新説の日本史 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815609054

作品紹介・あらすじ

「邪馬台国論争は畿内説の完全勝利」、「今川義元は上洛を目指していなかった」、「西郷隆盛は征韓論者ではなかった」など。歴史研究の現場において、これまでの常識を覆す説が次々に生まれている。
本書では、古代・中世・近世・近現代と、ぞれぞれの時代における気鋭の研究者たちが最新の研究結果を報告。これからの教科書を書き換えるかもしれない新説で、日本史の見方が変わる。
古代、中世、戦国、江戸、近現代、それぞれの時代区分における気鋭の研究者たちによる、最前線の現場からのこれまでの定説を覆す新発見。日本史の謎を解き明かし、歴史の真実に迫る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 学校で習った歴史は誰かが教えやすいように作った物語だったのかもしれない。
    もしもコレがこうだったら…と言うものもあっただろうし
    このエビデンスはないんだけどこうしておけ!だったのかも知れない。

    よくよく調べたらこちらが濃厚だとか、見方伝え方によってはこちらが正しい、それが新説の日本史なのではないかと思う。

  • ●よく太平洋戦争は、陸軍が中心となって、戦争を主導した。(海軍は消極的だった)と言う陸軍悪玉論・海軍善玉論と言うイメージが根強く残っている。
    ●三国同盟は、もともとアメリカと戦争するのが目的ではなく、むしろ戦争回避のための外交交渉力を高めることが目的だった。結局逆効果となり、アメリカからくず鉄の禁輸措置が取られるなどの経済制裁を受けてしまう。
    ●さらに、アメリカに対する抑止力を強化するため、日ソ中立条約を締結。しかし、1941年6月に独ソ戦が始まったことであえなく破綻してしまう。
    ●海軍は、対米戦争に自信がないため、開戦の決断を引き伸ばしにしようと言う考え。この決断を委ねられた首相の近衛文麿は総辞職し内閣を投げ出す。そして就任したのが東條英機。
    ●ハルノート。日本軍の中国・仏印からの全面撤兵、三国同盟の空文化などを要求する覚書。
    ●日米通商修好条約の関税が20%から5%に下げられた理由。これは長州藩が下関戦争で賠償金を払わないといけなくなった。幕府は賠償金を3分の2に減免してもらうための担保として、この関税を差し出した。悪いのは長州藩。

  • 特定の時代に傾倒していない身としては、オムニバス的に新説を紹介する形式で読みやすい。


  •  本書「はじめに」で、「新たな史料が発見されて、歴史が書き換えられることもあれば、もともと知られていた史料から新たな事実が「発見」される場合もあります。研究が深まることによって、史料の「解釈」が変わってくることもあります。」と説明されるように、歴史学研究は進められる。
     近年のデータベース化やネット環境の整備により、一般人でも史料へのアクセスは容易になってきたが、やはり一定の知見、素養がないと、史料の正確な解釈はできない。 
     そうした中、最近は、気鋭の研究者がその成果を、一般読者にも理解できる文体、叙述、史料紹介により披露してくれることは、大変ありがたい。

     本書もそうした流れに乗った一冊と見受けられる。説そのものは、ここ数年唱えられていることを知っているものが殆どだったが、考え方の説明振りや他の説の紹介も丁寧なので、気軽に楽しみながら読めると思う。

     古代から中世、近世、近現代まで、各章2編又は3編の事象が取り上げられているが、各編それぞれがバラバラなので、もう少しテーマ設定をして題目を選定した方が良かったのではないかと思われる。

     

  • OPACへのリンク:https://op.lib.kobe-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2002330976【推薦コメント:習った歴史と比べて何が変わっているかを知りたい】

  • 年末(令和4年)の大掃除の時に部屋の隅から発掘された本です、記録によれば1年半前に読み終わっていた本でした。この本は、古代から近現代に至るまで、私が中高校生の時に歴史の授業で習っていた内容とは異なる新説が紹介されています。

    新たに発見された古文書を丁寧に読み解いて整理していく作業は大変だと思いますが、その結果をこのような形で知ることができる私は幸せだと思います。今後もこのような本で新しい研究の成果を知る機会が増えると嬉しく思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・漢字の訓読みというのは、漢字の意味を理解した上で同じ意味の和語を当てた、その和語の読みです(p30)

    ・平城太上天皇が、自らが移り住んだ平城京への遷都を宣言する(大同5年9月6日)そして9月10日、嵯峨が反撃に出る。逢坂の関・不破関・鈴鹿関という畿内東方の三箇所の関所を閉ざす、固関という措置を行った。7世紀から、大王家に内部対立があった時負けた方が東国に逃れて体制を立て直し攻め上がってくるのを防ぐという意識があった(p37)

