三洋電機 井植敏の告白

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822201593

作品紹介・あらすじ

会社は誰のものか。あるべき企業統治の姿とは。創業家の終焉。カリスマ経営者の退場。「何でこんなことになってしまったのか」最高顧問、井植敏のインタビューを基に、電機大手最後の同属企業、三洋電機凋落の真相に迫る渾身のドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 石油ストーブ事件
    一酸化炭素中毒で購入者が亡くなる

    2006年では、バブルはメガバンクのせいだとされる(不良債権買わされたり)

    山洋電気はパナソニックに買収される

    恣意的に役員を選んだりしていたのでガバナンスが効いていない

    創業者は松下幸之助の義理の弟

  • 私の地元にも三洋電機の大きな工場がありました。

    本書にある「経営」と「所有」の文化が進んだ時代にその流れに乗り切れなかった三洋電機の井植家の苦悩。

    創業家が忘れてはいけない「君臨すれども統治せず」。

    時代と共にグローバル化が加速される時代だからこそ、忘れてはいけない事だと思う。


    説明
    著者からのコメント
    本書では電機大手最後の同族企業、三洋電機を題材に「会社は
    誰のものか」を考えました。
     この世に企業を産み落とした創業者の功績を否定する人はいないでしょう。子
    供が正規の手続きを経て、親の資産を相続するのも、当たり前のことです。この
    2つの考え方を足し合わせると、「会社は創業者のもの」であり「創業者の子孫
    には会社を相続する権利がある」という結論が導き出されます。

     戦後は、そこに日本人独特の「会社に対する帰属意識」が加わりまし
    た。幕藩体制における「藩」、戦時中の「国家」に変わって日本人の帰属対象に
    なったのが「会社」であり、同族企業に勤めるサラリーマンは創業家に忠誠を誓
    うようになりました。

     ある時期まで、創業家を頂点に社員が滅私奉公で猛烈に働く日本企業は、世界
    の脅威を与えました。トヨタ自動車、松下電器産業、ソニー。世界の名を轟かせ
    た「メイド・イン・ジャパン」は、その多くが同族企業だったのです。

     しかし、冷戦が終わり、グローバル化の時代に入ると、世界規模で「経営力の
    コンテスト」が始まりました。君臨するだけの創業家では勝てない時代に突入し
    たのです。
     それを察知したトヨタ自動車は、豊田達郎氏を最後に同族の旗を降ろし、
    創業家の外から奥田碩氏、張富士夫氏という世界級の経営者を登用して成功を収
    めました。松下電器の中村邦夫氏も創業家の幻影を断ち切りました。

     一方で、幻影を引きずった企業は一様に凋落の道を辿っています。ダイエー、
    西武、三洋電機。創業家だけが悪かったわけではありません。創業家に群がった
    銀行、盲従した社員、持ち上げたマスコミ。彼らが創業家の偶像を肥大化させ、
    会社は進むべき方向を間違えてしまった。

     会社は誰のものか。

     制度上の正解は「株主」ですが、あえて誤解を恐れず言うなら日本の場合の
    正解は「会社は社員のもの」ではないでしょうか。
     仕事人間は駄目だ。趣味に生きろ、家族に生きろ。バブル崩壊後、日本のサラ
    リーマンはそう言われて、会社人間を卒業しようと懸命に努力しました。

     しかし、仕事より面白いことを見つけられた人は稀でした。「会社なんて」と
    斜に構えつつ、やっぱり会社が気になって仕方がない。それが今のサラリーマン
    の本音ではないでしょうか。

     少なくとも私の周りでは、「仕事が生きがいで何が悪い」と開き直るサラリー
    マンが増えている気がします。

     社員が燃えれば業績は伸びます。業績が伸びれば株価も上がるし、配当も増え
    るのです。足元の利益欲しさに人減らしにまい進する経営者がもてはやされる
    時代は、終わろうとしています。

     「会社は社員のものである」

     それに気づいた三洋電機の社員が奮起して、井植家にも外部資本にも頼らず自
    力で再生してくれる日を、私は望んでやみません。

    内容(「BOOK」データベースより)
    会社は誰のものか。あるべき企業統治の姿とは。創業家の終焉。カリスマ経営者の退場。「何でこんなことになってしまったのか」最高顧問、井植敏のインタビューを基に、電機大手最後の同属企業、三洋電機凋落の真相に迫る渾身のドキュメント。

  • 2007/6/23

    僕,5年ほど前に,この会社に就活しました.
    まあ,インターンで選考漏れして,「そーかい」と思った後に,研究所に見学行って「うーん,なるほど」と思ってやめたんですが・・・.
    # 情報なくてすみません.

    ゆうても日本が誇る(誇ってた?)グローバル企業SANYOです.

    あの頃はまだ,ある程度良かったんだと思う.
    本書を読んで,同族支配に基づく家族的経営が如何に強くあり,そしてまた瓦解するときには如何に恐ろしいものかという事が考えされました.

    従業員や現場には強さがあるのが,トップマネジメントがそれをメチャクチャにしてしまうことがある.

    僕も一時,超小口の株主として,
    この本でも話題になったゴールドマンサックスなどへの時価の4分の1程度の優遇価格での第三者割り当て増資
    に反対票を投じた事がありました.
    # そういえば・・・

    ようやくトップも入れ替わり,まともな経営に変って行き始めているのでしょうが.
    結構,この手の本って面白いし,勉強になりますね.

  • 昔、日経ビジネスに連載されていた、三洋電機凋落のドキュメンタリー。創業家である井植社長のインタビューを挟みつつ構成され面白い。
    しかしパナソニックはなんで三洋電機を買ったんだろう?いまだ分からん。

  • 始まりがあるものには、必ず終りがある。
    逆に言えば、終りがあるということは、始まりがあったということになる。

    この本に描かれる井植敏氏の「物語」は、創業者・井植歳男氏が創った三洋電機が舞台になる。
    どちらかと言えば、終りの始まりが描かれている。

    ただ、それは創業家井植家の終りの始まりであり、三洋電機は始まりの終わりとして描かれている。
    つまり井植家としては「同族企業としての社会的責任と弁解性の確保の難しさ」であり、三洋電機としては「同族企業からの脱皮であり、さながら成人式」だ。



    三洋電機は一時期、勝ち組企業だったのに、いつの間にか負け組企業になってしまいましたね。
    このことが語るように、ある一定の時期を見ただけで、企業をどうのこうの言うことは間違っていると思う。

    たとえば、あれだけ持て囃されたライブドアの堀江氏だって、逮捕されれば「亡国の徒」として歴史に残っている。
    けどそれは、現在進行形の物語でしか無い。
    もし過去形の歴史物語になったとき、堀江氏は「数年間の雌伏の時を経て―」なんて言われるかもしれない。

    三洋電機も、結局はそうでしたな。
    約2年半前は「存亡の危機」だったけど、どれだけ長いスパンで見ても電池事業は超優良で、結局は松下電器が買っちゃった。

    そう思うと、なんだか感慨深い。


    ……あ、内容に関してですが、☆3つ程度の普通の出来。
    ただ、井植氏にインタビューってすごいな、おいと思い、☆4つ!!(マチャアキ風)

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著者プロフィール

大西 康之(オオニシ ヤスユキ)
ジャーナリスト
1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)などがある。

「2021年 『起業の天才!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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