「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する (SB新書)

著者 :
  • SBクリエイティブ
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815602604

作品紹介・あらすじ

自閉スペクトラム症、ADHD……
診断名よりも大切なこと

診断名はあくまでもその子の一部にしか過ぎません。「自閉スペクトラム症のAくん」「注意欠如・多動症(ADHD)のBちゃん」といった視点よりも、大切なのは、その子の目線にまで達して、気持ちを想像してみること。本書では、「発達障害」と診断される可能性のある子どもたち12のストーリーを例に、その子の気持ちを想像し、困っていることを探り、「仮の理解」を行う過程を解説。わが子の「不可解」な行動に、悩める親や支援者を応援する一冊です。


【内容】
この本は、わが子の育ちを心配する保護者の方に手に取ってもらえたらという思いで書きました。
発達障害について解説する本は、たくさんあります。
でも、漠然とした「不安」を抱えた保護者の方がまず初めに思うのは、わが子にどんな診断がつくのかということよりも(もちろん、それも大切なことではありますが)、ただただ毎日を穏やかに、楽しく、わが子の成長を喜びながら関わりたい。そのために、今ある「不安」を少しでも軽くしたいといったことではないでしょうか。
例えば、どうして夜に寝てくれないの? どうして外で困らせるの? どうして言うことを聞いてくれないの……?
そんなわが子に向かって最初に願うことは、「ただ、この子とうまくつき合いたいだけ。
この子が感じていること、思っていることを知りたいだけ」。
親は、「この子とうまく関わりたい」と、毎日毎日、思っていることでしょう。
"わかってしまったような気になってしまう"「発達障害」という名前だけでは、そんな思いにはじょうずに向き合えないように思います。
「発達障害」だけで子どもを見ないで、この本がそんなたくさんの「不安」をほんの少しでも軽くすることができればと願って、考えながら書きました。
――「はじめに」より

感想・レビュー・書評

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  • あれうちの子ひょっとして…?と悩んでいた時に偶然見かけて買ってみた本。

    結論から言えば読んでよかった。

    診断名を急ぐ必要はない、という考え方にはだいぶ救われたと思うし夫婦間でも共有できたおかげで落ち着いて向き合う事が出来ていると思う。

    地域の相談窓口とかだと割とすぐ投薬治療や療育手帳の話が出てきたけど、この子の’特性’はこうなんだ、とまずは親がしっかり知る事・考える事が大事。でないと他人に正しく相談をする事もアドバイスを判断する事もままならない。

    問題に長いスパンで取り組むにあたって、いきなり専門書だとハードルが高いので、はじめに手に取る参考書としてはとても頼れると思う。


    1刷
    2021.10.15

  • 「発達障害」という言葉で括ってしまうと、その子の全てが発達障害に起因するものだと思ってしまう。そうした先入観だけで子供たちを見るのではなく、その子自身をしっかりと見つめて理解することが必要だと感じました。

  • 今まさに我が子の児童精神科受診を前に、子供への困りごとが多くなやんでいたので、保護者に寄り添った言葉で綴られていて、勇気づけられました。
    個別の特性に応じて、「ケース1 友達に手が出る○くんの場合」といった感じで該当する所にすぐたどり着け、読みやすかったです。
    著者は児童精神科の先生で、親身になってくれる良い先生なんだろうなぁ、こういう所で受診させたいなと思いました。

  • 1人の母親としてこの本を読み始めました。しかし、子供の気持ちと家族の気持ちを徹底的に想像していく姿勢は、一人の就労支援者として仕事にも活かせる視点であると感じました。
    障害の有無に関わらず、子供の成長の速度やムラが心配になる親は多いのではないかと思うので、多くの方に一読してみていただきたいと思いました。

  • 子どものことも親のことも否定しない優しい著者。発達専門の病院は都市部でも思ったより少なくて予約をとるだけで大変。そんな状況でこれだけ丁寧に接してくれる医師に出会えたら幸せである。こういう心がけを親を含め発達障害にかかわる人達みんながもてるよう広まるといいなと思う。

  • 「発達障害だから~」と、診断名でその人を見がちだが、田中先生は違う。診断はあくまでその子・その人の一部であって、個人の生い立ちや特性に対して何ができるかを考えている。診断は補助的な役割。

  • 発達障害のある程度の特性を知ることは、その子の困り事を知ることのヒントになるとは思います。ですが大切なことは、発達障害だから云々というよりも、その子にとって何ができるのかという視点を持つことが大切なんだと改めて感じました。

  • 生活障害という捉え方に共感を持つことができた。

  • 眼差しがあたたかく、言葉が優しくて、不安な気持ちもとけだすような本でした。

    大人から見て心配な子どもの行動をどのように読み解き、どのように保護者の方に声をかけていくのか。
    子どもの発達を促進するために、今、何ができるのか。

    著者の田中先生の言葉をしっかり咀嚼して、必要なときに必要な言葉を差し出せるように、備えておこうと思います。

  • まさに今、病院にかかろうかと迷っている息子。こういう温かい目で診てくれる先生に出会えたらいいな。
    最後の、まとめの部分がとてもよかった。

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著者プロフィール

こころとそだちのクリニックむすびめ院長。児童精神科医師。臨床心理士。北海道大学名誉教授。
『僕の児童精神科外来の覚書――子どもと親とともに考え、悩み、実践していること』(日本評論社、2022年)、『「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する』(SBクリエイティブ、2019年)

「2023年 『ADHDの僕がグループホームを作ったら、モヤモヤに包まれた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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