プロダクトマネージャーのしごと 第2版 ―1日目から使える実践ガイド
- オライリー・ジャパン (2023年9月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784814400430
作品紹介・あらすじ
プロダクトマネジメントの考え方と行動について解説!プロダクトマネジメントは理論的には人々に愛されるプロダクトを作ることであり、ビジネスゴールとユーザニーズを計測することとされていますが、実際は、問題に直面しているプロダクトを改良するための粘り強い取り組みであり、ビジネスの「ゴール」が何かを明らかにするために執拗に働きかけることです。プロダクトマネジメントにおけるあいまいさや矛盾、不本意な妥協を紹介し、プロダクトマネージャーに必要な考え方と日々の行動、過ごし方を解説します。
感想・レビュー・書評
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一ソフトウェアエンジニアとして、プロダクトマネージャーに期待することが非常にうまく言語化されていると感じた。
いくらエンジニアが横から口を出そうがプロダクトのアウトカムに責任を持てるのはプロダクトマネージャーであり、本書はプロダクトマネージャーがその責任を果たすための有益であろう記述がされている。本職のプロダクトマネージャーの方がどう感じるかは分からない。
本書は16章から構成されている。
1章 プロダクトマネジメントの実践 / 2章 プロダクトマネジメントのCOREスキル / 3章 好奇心をあらわにする / 4章 過剰コミュニケーションの技術 / 5章 シニアステークホルダーと働く / 6章 ユーザーに話しかける / 7章 「ベストプラクティス」のワーストなところ / 8章 アジャイルについての素晴らしくも残念な真実 / 9章 ドキュメントは無限に時間を浪費する / 10章 ビジョン、ミッション、達成目標、戦略を始めとしたイケてる言葉たち / 11章 「データ、舵を取れ!」 / 12章 優先順位付け:すべてのよりどころ / 13章 おうちでやってみよう:リモートワークの試練と困難 / 14章 プロダクトマネージャーの中のマネージャー / 15章 良いときと悪いとき / 16章 どんなことでも
それぞれの章の末尾には「チェックリスト」という形でその章の重要な主張が箇条書きでまとめられていて、要点の確認や振り返りに役にたつ。
2章では、プロダクトマネージャーに必要とされるスキルがまとめられている。
> プロダクトマネージャーは下記のことができる必要があります。
> ・ステークホルダーとコミュニケーション(Communicate)する
> ・持続的に成功するチームを組織化(Organize)する
> ・プロダクトのユーザーのニーズとゴールをリサーチ(Research)する
> ・プロダクトチームがゴールに到達するための日々のタスクを実行(Execute)する(p.18 プロダクトマネジメントのCOREスキル)
各項目の詳細は本文に書かれており、どれも納得感がある。
以降の文章では、プロダクトマネージャーに関する振る舞いや考え方について書かれている。
> 私たちの仕事はシステムを改善し、ビジネスやユーザーに対するアウトカムを継続的に改善し続けることです。(p.52 すべてがあなたのせいではない。アウトカムは意図より重要)
> デザイナー:デザインを4種類作ってみたんだけど、どれがいい?...デザイナーにプロジェクトのゴールにいちばん合っている選択肢は何かを尋ねることで、デザイナーに対するあなたの信頼を示すことができます。(p.67 過剰コミュニケーションの実践)
> ユーザーニーズが社内政治でかき消されないようにしましょう。ユーザーニーズを意思決定の指針にして、シニアリーダーとのミーティングでユーザーの視点を活かしましょう。(p.93 シニアステークホルダーと働く)
> 「業界トップ」企業のケーススタディのほとんどは、言ってしまえば、採用のためのプロパガンダです。(p.111 誇張を鵜呑みにしない)
> 制約と限界のなかでベストを尽くすところから始めるのが、結果として制約を取り除き、限界を超えるいちばんの道です。(p.114 現実と恋に落ちる)
