- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784813700661
作品紹介・あらすじ
自らの命を絶とうと、学校の屋上から飛び降りた高校1年の弥八子。けれど-気がつくとなぜか、クラスメイト4人と共に教室にいた。やがて、そこはドアや窓が開かない密室であることに気づく。時計は不気味に3分間を繰り返し、先に進まない。いったいなぜ?そして、この5人が召喚された意味とは?…すべての謎を解く鍵は、弥八子の遠い記憶の中の"ある人物"との約束だった…。予想外のラストに感涙…。共感度120%の新感覚青春小説!
感想・レビュー・書評
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主人公で高校一年生の弥八子は、小学生の時に母親が病気で亡くなり、家での居場所がなくなって、自ら命を断とうと学校の屋上から飛び降ります。しかし、気がつくとクラスメイトの4人と教室にいました。なぜかドアも窓も開かず、教室から出ることができません。しかも、時計の時間は3分を繰り返し、先には進みません。繰り返す3分の密室の中で、それぞれ5人の葛藤の物語となっています。
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何度も胸がぎゅっと締め付けられた。
教室に閉じ込められた五人と、3分間。
彼らの言葉はある意味とても若い。そしてその言葉だけを聞けば、そんなはずない、と否定したくなる人もいるかもしれない。
でも、作品の中で彼らがリアルに描かれていて、生きている。だからこそ彼らから発せられる言葉が胸にダイレクトに届いて何度もなんども愛しくて涙が出そうになった。
彼らのこれからに、明るく幸せな逃げ場所ができますように。 -
クラスメイトのみんなが優しい。現実の私のクラスメイトもこんな風に優しいんじゃないか、と勇気を与えてくれる。
15歳でこんなにも自分の意見をしっかりと持ち、それを人に伝えられる登場人物を見ていると焦りが湧いてくる。 -
辻村深月さんの「冷たい校舎の時は止まる」を軽くした感じ。
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自分を持って生きること。
大切な言葉が心に響く。
現実ではない非日常の中でわかり始める5人に感謝。 -
このお話の何が凄いかといえば、教室という閉鎖空間ですべて完結するところ。主人公である弥八子の、死にたいから生きたいと願えるようになれるまで。この年頃特有の悩みをそれぞれが抱えながらも、特殊な現象の中で、相手を知ろうとしながら自身をも見つめ直していく。
全体的に、構成や登場人物に良い意味で真面目だなという印象を受けました。五十嵐くんのインパクトが強いせいかな。 -
すごい。15歳の彼等に、あの年齢の彼等に、真正面から「捨てろ」「逃げろ」の選択肢を堂々と差し出せる潔さがすごい。生半可に書かれたものじゃない。この年代への物語を書くのがいかにありふれていていかに難しいかはよく知ってる。なかには薄ぺらのものだってあるなかで、この怖いくらいのリアリティと緊迫感、すごい。
よくもまぁ世に出ずに数年も眠れたよね!早く本にしようよ!
今の世にいる『弥八子と六佳』にこの物語が届くといいなぁ。いつの時代にも二人はいると思うからこの先も届き続けるといいな。
小説って本来そういうものだから。次の世代にもその次の世代にも残せるものだから。