経営戦略4.0図鑑

著者 :
  • SBクリエイティブ
3.72
  • (2)
  • (9)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 157
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815602789

作品紹介・あらすじ

グーグル、アップル、アマゾン、ネットフリックス、ソフトバンク、楽天、ユニクロ――。
現在、世界の最前線では、これまでとはまったく違う戦いが繰り広げられています。
既存の経営戦略やビジネスモデルが通用しなくなっているのです。
「これから、いったい世界はどう変わるのか?」
いま、そんな疑問を抱く人が増えているのは、誰も経験したことがない、まさに「戦略4.0」の世界に突入しているからです。
そこで本書では、競争戦略アナリストの田中道昭氏が
世界の最前線に立つ世界トップ15社の「戦略4.0」をビジュアルを豊富に用いて解剖し、その強さの秘密に切り込みます。
さらに、「戦略4.0」を理解するために欠かせない
プラットフォームやエコシステム、経済圏、サブスクリプションなどの重要キーワードもわかりやすく解説します。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イージーで中身の薄い本かなと思いきや、そんな事はない、素晴らしい本。ムーアは、自律した生物が協調と競争を繰り返しながら構成しているという生態系の特徴は、ビジネスの領域に応用できると言ったらしいが、ビジネスを生態系に例えた所から本著は始まる。そして、知った気になっている世の中の動きを気付かせてくれる。

    自動運転では走行する車を基地局から遠隔操作することになる。その際通信にタイムラグが発生すると事故につながる。時速100キロメートルで走行している場合、車は0.01秒間に約28センチ進む。そのため、5Gの真価がもっと廃棄されるのは車の自動運転である。5Gは、アメリカと韓国が先行しているが。

    アマゾンのeコマースは、アマゾンが売り手となる直販型であるのに対して、アリババは第三者が売り手となるマーケットプレイス型がメイン。そのため営業利益はアリババの方が高い。

    ユニクロがバングラディッシュのグラミン銀行と提携して推進している。グラミンユニクロプロジェクト。ユニクロの縫製工場で働く約20,000人女性の教育支援を行っている。収益はバングラデシュのソーシャルビジネスに再投資されている。

    メルカリがヤフオクと戦えるのは、新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを作ると言うミッションに成功したから。誰かに価値があるのに捨ててしまうなど、地球資源の無駄だと言う共感を得ることができた。

    Googleアドワーズ、会社の規模を問わず広告を出す企業にとっては、資金力がなくても多くのユーザの目に触れる可能性がある。また、広告へのリンクをクリックしたときのみ。広告料をGoogleに支払う仕組みなので、確実な費用対効果が見込める。

    Appleは、垂直統合型のビジネスモデル。すべての生産工程を自社の管理下に置いている。メリットは各生産工程で生じる中間コストを大幅に削減できること。Appleの研究開発費はトヨタを大きく上回る。最も垂直統合が進んでおり、製品化に必要な機械や設備を貸し出して製造してもらっている。販売も自社のApple Store。スマートフォンの心臓部であるCPUも自社開発。

    次世代コンピューターサービスとして注目されているのはアンビエントコンピューティング。スマホ等の特定のハードウェアを使わず、周辺に存在する様々なデバイスがユーザがやりたいことを先回りして認識し、自動的に実現していくもの。

    中国政府から自動運転事業を委託されたのがバイドゥ。2017年自動運転のプラットフォームとなるアポロと言う構想。既に自動運転バスを運用している他、人間が一切運転に関与しないレベル4の自動運転バスの量産化を始めている。

  • 戦略4.0を読み解く視点や、技術、世界のキープレイヤーのビジネスモデルとその先について非常にわかりやすく書かれており面白かった。

  • ニュースでよく見る会社についてサラッと理解するならオススメ。日米中の代表企業が比較されてて分かりやすい。
    それぞれの勝ち方、利益率など。

    全体像の把握はしやすいけど、それぞれの詳細までは掴めないかなと。
    分厚い本だけど、1ページの文字数が多くないし図も多いから半日で読める。

  • かなり網羅的かつわかりやすく現代をリードする企業群の戦略構想が解説されており、知的興奮を覚える面白さがあった。
    しかし結局、時代はITであり、AIもビッグデータもIoTもクラウドもGAFAが押さえ、対抗できるとしたらBATHやNetflix、Microsoftぐらいのもんだということか。
    日本企業では、トヨタのスマートシティのプラットフォーム事業が世界基準の覇権を握れるかと、SoftBankグループの群戦略というGAFAとは異質なアプローチが功を奏するかどうかあたりがわずかな勝機という感じ。

