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- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784806024903
感想・レビュー・書評
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古書店でばったり見つけて即買い。新品同然の状態だった。嬉しい。
奥付を見ると2018年発行。沖積舎はもともと復刻をよくしているのね。助かります。
「アルギメネス王」「アラビヤ人の天幕」「金文字の宣告」「山の神々」「光の門」「おき忘れた帽子」「旅宿の一夜」「女王の敵」「神々の笑い」を収録。
役名のフォントがちょっとかわいい。
いずれもわりと短い戯曲。短い中にダンセイニらしい驚異と憧憬、ユーモアが閃いて、舞台上、あるいはそれを遥かに超えたどこかにめくるめく夢を想像せずにはいられない。戯曲という形態からか、語りと沈黙の魔法もいっそう明らかに神秘的。
「アラビヤ人の天幕」で駱駝追い達が語る都市の夢、王が語る砂漠の夢、エズナルザが語る追憶の美しさに惚れ惚れ。最終的に追憶にとどまらず、夢を現実のものとする確信を得て幕となるところがどこまでも幸福なお話でもある。都市の王となった駱駝追いは、さて。夢と夢は等価に美しいとしても、現実の都市と自然、現実の王と流浪の民ならどうなんだろう?
「おき忘れた帽子」の都会の風と知性の笑いも面白かった。これが田舎の昔話だったら最初のひとりで決着のうえ、あとには何にも発展しないお話になるのかもしれない。ロマンスを弄ぶ詩人の台詞に変な笑いがこみあげる。これは絶対に、一座で一番の役者が演じなければ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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