。骨折から回復して自分でできることが増えてくると参加を渋るようになりました。
    ・デイケアにいると自分がひとりぼっちで時間がもったいないと感じるようでした
    ・それが実践できるのは 平和があってこそで、だから戦争はしちゃいけない。決まったら認知症ケア なんかできないんだから、と戦争体験の話につながっていくのです
    ・パーソンセンタードケアとは その人の立場に立ってその人が一番 利益を得るケアということですがそのためには その人のことをよく理解しなければなりません 認知症の人にも一人ひとり ユニークな個別性があります
    ・大きい 父の言葉が持つ力に気づいたのです。父にしか言えないようなキラッと光る言葉。その言葉が相手に 暖かな温度で伝わっているなと感じることがよくありました。認知症になっても こんなふうに伝えることができるんだ
    ・介護者がセルフケアをできて自分自身が健康であれば認知症の本人の希望や家族の思いを 専門職の方に正確にわかりやすく伝えることができます
    ・どんどん 決めないでよ 自分で決めるよ、と父に言われたこともあります
    ・そんな二人の希望に耳を傾けて 総合的に考えて一番良い方向を選択することが私の役割なのでしょう

  • 間も無く訪れるであろう、両親の老いに備えるべく手に取りました。
    長谷川先生の人としての歳の重ね方、むすめとしてのまりさんの受けとめ方が、饒舌でない分よりリアルで、心に沁みました。
    何か、行き詰まった時にめくりたいと思う本です。

  • 長谷川和夫先生、素晴らしい人生を歩んだ人だったんだなということと、
    自分の優しさで家族関係を温かいものに作り上げていって、
    そして、自他共に居心地のいい環境の中で人生を終えたのは素晴らしい。
    娘さん、やさしい。その優しさはやっぱりお父さんからということも感じた。

    〈本から〉
    生きている限り生きぬきたい。生かされるのではなく、自分の意志で生きたい

  • 筆者の「ボクはやっと認知症のことがわかった」を登録する際に知った本書。恐らく表題からして実質は介護している?娘の側からの書籍かな?機会があったら読んでみよう。

  •  認知症の検査、長谷川スケールを考案された、専門家長谷川先生が、自ら認知症にかかられた。
     しかし、悲観することなく、普通に暮らし、「人のお役に立ちたい」と、講演もこなされていて、「生きている限り、いきぬきたい」という姿が素晴らしい。それを、さりげなくサポートしている娘さん、まりさんの眼差しも暖かく、家族のやりとりが微笑ましい。
     高齢化社会のお手本となる家族の生き様だ。
     読後、ほっこりとする良書である。

  • 認知症の権威の長谷川先生の半生を娘さんが記録したもの。軽く読み流しもできるが介護を経験している人には深さがわかると思う。

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著者プロフィール

1929年愛知県生まれ。53年、東京慈恵会医科大学卒業。74年、「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表(改訂版は91年公表)。89年、日本で初の国際老年精神医学会を開催。2004年、「痴呆」から「認知症」に用語を変更した厚生労働省の検討会の委員。「パーソン・センタード・ケア」を普及し、ケアの第一人者としても知られる。現在、認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医大名誉教授。認知症を描いた絵本『だいじょうぶだよ――ぼくのおばあちゃん――』(ぱーそん書房)の作者でもある。

「2019年 『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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