  • 【印象に残った話】
    ・世界の最前線に立つキープレイヤーは以下の通り
     ・GAFA:グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン
     ・BATH:バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ
    ・世界の最前線のビジネスモデル「プラットフォーム」「エコシステム」「経済圏」「サブスクリプション化」の4つのうち、最初の3つの概要は以下の通り
     ・プラットフォーム:ユーザーと制作者が取引する共通の場のこと、場を提供することで、端末の販売後も利益を得られるようになった
     ・エコシステム:音楽やゲームの制作者、端末制作者、アクセサリーなどの制作者といった関係者が参加し、相互作用しながら、協調関係を維持することで形成されたもの
     ・経済圏:その企業の事業の影響を強く受ける範囲のこと、エコシステムの発展形だが、ユーザーがその経済圏に価値や魅力を感じ、自発的、積極的に参加している点がポイントである
    【アクションプラン】
    ・以下の順に進化するとあるため、各企業のサービスがどの段階にあたるのかを考えてみる
     ・「プラットフォーム」→「エコシステム」→「経済圏」

  • 【要約】
    マーケティングの父とも呼ばれるフィリップ・コトラー氏が提唱した「マーケティング4.0」の理論を基に、世界のキープレイヤー(GAFA、BATH)のビジネスモデルとその中核を担っているテクノロジーを紹介している。

    【メモ】
    「戦略とは?」
    意図的戦略・創発的戦略
    全社戦略・事業戦略・機能戦略
    マーケティング戦略

    「マーケティングの変遷」
    マーケティング1.0=製品中心のマーケティング【画一的な大量生産・大量消費】
    マーケティング2.0=顧客志向のマーケティング【企業がマーケットインを意識】
    マーケティング3.0=価値主導のマーケティング【3iを意識した発信が必要に】
    マーケティング4.0=接続性のマーケティング【他者の口コミが欠かせない要素に】

    【印象に残った個所】
    社長の豊田氏「勝つか負けるかではなく生きるか死ぬかだ」
    コネクティッドシティ=静岡県裾野市Wovencity
    日本もGAFAやBATHに対抗できる?

  • アメリカのGAFAや、中国のBATHなど、世界のIT企業のビジネスモデルに注目が集まっており、なぜ彼らがここまで巨大となったのかを知りたいと思う方も増えています。それぞれのビジネスモデルと今後の方向性などを解説してくれますが、そのビジネスモデルが、手段はITの進展により変化しているものの、その本質は昔から変わっていない面も多いことを教えてくれる1冊だと感じました。

    【気づき】

    ・プラットフォーム、エコシステム、経済圏の形成がITの進展で進むが、その本質である「顧客を含めたさまざまな取引先、パートナーとの協調関係の形成」は、達成の手段が変わっているだけで、昔から必要だったと思う。
    ・「経営戦略をどう生かして、顧客に価値があるものを創造し、提供するのか」という視点を取り入れる。付加価値の創造がビジネスの本質。
    ・経営者のこだわりや思い入れが会社全体に浸透し、製品やサービスに結実していることが強いブランドの確立につながる。実際にはなかなかできることではない。ただ、トップが、ビジョンやミッションの策定をはじめとする様々な機会で、こだわりや思い入れを企業全体に浸透させている場合、実現の可能性を高めることはできる。

    【本のハイライト】

    ・世界の最前線に立つ企業の「戦略」の中に答えが隠されている、彼らが考えている次の一手の先に「未来」がある。

    ●今、世界の「最前線」で起きていること
    ・IT活用で、従来では考えられないほど効果的、効率的なプラットフォームを極めて低コストで構築可能になった。リアル店舗の出店と比べ、Eコマースは比較にならないほど割安かつ短期間で完了する。
    ・成功するビジネスでは、顧客を含めたさまざまな取引先、パートナーと協調した関係が形成されている。「相互依存的な協調関係」が構築され、相乗効果を発揮して、自律的、連鎖的に拡大していく。エコシステムの定義は「ビジネス上で協調関係にある企業や個人の全体」となる。ITの進展で「協調関係」の構築が可能になった。
    ・経済圏の発展には、より多くのユーザーがその経済圏に入ることに価値を感じ、自発的、積極的に参加したいと思えるかがカギになる。プラットフォームから形成されるエコシステムが、発展すると経済圏となる。
    ・サブスクリプションの本質は、企業とユーザーの関係の構築。企業がサービスを売り、ユーザーが購入した段階から関係が始まり、利用を継続するほど関係は緊密になる。これまでは売ったら関係が終わっていた。

