モノを作らないものづくり: デジタル開発で時間と品質を稼げ

  • 日科技連出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784817192127

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  • ●いったん製品を出荷した後、ソフトウェアの改善板をインターネットで提供し、製品をレベルアップしていく方法や、筐体や形状のデザインは変わらないが、ソフト機能だけが短期間に少しずつ高められ、その都度、新製品として出荷していく。インクリメンタル開発と呼ばれる

    ●日本企業の特性として、多能的技術者や多能工の重視がある。一人セル方式。チームワークの重視。意図や意味の共有。なぜそういう結果になったかという背後の意図や意味をも伝え、その共有が行われる、またそれにもとづく担当・後工程・サプライヤーからのフィードバックを許容し、奨励する風土。現場を重視し、改善を蓄積させる

    ●傾向がITツールや競争優位のための企業戦略へ直結する。米国型デザイナーが使うためのツールであるCADに対して何より求められるのは、プロが使いこなすツールとしての、また検討結果の具現化・詳細化ツールとしての機能メニューの豊富さや、辞書的網羅性のある機能セット。一方、日本型設計者が使うCADに求められるのは使いやすさ。(エンジニアとデザイナーが同居)

    ●ワークスタイルの相違はツールの導入プロセスにも影響する。米国型エンジニアにとっては3次元CADを自分で使うわけではないので、導入による被害はなく、メリットだけを享受。設計部門のトップが変更を宣言すれば、
    職種分離の環境においては容易。米国型デザイナーはプロの自負として習得する。そうでないと職を失う。

    ●ものづくりにおいてはワークスタイルが必然的にITツールに影響を与えるという事である。

    ●製造業のものづくりプロセスはモジュラー型が基本。つまり、「製品の目標仕様、スペックを実現するために、製品を独立した要素、部分、部品に分解する」「モジュール間のインターフェースを明確化する」「モジュールをさらに最終部品にブレークダウンしていき、この過程を繰り返して製品の設計を完成」「部品を製造ないしは調達して、組み立て、製品化」

    ●これに対して「擦り合わせ型プロセス」は、相互依存性のある部品群やユニット群を、互いに調整しながら設計ないしは試作することにより、高品質の製品を短期間開発するプロセス」

    ●すり合わせ発生の要因としては、機能と部品の関係が1対多である製品で、多数の部品、もしくは1つの部品が多数の機能を果たす場合。いわゆるすり合わせ型アーキテクチャの製品であり、クルマはこの典型。衝突安全性というクルマの重要機能をとってみると、この機能はボディや車体、エンジンルームの部品群、エアバッグなどの多数のモジュールの総合的な設計の結果として現れる。逆にボディは衝突安全性のみでなく、デザイン性、空気力学特性、燃費、などに影響を与える。

    ●コンパクトかつ高機能の製品。実装設計の難易度が高まり、必然的に部品間に相互依存性が発生する。モバイル系の電気製品など。また、設計途中で新規部品が多数発生する。デザイン性が最重要視される製品は、開発プロセスの途中での修正・変更があったり、開発の公判でFIXの場合も多く、変更のともなう内部機構の調整が必要になってくる

    ●開発期間が極短期間であり、全体プランが未確定のまま、重要部分やクリティカルパスとなるユニットの開発を専攻させることがある。全体がフィックスすると先行部分への影響がまぬがれない、ゆえに、こういった先行プロセスと後発プロセスですり合わせが必要。

    ●短期開発やコスト削減などの目的で、先行機種の設計の多くを流用し、新規部分を開発する場合両者の適合が必要

    ●DFX(Design for XXX)の追求を設計過程で行うためには、ものづくり全般に内在している幅広い知見が必要で知見の収集が必要

    ●技術融合型の新製品開発では、異種技術間の調整や、調整用の特別なインターフェースが必要なケースが多く、擦り合わせ型プロセスの要因になる

    ●国内に生産拠点を維持すべき理由として多いのは、開発と生産の一体化で有利とともに国内部品・材料産業の熟練工を活用した方が効果的という理由

    ●当初、擦り合わせ型であったプロセスがモジュール型に変化すると、競争の土俵が全く変わってしまう。つまり、新しいジャンルの製品を作り出すイノベータ企業の必須要件は、多大な擦り合わせをともなう研究開発力や技術創造力である。一方、製品がモジュラー型になった段階で市場に参入するフォロワー企業の特長は、優秀なSCM能力であり、企業全体のローコスト体質。部品メーカーや素材メーカーに利益が集中する、スマイルカーブもここで出現する

    ●モジュラー型になった際、製品の基幹部品を握るか、知財を握り、最終製品で勝負する場合はSCMやローコスト・オペレーションの特別な工夫と戦略を駆使することが必要になる

    ●擦り合わせこのイノベーションの本質

    ●イノベーションとは、N項対立のトレードオフ関係を、決められた時間内で、妥協に陥らず、高い次元で解決すること

    ●可能なものはコンピュータ上のバーチャルデータを用いて、あらかじめ製造・試作後の製品の鼓動を内部状態を含めて把握することが重要。設計要素間の調整や擦り合わせの早期決着が可能になる。コンピュータ上のバーチャルな製品表現は、現物では絶対にできないことが可能になるというメリットがあり、つまりITの活用で従来なかった新たな発想やアイデアを得られる可能性が出てくる

    ●開発プロセスの早い段階で、擦り合わせ状態を解決し、決着していく手法。設計工程の後半からの手戻りを削減するだけでなく、開発のプロセスを市場動向注視型に変革できる。つまり、市場や競合の動向を確実につかむ期間は、コンピュータ上のバーチャルな世界で開発を進める。と同時に、製造技術や生産・調達部門まで開発情報の共有化を行い、多角的な検証と生産準備を続ける。次に、仕様確定後は一気に生産へ向かい、短納期・高品質開発を実現する。従来の流れでは、仕様確定の遅れが、開発期間の長期化へつながる。

    ●使用Fxをできるだけ留保するための環境開発→互いの進捗に影響されない独立設計→状況変化に即応するための協調設計

    ●組み込みソフトウェア開発では、ソフトウェアを開発する環境と動作させる環境が異なる。また、ハードウェアと強調しながらの併行開発となる

    ●ハードウェアの評価版をいくつかのサイクルでバージョンアップしながらソフトウェア設計部門に評価してもらう作業を繰り返すことになり、インクリメンタル型の開発形態となる。

    ●静的テスト:プログラムを実行させることなくデバッグする方法で、ウォークスルーやインスペクションといった方法もある

    ●動的テスト:プログラムを実行してデバッグする方法

    ●組み込みソフトウェア開発における開発言語はC言語が主流となっている。簡潔にコーディングできる反面、仕方によっては読み難く、バグを内在化しやすい

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