新装改訂版 新書判 山口組動乱!!2008-2011 司忍六代目組長復帰と紳助事件

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  • 竹書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784812448175

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  • 暴力団は変質せざるを得ず、山口組もその例外ではない。長引く不況で末端の組員は窮乏化し、暴力団排除条例が全都道府県で制定されるなか、彼らをはじめとする組織は以下に変貌していくのか?それを追ったルポです。

    暴力団関係の取材では第一人者とされる溝口敦氏による2008年から2011年までの業界最大手の『ガリバー』である『菱の軍団』の動向を追ったノンフィクションす。僕はこういう世界の裏事情について、あまり詳しくはないのでなんともいえませんが、業界再編と、食える人間と食えない人間との格差は『裏』の世界だとこれほどなまでに如実になるのだということを改めて思い知ることができました。

    羽振りのいい人間は5000万、6000万クラスの高級車を難題も所有し、金に詰まった人間はその日の食事代にも事欠くという、まさに『弱肉強食』の論理が貫かれているということに空恐ろしささえ感じました。さらに代替わりが行われた際、かつて主流派閥だった人間をあの手この手で組織から追放し、自分の出身団体のカラーに染め直していく手腕や手口は周到かつ狡猾、迅速に行われ、なぜ『菱の軍団』が業界最大手の団体であり続けることができうるのか?その部分が詳細な解説で書かれていて、読み応えのあるものでございました。

    そして、熾烈を極める警察組織との攻防戦にも、経済力や、暴力はもちろんのこと、さらには法律知識に裁判闘争。裏では『インテリジェンス集団』まで駆使して国家権力と渡り合う姿も描写されていて、警察側が『暴力団というよりもむしろ過激派に近い』といっていた理由がよくわかったような気がいたしました。今後、彼らの行く末には暗雲が立ち込めていると筆者は結んでいますが、それが本当のことになるかどうかはさておいて、今後も行く末を見守っていきたいと思っております。

  • 本書は新書版なのだが元本が単行本で出来た時、カバーの司忍組長の
    写真が格好良くて思わず衝動買いしそうになった。いかん、ヤクザの組長
    でジャケ買いしてたらきりがないぞ。そう自分に言い聞かせて諦めたの
    だが、今回は買ってしまった。

    言わずと知れた日本最大規模の暴力団・山口組。その六代目となる司忍
    組長は組長就任とほぼ同時に服役し、昨年府中刑務所から出所。

    その留守を守ったのが高山若頭。組長不在の山口組が高山若頭の采配
    の元で過ごした日々を綴るドキュメントである。

    いや~、ヤクザの世界も庶民や政治の世界と変わらないね。5代目を慕う
    直系組長を次々と遠ざけたり、若い勢力を引き上げて地盤を盤石にする
    のだも。

    それに、後藤組組長の除籍処分の時にこれに抗議する組長たちの連名
    でマスコミや直系の組にファックスで送られた文書なんて、国会の証人
    喚問かよ?と思う。

    曰く、月々納めている会費が値上がりしたが使途が明かされてない。
    曰く、飲料水や雑貨の強制購入での収益はどうなっているのか。
    曰く、五代目時代に会館を作ると言って20億円を集めて土地を買ったが、
    その後売却されている。金の行方は?
    曰く、五代目時代に貯蓄した10億円はどうなっているのか。

    おまけに、各組間や組内部での貧富の格差も広がっているようだ。ヤクザも
    楽な商売じゃないんだな。

    警視庁は山口組壊滅を狙った暴力団排除に懸命だが、著者も言っているよう
    に日本の暴力団がマフィアのように地下に潜ったらその方が怖いんじゃないか。
    ヤクザはヤクザと分かってこそ民間人も気を付けるんだろうし。

    新書版ではチンピラ芸人の芸能界引退事件が加筆されている。まぁ、芸能界
    とヤクザの関係なんて斬っても切れないものだから驚きもしないが。

    現在の山口組の組織を知るには良書である。尚、私が大阪府警を「第2山口
    組」と読んでいるのは内緒である。笑。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。ジャーナリスト。1942年、東京都に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、フリーに。著書には『暴力団』(新潮新書)、『血と抗争 山口組三代目』『山口組四代目 荒らぶる獅子』『武闘派 三代目山口組若頭』『ドキュメント 五代目山口組』『山口組動乱!! 日本最大の暴力団ドキュメント2008~2015』などの山口組ドキュメントシリーズ、『食肉の帝王』(以上、講談社+α文庫)、『詐欺の帝王』(文春新書)、『パチンコ「30兆円の闇」』(小学館文庫)などがある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞を受賞した。

「2023年 『喰うか喰われるか 私の山口組体験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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