    ●戦略4.0を読み解く
    ・会社がブランド化する「コーポレートブランディング」の必要条件は、ミッション(目的)、ビジョン(目標)、バリュー(価値観やルール)が、会社の商品やサービス、社員の行動に反映されていることである。
    ・「全社戦略(企業全体に関わる)+事業戦略(事業領域を定める)+機能戦略(個別課題に対応)」を含み、その3つを再編成したものがビジネスモデル。経営戦略よりももう少し領域が広い。「経営戦略をどう生かして、顧客に価値があるものを創造し、提供するのか」という視点を取り入れると様相が変わる。

    ●世界のトップ企業の戦略4.0
    ・企業のブランディングで最も重要なのは「経営者や創業者などの個人が発するメッセージ」、いわゆる「セルフブランディング」。経営者のこだわりや思い入れが会社全体に浸透し、製品やサービスに結実していることが強いブランドの確立につながる。
    ・あらゆる企業にとって「ユーザー・エクスペリエンス」の向上は早急に取り組むべき課題になった。「使いやすさ」だけでなく、「気持ちよさ」「楽しさ」「感動」という感情面の要素をユーザーに提供できるかが差別化のポイント。テクノロジーの発達とともに、期待されるものが日々高まっている。
    ・「コスト・リーダーシップ」と「差別化」の両立はハードルが高いが、アマゾンは「利益を犠牲」にして実現
    ・カスタマー・エクスペリエンスはユーザー・エクスペリエンスを包括し、スタッフ対応やアフターサービスなど製品やサービスに関わるすべての経験。概念は①人が持つ本能や欲望に応える、②テクノロジーの進化により高度化する「問題」や「ストレス」の解決、③「察する」テクノロジー、④顧客に「〇〇取引をしている」と感じさせない、の4つ。
    ・スマートシティの現在の意味合いは、エネルギーを含めた都市交通や各種設備の稼働状況、個人の属性や行動といったあらゆるデータが大きなプラットフォームで収集・統合され、そうしたビッグデータをAIが解析して創出する、もっとも効率的で快適な都市というものになっている。
    ・企業がスマホ決済サービスに注力する理由は、運営企業に貴重なデータをもたらすから。オフラインの購買データを取り込み、より緻密なマーケティングができる。
    ・世界の巨大アパレル企業のビジネスモデルはすべて「SPA(製造小売業)」。商品の企画から生産、販売までをすべて自社で手掛けるビジネスモデル。ユニクロは「無駄なものを作らず、運ばず、売らない」情報製造小売業を目指す。
    ・デジタルトランスフォーメーションは業務のデジタル化、システム化、サービスのネットワーク化、クラウド化、企業のIT戦略、経営戦略などさまざまな要素を含むが、それだけではない。企業の根幹となる「ミッション」や「ビジョン」に関わり、企業が育んできたDNAをも刷新することを求めている。
    ・次世代自動車産業の競争は、販売台数シェアを競う時代から、サービスを売る勝負、プラットフォームの覇権を争う勝負に変わる。産業構造が一変する可能性がある。ITや電機、エネルギー、Eコマースなど、あらゆる産業からライバルが参入する。
    ・国内の戦略4.0企業が金融分野に注力している。持つ意味合いはそれぞれ異なるが、今は高収益。ただ、既存の金融機関を含めた日本勢の金融事業が、グローバルで展開される経済圏を巡る戦いに巻き込まれるのは時間の問題。戦うにはさらなる陣営の強化が必要。

    ●戦略4.0のゆくえ
    ・「IoT」が「社会のデジタル化」を象徴する。「オンラインとオフライン」の融合が実現する。
    ・巨大テクノロジー企業の「直接対決」が激化する。
    ・「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」の主役は「個人のプライバシー」の扱いになっている。グーグルのビジネスモデルは岐路に立つ。中国勢は国の規制が少なく、有利に働く可能性もある。日本企業が台頭する可能性もある。
    ・環境問題などの新たなリスクの発生で、「サステナビリティ」の概念がクローズアップされる。

  • 読みやすくてわかりやすいです。自身の仕事の業界と照らし合わせて発想しながら読めました。

  • この本をいつ読んだかで評価は変わりそう。
    とても分かりやすいし、会社の戦略、現状がすごくよく分かる良書。

    この手の本を読み過ぎて感動は少なかったけど、あまり読んでない人にとっては素晴らしい出会いになると思う。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

立教大学ビジネススクール教授、戦略コンサルタント。Ridgelinez戦略アドバイザー。専門は企業・産業・技術・金融・経済等の戦略分析。日米欧の金融機関にも長年勤務。主な著作に『GAFA×BATH』(日経BP 日本経済新聞出版)、『2025年のデジタル資本主義』(NHK出版)など。テレビ東京WBSコメンテーター。日経新聞電子版Think!エキスパート。

「2023年 『HUMAN ∞ TRANSFORMATION』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田中道昭の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×