ゲーム理論の思考法

著者 :
  • 中経出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806134701

作品紹介・あらすじ

「上司と部下の人間関係」、「企業間での競争」、「政治のかけひき」。ゲーム理論では、あらゆる問題をひとつの「ゲーム」ととらえます。起こっている問題がどのような構造になっていて、どんなルールに支配されているかを考える際、その全体像を「ゲーム」と呼んでいるのです。あらゆる問題を「ゲーム」として見ることができれば、「ゲームの構造(問題の本質)」を俯瞰的に見ることができ、より質の高い思考を行なうことができます。本書の目的は、ゲーム理論の代表的なゲームを学びながら、その「戦略的思考」を身につけることにあります。

感想・レビュー・書評

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  • 10年以上前の本ですが、ゲーム理論がとてもわかりやすく説明されている本でした。「経済学を学び始めた」、「ゲーム理論って言葉は聞いたことがあるけどいまいち何かわからない」などという人にはぜひ読んでもらいたい本です。内容も例を交えて説明されているため、とてもわかりやすいです。しっかり読めば、疑問に思う点なども出てくると思う(僕は出てきました)ので、今後の学びにも生かせるいい本だと思います。

  • わかりやすくゲーム理論に関して書いてある
    ビジネスにも応用できる思考法なので、社会人なら読んでおくと役に立ちそう

  • 読みやすい本です。初心者向けのゲーム理論入門本ですが、事例も身近で楽しめました。,,著者はゲーム理論によって, 状況を正しく理解する, 未来を予測する, 状況を改善する問題を解決する,力が養えるとしています。,,◆キーワード,?ナッシュ均衡,(→映画「ビューティフルマインド」の主人公ですね),?コーディネーションゲーム ex.VHS対ベータ,?チキンゲーム ex.キューバ危機,?ダイナミックゲーム,,図書館で借りました。

  • 「ゲーム理論」と聞くと、経済学の難しい考え方と
    とらえる人が多いと思います。

    本書は「ゲーム理論」のエッセンスをわかりやすく記載されています。

    「ゲーム理論」の入門書としては最適な一冊。

    『囚人のジレンマ』という言葉は知っているけど、それが何を
    意味しているのかまでは理解できていないという私みたいな人は、
    是非読んでみてください。

    この本を読んだ後に、「行動経済学」に関する書籍を読むと、
    もっといいと思います。

  • 2019年
    いやぁ。気づかずに前読んだ本読んでた。読み終わっても気づかず、ブクログ入れようとしたら、もう入ってて驚いた。嗜好って変わらないんだね。
    これ読んで真っ先に思ったのが、北朝鮮はゲーム理論を極めて高いレベルで実践しているんじゃないのかな。
    人間は実利を取り、理性的に判断するというゲーム理論と、人間はバイアスによって非合理な判断をするという行動経済学と、相反するものが同時に存在していることのジレンマを感じる。
    結局、行った結果から判断するにどのような過程で判断したのかを振り替え事はできるけど、未来を予想する際によりどころとすべき考え方が、ゲーム理論なのか、行動経済学なのかはケースバイケースで、分からない、って事じゃないかな。
    まぁ、両方知った上で、相手がどのような手を打ってくるかを考えるのだろうね。面白い。

    2015年
    ゲーム理論って、同じ知識レベルや同じ理論を学んだ人が相手という前提、というのが引っかかってたのです。
    本書の後半では、そのような前提に立たない相手との対峙方法についても言及。
    相手の立場に立って客観的に利害を整理することはとても大事です。

  • ゲームの構造を理解する、
    未来を予測する、
    適切な解決策を見つける
    の三本柱を主張していた。

    バックワード・インダクションが印象に残った。
    全体のゲームを俯瞰して見なきゃあかんのね。
    未来の予測は誰しも完璧に行えないと。

    好きな人が行動経済学(恐らく)の専門ということで、この手の本を読んだ。
    うむむ。私との駆け引きはゲーム理論で行っているのか…と考えさせられ、その理論通りにいかないように仕向けたいと思ったこの頃。笑

  • ナッシュくん

  • 字が少ない。

  • 序章でゲーム理論を①ゲームの構造(問題の全体像)を把握し、②起こりうる未来を予測し、③適切な解決策を見つける(解決策を見つける)ツールとして紹介し、以下の章で有名なゲームを紹介した後に身近な例でわかりやすく解説した入門書。