> アジャイルはたった1つの規範的なルールに従うというものではなく、むしろ、価値観に沿ったプラクティスを設計し実行するものです。その価値観の中心にあるのは、人間の独自性と複雑性を受け入れることです。個人を心から尊敬することの意味は、肩書きや組織図を超えて現実に共に働く相手を理解することなのです。(p.129 アジャイルマニフェストに目を向ける)
上のような価値観は外野から強制すればそれこそ組織が壊れるだろうが、チームの一員としてサポートをする機会が持てたときのために共通の価値観を知っておくことには意味があるだろうと感じる。
付録にはプロダクトマネジメントの関連書籍が複数掲載されていて、本書を読んだ後に読んでみたいと思える書籍が並んでいる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
紛れもなくプロダクトマネージャーに関する書籍だが、ここにはVPCもカスタマージャーニーマップもリーンキャンバスもない。プロダクトマネージャーのしごとは現場により千差万別であり、自ら考えアジャストし行動する必要がある。
「このプラクティスをやっておけばよい/やらなければならない」という呪縛は枷にしかならないため、あえて紹介していないのだろう。
人と人、組織と組織をつなぐようなコミュニケーションや、率直なフィードバックを受け止めるための心得。決して派手ではないが確かに必要不可欠なこれらの「しごと」は、プロダクトマネージャーだけでなく周囲の関係者も知っておきたい。
ビルドトラップ本と並んでおさえておきたい一冊だ。 -
多くの関係者と多様な観点でコミュニケーションする際に、思い込みの悪影響を抑えて、相手を尊重しながら、自身の思いを伝えるための Tips が詰まっていると感じました。
最も内省を促されたのは「相手はものごとをよくする意図で対面していると仮定しよう」という旨の記述でした。
自身で考えた構想や設計の正当性を相手に押し付けることが少なくなく、それによって色々な摩擦を起こしてきた黒歴史が頭をよぎり、恥ずかしい気持ちにもなりました。
自分が話す前と相手の発言の後に「相手はものごとをよくする意図で対面していると仮定しよう」と心の中で1クッションおいて、コミュニケーションの質をあげていきたいと思います。
この本で学べるコミュニケーションの本質は、年代や職種を超えて価値のあるものだと思います。
ただ、プロダクト開発やIT関連の方向けの事例をベースにした書籍なので、それらの職種と関連の低い方が読んでも共感を得にくいかもしれません… -
プロダクトマネジメントについて、テクニカルな領域よりもコミュニケーションのあり方(会話だけではなく言葉にできること・できないことを伝えたり共有したりすること)に注目したもの。
理論よりも著者の経験に基づいて、的確な鋭さを持って面白く表現してくれている。 -
プロダクトをマネジメントする立場として、試したいと思える内容や、頭に入れたいと思える記事・書籍など、自分の考えを広げるのに役立つヒントをたくさんもらえたように思う。
また、その内容も、現実離れしたものはなく、確かにそうだよね、と思えるものが多かったので良かった。人にも薦めたい。 -
読了後の納得感が強い。プロダクトマネジメントこそが実はHowの議論に終始してしまいやすいが、本質に迫り続けるだいじさが認識できた気がする。
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PFEにおいてのPDMというのも話題になっているので読んでみた。こういった具体的なロールが言語化されている書籍は、自分がそのロールでなくても事業や会社の中でそのロールの人と仕事をするのであれば、読んでおくと良いと思う。
参考になってとても良い。個人的には9章、10章、12章が良かった。4章、5章を読んでいると前職のことをいろいろとできていなかったことも思い出したりもした。 -
プロダクト開発関係者にとって、この本は革命的!「正解は一つじゃない」とのメッセージが心に響き、フレームワークをただの鵜呑みにせず、真の問題解決の核心に迫ります。驚くべき「すぐれたプロダクトマネージャー」の特徴も網羅!各テーマごとのチェックリストは圧巻で、読むたびに新しい発見が。そして、付録の実践読書リストは、まさに宝の山!今すぐ手にとるべき一冊です!
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今年のトップ5かも
やったことある人ならあるあるで頷ける内容ばかりだと思う
ドキュメントはコミュニケーションの手段。初版は1時間以上かけない は役に立つアイデアだった。