- Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
- / ISBN・EAN: 9784808302207
感想・レビュー・書評
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土光敏夫氏も、昨年没後30年を迎へたのであります。勿論昨年用意してゐたのですが、『近代文学をどう読むか』の項でも述べた通り、ずぼらの所為で年をまたいでしまひました。
まあ良い。ところで本書はわたくしが就職活動をしてゐた頃、中日新聞社のセミナアに参加した時に貰つたものであります。貰つたと言つても参加費を徴収してゐたので、本代もそれに含まれてゐたのでせうが。「中日新聞」「東京新聞」に連載されたものをまとめたさうです。
土光氏といへば、「ミスター臨調」「めざしの土光さん」などの庶民的なイメエヂがあります。実際本書を読むと(聞き書きみたいですが)、個人的にはふむふむと唸る提言で満載です。
例へば「補助金農政をきる」。農作物の自由化について既にこの時期に言及してゐます。自身は農家出身ながら、閉鎖的な日本農政を批判してをります。
例へば「国鉄赤字線の再建」。ミスター臨調とよばれるだけあつて、大赤字の国鉄問題は責任のなすりつけあいにウンザリしてゐるやうです。赤字脱却の一例として、初の第三セクター鉄道(国鉄からの転換で)である三陸鉄道を取り上げてゐます。ただ、当初黒字経営だつた同社も、徐々に経営悪化、赤字に転落し、更に東日本大震災が追ひ打ちをかけました(でも、頑張つてゐます)。
土光氏が当時の政府・自民党に提言した数数。土光氏も嘆くやうに、官憲が動かなかつた件が誠に多い。つまり現在に至つても変つてゐないのであります。今でも通用する内容であることが却つて哀しいのでした。
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