先生、オサムシが研究室を掃除しています! (鳥取環境大学の森の人間動物行動学)

著者 :
  • 築地書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806715597

作品紹介・あらすじ

コウモリはフクロウの声を聞いて石の下に隠れ、
ばかデカイ心臓をもつ“モモンガノミ”はアカネズミを嫌い、
芦津のモモンガはついにテレビデビュー!
そして、コバヤシ教授は今日も全力疾走中!

感想・レビュー・書評

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  • 再読しだして止まらなくなったシリーズ。
    これがねぇ、見回りの間の空き時間に読むのにめちゃちょうどええねんな。軽いようで、非常に深い。ブレインがストーミーですわ。たまりません。
    ・ヤギ、1匹だけ仕事に連れて行ってもらえなかったクルミ
    ・モモジロコウモリがフクロウに対して示す2つの反応
    ・芦津モモンガ、ダーウィンが来たに出演
    ・保護鳥、メジロ、シメ
    ・ヤギは糞や唾液のニオイがついた餌はたべない
    ・モモンガノミ
    ・10個の巣箱から6種類の動物
    今作も非常に面白かった。特に惹かれたのがモモジロコウモリの反応、モモンガノミ、巣箱。ノミダニシラミはほんと奥が深いわ。そういえば、探し求めているシラミバエ、余裕のあるときには全く出ぇへんな。オオジュリンについたんしか見たことがない。

  • 「先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!」に始まる、動物行動学者、小林朋道さんの「先生」シリーズ、これが12冊目だそうである。

    なるほど、人気シリーズなのだな、と思う。軽く読めるが、なかなか深い。
    さまざまな動物たちの生態に加え、動物行動学という学問が何を探求しようとし、どのように研究を進めているのか、門外漢にもわかりやすく、楽しく読み進められる形になっている。
    本巻のタイトルは「オサムシが研究室を掃除しています」だが、これは前振りの話題で、むしろ本文にはヤギやモモンガ、コウモリの話題が多い。とはいえ、「はじめに」で登場する、オサムシがロボット掃除機さながら、ゴミを後肢にくっつけてせっせと移動している写真はかなり衝(笑?)撃的ではある。

    全部で7章、各章には、「ヤギは仲間といることを強く望む動物だ」「暑さにふらつく鳥、寒さによろめく鳥」「ニホンモモンガの体毛に生息するノミに魅せられて」といったタイトルがつく。どんな内容なのか読むまでは見当がつかないが、読めばなるほどその通りの中身である。
    一番印象的だったのは、モモジロコウモリと天敵のフクロウの話だろうか。小林先生は、モモジロコウモリのある行動とフクロウの鳴き声の間の関係を探り出す。結論を聞けば、そうなんだ、なるほど、と感心するところである。
    だが、結論を導くには仮説を立て、その仮説を検証するための実験系を組み、条件を整えて実験を行い、結果を検討するという作業が必要になる。動物行動学の場合、個々の動物のさまざまな行動がどのように引き起こされているか考えるためには、その都度、その動物のその行動にあった実験系を作らなければならない。これはかなりセンスを要求されることで、もちろん、試行錯誤も必要になる。
    先生自身も書いているが、本などで話題にするのは成功例が多いけれども、その陰には数多くのうまくいかなかった実験があるはずなのだ。あるいは仮説が間違っていたのか、あるいは実験の組み方がまずかったのか、あるいは動物の状態が整っていなかったのか。
    いずれにしても、動物の行動の背景を探るには、その動物の目線になることが必要だということなのだろう。

    全編を通し、じっくり観察して深く考察する姿勢に感銘を受ける。軽く書かれた筆致が心地よいのは、その奥に動物に対する温かいまなざしがあるためだろう。先生、本当に動物が好きなんだなぁと思う。どこか俳優の松重豊さんに似ている、ちょっとコワモテの小林先生が動物を見る目は、動物たちへの敬意に満ちて、かつとても優しいのだと思う。

  • 相変わらず学級新聞的な文章ですが、
    動物行動学?と構えることなく、
    気楽に読むことができる楽しいシリーズ。
    1人いや、一頭だけ置いていかれて寂しそうだったヤギじいさんが印象的。
    太字の部分は著者さんが決めてるのかな、それとも編集者?

  • 前から気になっていたシリーズ。ヤギ部 興味をそそられます。

  • 多分12冊目。
    あいかわらずとぼけた先生と学生達とヤギとモモンガとコウモリなどなど。

    装丁 / 阿部 芳春

  • しんみりと始まった「はじめに」で高校生の生物認知でカエルやヘビは虫。漢字にすると「蛙」「蛇」虫片がついてるじゃないかと。モモンガに着いたノミの心臓の話も面白い。体長の半分以上が心臓、「ノミの心臓」は言い当て妙。「ダーウィンが来た!」は見逃していたのは残念だった。最後の章のヤマネとモモンガの写真が愛らしい。このシリーズは生物(人間も含む)について易しく学べ、小林先生の記録の保存媒体ヒューマン.クラウドである学生の研究や講義に打ち込む生き生きとした姿も想像できる。楽しんで学ぶ、羨ましい!

  • 楽し~い(((o(*゚∀゚*)o)))このシリーズを読むと、知らなかった事が面白おかしく学べる♪でも今回は「しんみり」で始まる(._.)うちの部屋もオサムシに掃除して欲しいわ~(^^)でも部屋に放し飼いはちょっとなぁ(--;)

  • 相変わらずのヤギ部とか、可愛いモモンガ(ダーウィンがきた)とか、コウモリがフクロウさんを怖がる話とか。
    ヤギは集団じゃないといけないんだなってのがそこまで精神的にきてしまうのが愛しい。

    カラーページが増えてて良いね、今後もお願いします。

  • 小林先生がヘルプをされた「ダーウィンが来た」のモモンガの回が観たい。

  • シリーズ12冊目。
    毎度のことならが、安定の面白さ。

    「脳という物質から、なぜ意識という非物質のものが生じるのか?」
    「行動も認知も意識も感情も、
     全て自分の生存・繁殖に有利になるように作られている。」

    同感。
    私も時々、自分の感情の変化にふと気づいたとき、
    どんな場面でこの"本能"が優位だったんだろう?
    と考えて、一人で遊んでみたりしてる。笑

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著者プロフィール

1958年岡山県生まれ。
岡山大学理学部生物学科卒業。京都大学で理学博士取得。
岡山県で高等学校に勤務後、2001年鳥取環境大学講師、2005 年教授。
2015年より公立鳥取環境大学に名称変更。
専門は動物行動学、進化心理学。
これまで、ヒトも含めた哺乳類、鳥類、両生類などの行動を、動物の生存や繁殖にどのように役立つかという視点から調べてきた。
現在は、ヒトと自然の精神的なつながりについての研究や、水辺や森の絶滅危惧動物の保全活動に取り組んでいる。
中国山地の山あいで、幼いころから野生生物たちとふれあいながら育ち、気がつくとそのまま大人になっていた。
1日のうち少しでも野生生物との"交流"をもたないと体調が悪くなる。
自分では虚弱体質の理論派だと思っているが、学生たちからは体力だのみの現場派だと言われている。

「2023年 『先生、ヒキガエルが目移りしてダンゴムシを食べられません!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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