    1章では、結果としてより望ましい状況があるにもかかわらず個人が合理的に行動するがためにその結果に行きつかない、ゲーム理論で最も有名な囚人のジレンマ。
    2章では、ゲームに参加するプレイヤーが同調することでお互いに利益を得る構造のコーディネーションゲーム。
    3章では、強硬と妥協の鬩ぎ合いでプレイヤーが揺れ動くチキンゲーム、純粋戦略(ある選択を確定的に選択する戦略)ではナッシュ均衡がないマッチングペニーズ(じゃんけんで確定的な戦略を取る人がいない、ただ確率的な戦略を取り入れた混合戦略ならば均衡は存在する)、似たような店が近場に密集するのにも理由があることを示すホテリングのゲームの3つのゲーム。
    4章では、時間の経過を取り入れてよりナッシュ均衡を精緻化するダイナミック・ゲームや繰り返しゲームによる1回限りのケースとは異なるナッシュ均衡の話。
    最後の終章5章では行動経済学の話で人間は古典的な経済学が想定するホモエコノミカスとは違い不合理な行動をとるという話を紹介。

    ゲーム理論ってなに?って人でも非常に読みやすく、内容もきちんとしているので最初の1冊としておすすめです。ただ少々ゲーム理論に肩入れしすぎている感じがするので、もっとドライでクールな記述がお好みの方は別の入門書(たとえば天谷研一先生の『図解で学ぶゲーム理論入門』)の方が良いかもしれません。

    ちなみにボクが本書に登場するゲームではじめて聞いて一番面白いと感じたのはホテリングゲームでした。しかしプレイヤーが2人のケースはなんとなくわかりますが、プレイヤーが3人以上になったとき数理的な話ではどういう分析をするのでしょうか、ちょっと調べてみたいです。


    <引用>
    環境問題や就職活動の問題、あるいはその他のさまざまな問題においても、人びとの道徳心に訴えるだけでは真の解決にはつながりません。有効な形でゲームのルールを変え、人々の行動を変えていく。そんな合理的なアプローチこそ、問題の構造そのものを変え解決へと導いていくのです。(p.88)
    ゲーム理論の目的の1つとして「最適な解決策を見つける」とき、「どうしたら、協調関係を築くことができるのか」を考えるのも重要なアプローチだと私は考えます。(p.209)

    <メモ>
    ~序章~
    ゲーム理論(game theory):2人以上のプレイヤー(意思決定を行う主体)の意思決定・行動を分析する理論
    ナッシュ均衡(Nash equilibrium):お互いに相手の戦略に対して最良の行動をとりあっている状態
    ~1章~
    囚人のジレンマ(prisoners' dilemma):お互いが利己的な行動をとった結果、双方にとってより良い選択があるにもかかわらず、それを選び取ることができない(prisoner's dilemmaとも、というかこっちの方が一般的だと思う)
    ~2章~
    コーディネーション・ゲーム(coordination game):ゲームに参加するプレイヤーが、同調することでお互いに利益を得る構造のゲーム
    コーディネーションの失敗:複数あるナッシュ近郊の中で、人びとにとって「望ましくないナッシュ均衡」に落ち着いてしまう事(不況もコーディネーションの失敗?)
    ~4章~
    ダイナミック・ゲーム(dynamic game):時間が経過するとともに、展開が変わっていくゲーム
    バックワード・インダクション(backward induction):最後に意思決定をする人から順番に最適な行動を選び、最適でない選択肢を消していく方法
    時間不整合性(time inconsistency):時間の経過とともに最適な行動が変わってしまう事
    フォーク定理(folk theorem):何度も繰り返されるゲームそのものを大きなゲームととらえると、協調関係もナッシュ均衡となる

    <本書に出てきた文献など>
    『この世で一番の奇跡』(コーディネーションゲームの話にて)
    『13デイズ』(チキンレースの話にて)

    2009年9月5日 第1刷発行
    おすすめ:4
    読みやすさ:5
    知的好奇心:2
    専門性:2
    コスパ:2(文庫本は3)
    読了までの時間:1h39min

  • ゲーム理論の紹介本はいろいろ出ていますが、本書は文庫としてコンパクトにまとまっていると思います。特に他の本ではあまり見られないような切り口で人間関係や政治といった社会現象を説明しようとしている点がおもしろかったです。
    著者は理論の効用を
    1)状況を正しく理解する
    2)次の状況を予測する
    3)状況を改善する(問題解決)
    の3点にまとめています。行動経済学による視点も用いられています。

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著者プロフィール

川西諭上智大学経済学部教授。東京大学大学院経済学研究科を経て、1998年より上智大学経済学部で教鞭をとる。経済学博士。おもな研究分野はゲーム理論と行動経済学を応用した経済社会分析。経済変動や金融危機、環境問題、少子高齢化や地域の活性化など、さまざまな問題に取り組む。現在は、地域や企業内における人間関係が経済活動に与える影響を多面的に分析し、理想的な人間関係を実現するための介入方法などについて研究している。おもな著書に『ゲーム理論の思考法』(KADOKAWA/中経出版)、『経済学で使う微分入門』(新世社)、『図解よくわかる行動経済学』(秀和システム)、『金融のエッセンス』(共著、有斐閣)、『マンガでやさしくわかるゲーム理論』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

「2023年 『マンガでわかる行動経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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