政治的なるものの再興

  • 日本経済評論社
3.67
  • (4)
  • (2)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 47
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784818809765

作品紹介・あらすじ

いかなるラディカル・デモクラシーか!経済に矮小化された政治的なるものの価値を問い、自由民主主義の新しい組み替えを主張する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ラディカル・デモクラシーの第一人者が、経済学や公共政策に乗っ取られた「政治」あるいは「政治学」の復興を掲げた書。相容れない他者との不断の対話が敵対関係に陥らないようにすることに、政治の現代的・本質的意味を見出したことで知られる。

  • 共通善があるとして、そうした共通善を目指して市民は活動するという共同体論者と、ひとつではなく様々な価値が見出せるとする自由主義論者の論争をそれぞれに批判している。現代民主主義社会においては、共通善は一つだけということはない。他方で、個人主義を土台とする自由主義では、多元主義を標ぼうすることで、「政治的なもの」がなくなってしまっている。ムフはシュミットの友敵関係をひいて、そうしたものを政治であるととらえているため、共同体論者の議論も、自由主義論者の議論も不十分であるとしている。

    彼女の批判はよくわかったが、本著においては、最終的にどうすればいいのか、という解決策が明確に提示されていないという点が気になる。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

ベルギー生まれ。現在、ウェストミンスター大学民主主義研究所教授(政治理論)。ハーバード大学、コーネル大学、プリンストン大学先端研究所、パリ国立科学研究センター(CNRS)などでの研究職や、コロンビア国立大学、ロンドン市立大学、ロンドン大学ウェストフィールド・カレッジなどの教授を歴任。パリ国際哲学カレッジにも参画。邦訳に、『政治的なるものの再興』(千葉眞・土井美徳・田中智彦・山田竜作訳、日本経済評論社、1998)、『民主主義の逆説』(葛西弘隆訳、以文社、2006)、『政治的なものについて』(酒井隆史監訳、篠原雅武訳、明石書店、2008)、エルネスト・ラクラウとの共著『民主主義の革命』(西永亮・千葉眞訳、ちくま学芸文庫、2012)などがある。

「2019年 『左派ポピュリズムのために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

シャンタル・ムフの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×