    ・平城太上天皇の変で権力を行使する際の命令伝達経路が変わった、8世紀以前、桓武朝までは女官の担当で男は排除されていた、それが9世紀以降、嵯峨が蔵人所を設置したことで、男性貴族が担当して女官が排除される様になった、これにより天皇周辺で政治が議論され決定していくというスタイル=摂関政治を生み出した(p47)

    ・遣唐使は894年に停止されるが、政治的な判断だけでなく、経済や国際交流における民間の要素の活発化という時代背景があった、国家としての遣唐使派遣の必要性は低下した(p58)

    ・将軍などの貴人が名前の一字を家臣や下位のものに与えることを偏諱というが、上の字か下の字かによって違いがあった。上の字をもらった方が、下の字をもらうよりも将軍の覚えがめでたい上位者となる(p111)

    ・朝倉氏が足利義昭を推戴して上洛すると、もう一人の将軍候補である足利義栄及びその後ろ盾である三好氏と対立することになる、原稿の幕府体制に意を唱えることになることを懸念した。すると三好氏らとの全面戦争になり、応仁の乱の際限もある。織田信長はそれに関する知識もなかった(p114)


    ・関ヶ原の戦いは、江戸幕府を開いた徳川家康の栄光の記録と語られてきたが、最近の研究では、戦いの本質は豊臣政権内部での勢力争いであったということであると定説化している(p131)

    ・18世紀以降に人の住む場所が地理的にますます拡大し、文字通り空間的に江戸から大江戸になった、3つの変化として、1)人の住む地が地理的に拡大、2)江戸経済がいっそう伸長し上方資本に対抗できる様になった、3)上方文化に圧倒されていた江戸文化が18世紀後半になって追い越して江戸町人文化を開花させた(p152)

    ・士農工商とは、職や職能の違いを示す言葉である、武士・町人・百姓という区分はあるがこれは身分を示している。身分は武士(潘士)だが畑で農作業をしたり、家族で職人的な内職をしている武士がいる(p155)身分とは居住の形態、果たすべき「役」の対応関係にあり、それによって身分が決まる(p157)

    ・家を継ぐ長男の身分は確定しているが、次男・三男は、身分はその家の身分のままだが「厄介」と呼ばれる立場で過ごす。他家の養子に入ればその家と身分を継ぐことができる(p158)江戸中期以降、御家人株の売買が盛んになることで事実上、身分は流動的になるのですが、あくまでも「養子になる権利」を買うのであり、身分を買っているわけではなく、身分制度の建前は崩れていない(p158)

    ・関税自主権がないとはいえ、この段階では輸入税20%であった、これがなぜ不平等条約になっていくのか、これは5%に引き下げられ、外国から物品がどんどん入ってくることになったから(p191)この理由は、下関戦争の賠償金を幕府が払うことになるが、賠償金を3分の2に減免してもらう代わりに関税を差し出した(5%への引き下げを了承)(p192)

    日英同盟で、モノ・カネ以外でメリットとして大きかったのが情報である、電信線の敷設が進んでいたが、世界の情報通信網(海底ケーブル)を握っていたイギリスと同盟を組んだことで、世界の新聞社・通信社が発信する情報を確実に入手できた、重要な情報をロシアに知られることなくアメリカやイギリスとやりとりできた(p213)

    2021年5月15日読了
    2023年1月1日作成

  • 日本史についてこれまでの通説と違った新設を扱った一冊。

    オムニバス形式なので、内容にばらつきがあるもの、読み物としては面白かった。

  • 歴史の本を読む時、時にはかなり古い本にも手を出すことがあり、正しい知識を持っていないと誤った歴史を史実として学んでしまうことがある。そんな自分の知識をアップデートしたいと思って手に取った本。自分と年齢の近い、若い研究者の人達がそれぞれの研究分野や時代の新説を解説してくれていて、内容もかなり簡単でわかりやすい。倭の五王の話や、関ヶ原の戦いの原因などは特に面白く読んだ。最後のブックガイドも参考になり、より深く理解するためにここから本を読んでみようと思った。個人的にははじめにに書かれた新説も詳しく知りたくなった

  • 観応の擾乱の見解など大変面白かった。

  • 一般向けで大変読みやすいです。それぞれの時代で扱うテーマが少なく物足りなさを感じるので、続編希望です。

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著者プロフィール

亀田俊和(かめだ・としたか)
1973年秋田県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(文学)。現在、国立台湾大学日本語文学系助理教授。主な著書は『室町幕府管領施行システムの研究』(思文閣出版)、『観応の擾乱』(中公新書)、『高師直 室町新秩序の創造者』(吉川弘文館)、『征夷大将軍・護良親王』(戎光祥出版)など。

「2021年 『新説戦乱の日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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