太郎の窓

著者 :
  • 汐文社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784811327501

作品紹介・あらすじ

太郎のお父さんは、いつも太郎に「男らしくしろ」と言っている。
でも太郎の心はぜんぜんちがう。男らしくなんてしたくない。
太郎という名前が大きらい。ズボンよりも、スカートをはきたいのに……。
心と体のちがいに苦しむ太郎の成長を描いた感動作。

感想・レビュー・書評

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  • 太郎は自分の名前が嫌い
    自分も男らしく、太郎にも“男らしさ”を強いるお父さんも苦手

    おばあちゃんとお出かけしたとき、お父さんとお母さんにナイショで買ってもらったテディベアのこぐちゃんをとても大切にしている

    幼稚園は女の子が多くて一緒に遊んでいても、だれにも何も言われなかったけど、小学校にあがって秘密にしなければいけないことが増えてしまった

    〇自分の居場所をさぐりながら生きる彼女の願いが切ない
    〇今森さんの選択をとらなくてもよい世の中になりますように、していけますように
    作者は、みんなが幸せな人生を歩むことができるよう、法律や教育をただし、助けてくれる仲間を増やし・気軽に悩みを相談できる場所を、僕たち大人が必ず作りますと宣言されている
    〇第二次性徴をむかえるころが性同一性障害を持つ人には1番しんどい時期なのかなと思った
    〇作者の中島さんは性同一性障害を持ち、現在は渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員をつとめる

  • トランスジェンダーの、性認識の芽生え、成長とともに広がるギャップ、友達との悩みを、「太郎」というひとりの「少女」の言葉で綴った児童書。クローゼットに眠る可愛いぬいぐるみの「こぐちゃん」を隠すこと=自分の中の性自認を隠すことのメタファーと感じながら読んでいた。「ずっと見つからずにいられたら」という思いと「隠し続けていては辛すぎるよ」という想いの間で揺れながら、おばあちゃんの優しさに家族以上の何かを感じていたが、最後に告げられる事実に、心打たれた。。
    太郎が「徐々に」気づいていく過程は、トランスジェンダーの子供のよくある発達過程の例なのだろうか。私は身近にこういった子が居なかった(または気づかなかった)まま大人になってしまったが、小学校のときにこういった児童書に出会っていれば、もう少しいろんなことに対して寛容になって、何かの受け皿になれたのではないかと思う一冊だった。最後の後書きの杉山さんのメッセージも、素敵。

  • 「太郎」の気持ちがひしひしと伝わる話でした。

    おばあちゃんという理解者がいたのが救いだと思っていたら、おばあちゃん自身、経験から学んだことがあったという。

    学校の先生たちに読んでほしいと思います。

  • 太郎のお父さんは、「男らしくなれ」と太郎に言い続けていた。でも、太郎の心は女の子だった…。トランスジェンダーの子どもの苦悩と、周りの大人の寄り添い方に考えさせられる物語。

  • 文体が児童文学なのに、絶対大人も読まなアカン本。特に若者よりも中年層。昨今の人間社会の多様性ってある年齢以上の方は受け入れ難いんだろうけど、そんな人にほど“怖くない怖くない”と言って受け取らせてしまいたい。

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著者プロフィール

中島 信子(なかじま のぶこ)

1942年、福島県須賀川市に生まれる。1965年、お茶の水女子大学教育学部英文科卒業。1985年、新潟家庭裁判所調停委員に就任。2000年、新潟地方裁判所・簡易裁判所民事調停委員に就任。2012年、FPIC新潟ファミリー相談室設立、面会交流援助活動参加。2013年、新潟家庭裁判所家事調停委員を退任。2014年、新潟地方裁判所・簡易裁判所民事調停委員を退任。

「2017年 『家事調停委員の回想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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