- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784815607241
作品紹介・あらすじ
世界を変えたウイルス。未来を生き抜く術は
新型コロナとの闘いを池上さんが解説。いまや誰も触れなくなった「そもそもコロナウイルスとは?」という素朴な疑問に一度きちんと向き合い、「ウイルスと人とのこれまでの歴史」を振り返りつつ、これからの私たちの闘い方を示していく。
SARSから学んだ台湾、MERSから学んだ韓国、スペイン風邪から学んだクラスター対策といった歴史的な話と、ワクチンと抗ウイルス薬は、どう作られてきたのか?など、コロナウイルス対策の最前線についても、専門家へのインタビュー含めて、徹底解説します。
新型コロナウイルスについてはもとより、SARSやMERS、スペイン風邪、天然痘がなんなのかを学べるだけでなく、「そもそもウイルスっていったい何?」という、キホンのキからおさらいでいる内容になっています。
感想・レビュー・書評
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レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。
この本は、フジテレビ系列の5月31日の特番「池上彰緊急スペシャル!~世界を変えた新型コロナ・未来を生き抜く私たちの問いへ」の内容を基にその経緯を追加してまとめたものだそうです。
2020年8月15日初版です。
ニュースなどをよく御覧になられていらっしゃる方はすでにご存知のことも多いかと思いますが、要点と思われるところをまとめました。
コロナ関係の本は結構読んできましたが、この本は抗ウィルス薬やワクチンの製造などについての記述に詳しいと思いました。
この本のタイトルであるところの『コロナウイルスの終息とは撲滅ではなく共存』の意味するところは深いと思いました。
●ステイホームで緊急事態を乗り切る。
5月半ばには39県で「緊急事態宣言」解除。25日に全都道府県解除完了。日本では感染爆発が起きる前に抑え込み成功。
●中国武漢での隠ぺいが初動を遅らせた大きな要因として批判を受けている。
●世界が感染拡大の対応に追われる中、封じ込めに成功し、初動対応の成功例として世界に注目されているのが台湾。(7月5日時点で感染者449人、うち死者7人)
●人類がウイルスに対して手にした二つの武器、抗ウイルス薬とワクチン。
●ウイルスは自分では増殖できない。
ウイルスは細菌と比べると、まず大きさが違う。細菌の方が大きく、ごく大雑把にウイルスの10倍から100倍。
●細菌は生き物の定義に当てはまるが、ウイルスは細胞そのものがなく、自ら増殖することもしない。生き物ではない。
●「レムデジビル」は新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬として国内で初めて承認された。
●レムデシビルの投与方法は点滴。アビガンは錠剤による経口投与。
●新型コロナに打ち勝つために人類が手にしているもう一つの武器がワクチン。ワクチンは通常、開発を始めてから完成に至るまで長い年月がかかる。(平均10年から15年)しかし、新型コロナウイルスに対しては現在世界各国が驚異的なスピードでワクチン開発を進めている。
●ワクチン開発においては、有効性に加えて開発スピードが重視されますが、安全性も大事な要素。急ぎすぎて副作用が見過ごされたら使用できなくなる。スピードと安全の兼ね合いが難しい。
●スペイン風邪についてWHOのリポートは「第2波は死亡率が10倍に増加したという特徴の爆発的アウトブレイクが見られた」と報告している。
●今回の新型コロナウイルスは、毒性が強くなるか弱くなるか、どちらに向かうか今のところわからない。小さな変異だけにとどまるかもしれないし、強毒化するかもしれない。あるいは害を与えなくなる方に変異するかもしれない。しかしこれは人間の力では決められない。
●ワクチンを最初に受け取ることができるのは、国内に製造設備がある国である。→自国民のために国内生産ができる体制を作っておくことが不可欠。
●日本にとって最も怖いのは「第1波で影響を受けなかった年齢層および地域は、第2波に脆弱である可能性がある」こと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この前に『池上彰のまんがでわかる現代史 東アジア』を読み、私は蔡英文総統のファンになりました。
この本を読んで改めて、各国の首脳がみんな彼女みたいだったらいいのにと思いました。
さて、この本では池上さんの説明と同時に、
堀江篤史さんのイラストがすごくわかりやすくて
良かったと思います。
コロナ関係の本は、状況がどんどん変化しているために、どうしても古くなってしまいがち。
でも私、抗ウィルス薬やワクチンについては、わけわからないので右の耳から左の耳だったのです。
この本で、すごくよくわかりました!
たとえば抗ウィルス薬とは。
ウィルスは人間の体の中に侵入し、細胞に入り込んで増殖しようとします。
それを人間の免疫細胞は見つけると退治してくれます。
いわば悪いウィルスを捕まえる警察官のような存在。
ところがウィルスが隙をついて細胞に入り込み増殖していまうと、免疫細胞はウィルスに感染した細胞もろとも壊して体を守ろうとするのです。
免疫の防御反応といえますが、これが恐ろしいのは、ウィルスの増殖が進むと免疫細胞が暴走を始め、正常な細胞まで壊してしまうこと。
最悪の場合人の命が危険にさらされます。
ウィルスを退治しようとしてかえって炎症が起きてしまうので、そうならないようにするには、ウィルスの増殖をいち早く抑えることが大事。
それが抗ウィルス薬の働きということ。
ワクチンは、それを接種することで、悪さをするウィルスはこれだという指名手配書のようなものを体内にいれます。
すると、警察官役の免疫細胞はそのウィルスの顔をしっかりと覚え、ウィルスが体内で悪さをする前に捕まえてくれます。
ウィルスって、人間を地球の大きさだとすると、
ネズミぐらいなんですって!
すごい、免疫細胞。
いま世界中で良い薬をつくるために研究をしています。
がんばってください。
オリンピック開催できますように。 -
コロナ流行直後の2020年5月のテレビ番組をまとめたもの。世界各国、特に封じ込めに成功した台湾の対応と日本の対応を比較したり、治療薬やワクチンの現状について述べられている。変異の可能性や流行する年齢層の変化にも言及されていた。
発刊当時にこのタイトルを見ていたら、「共存なんて嫌だ。早く終息させて」と思っていただろう。ウィズコロナでも早くマスクを外せるときが来てほしい。