犠牲の死を問う: 日本・韓国・インドネシア (教科書に書かれなかった戦争 PART 61)

著者 :
  • 梨の木舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784816613081

作品紹介・あらすじ

「犠牲の死」、あなたはどう考えますか? 
 靖国問題から犠牲の論理を問い続けてきた高橋哲哉さん、民主化運動の犠牲の意味を考えてきたイ・ヨンチェさん、インドネシアを歩いて、国家も追悼もフィクションだと実感している村井吉敬さん、3人が語る。司会は内海愛子さん。

感想・レビュー・書評

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  • お国のためや国のせいで死んだ人たちをどう認識するか、についてのシンポジウムまとめ。

    メインは光州と靖国、ふたつの追悼施設の話。
    韓国で民主化運動に身を投じて政府に虐殺されたのち無視されたり顕彰されたり人たち。
    日本でお国のために死んて靖国につっこまれたり入れてもらえなかったりした人たち。
    侵略戦争と民主化運動は真逆だけれど、国による死の利用は同じなのではないかという問い。
    そこに似たような人だけが集まっている日韓とはちょっと違う多民族国家インドネシアからの視点が入って話が広がっていく。

    高橋の「死の利用への嫌悪」と、「たとえ民衆の側であっても犠牲の死を称えてはいけない」という言葉が私にはしっくりくる。
    ここしばらく感じていた、人助けで死んだ人への賛美への違和感が腑に落ちた。
    でも、動乱の社会を知っている李の「虐殺に意味づけをしなければ残った人は生きていけない」というのもわかる。
    知らないから解らないけれどそうなんだろうなと理解できる。

    李はあとがきで「あまり話はかみ合わなかったけれど」と振り返るけれど、すごくきちんと話し合いになっていると私は思った。
    同じ答えには達しないけれど、みんなが相手の話をきちんと聞いているから。
    そういう話し合いは鋭くても攻撃的にはならなくて、安心して読める。


    いきなり始まるので最初だけちょっとついていけなかった。
    いつ語られた何についての議論ですよという前書きが欲しかった。
    神父の話も宗教者すぎて私にはよくわからず。
    あと誤字脱字多め。書き起こしを急いじゃったのかな?

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著者プロフィール

高橋 哲哉(たかはし・てつや):1956年生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス科卒業。同大学院哲学専攻博士課程単位取得。東京大学名誉教授。著書:『逆光のロゴス』(未來社)、『記憶のエチカ』(岩波書店)、『デリダ』『戦後責任論』(以上、講談社)ほか。訳書:デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房)、マラブー編『デリダと肯定の思考』(共監訳、未來社)ほか。


「2024年 『沖縄について私たちが知っておきたいこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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