原子力帝国

  • 日本経済評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784818821927

作品紹介・あらすじ

核開発は国家のあり方をどう変えるのか。安全性神話を覆し災害の不可避性を説くとともに、民主主義と人権の蹂躙を告発する。ファシズムの抑圧を知る著者による未来への警鐘。

感想・レビュー・書評

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  • 1970年代に書かれた本と聞いてびっくり。
    ユンクの指摘はまさに現状そのものであり、さらに信じられないのは当時の彼の指摘に対して何ら改善がなされずにここまで来てしまっていること。
    動き始めたら後戻りができない原発事業はそれ自身を正当化するために当局や産業側が、疑問視・反対の意見を封じ込め、「事実」が漏れないために特別な体制を作り上げてしまう。
    テロ対策として万全な警備が敷かれつつも、実態は現場内での単純な不注意による事故が絶えない世界。
    広島への原爆投下で自責の念に駆られた物理学者たちが原子力の平和利用のためにと、贖罪意識をもって熱心に取り組んだ経緯も書かれていた。
    どの本だったか、同時期に物理学から離れて生物学へ転身して現代の分子生物学の発展の基礎を作った科学者も多いという。
    科学者の真摯な思いが政治や産業に渡った時にあらぬ方向に捻じ曲げられてしまうという悲しい現実。

  • Die zukunft hat schon begonnen.
    「未来はすでに始まっている」
    この言葉から、検索して読んだ。
    311経験後なので、衝撃的に感じた。

  • フーコーの『性の歴史』第1巻の翌年に人の思考をも監視と管理の対象とする核国家の生゠政治とともに、核の「平和利用」と軍事的開発の連続性をも抉り出して、核を抱えた社会が内戦を含む戦争へ向かわざるをえないことを予言的に示した一書と言えます。今広く読み直されるべきでしょう。

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