- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822242466
作品紹介・あらすじ
本書は会社の値段が決められる仕組みを解明しようというものである。「投資活動の基本原理は意外に単純だ」と割りきり、核心部分だけをしっかり掴まえ、後はひたすら現場感覚で常識的に考える。そういうアプローチにより、ファイナンスやM&Aの世界が目鼻立ちすっきり見えてくる。これが著者の考える実務の視点である。
感想・レビュー・書評
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少し古い本ですが、(比較的)読みやすい
財務会計の基礎がないとあまりピンとこない内容かと思いました
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PERと1/(r-g)の関係性など、指標の持つ考え方を大いに学べた良書。
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会社に対する価値の評価方法、評価を上げる為に何が必要かが理解できた。
最後の部分の「会社は誰のものか」という内容について、株主のものであるという考えは、そのままの理解がまだ出来ていない。新たな視点を持つことができた。 -
2021.9.10 読了
久しぶりに読み直したけど企業価値算定がわかりやすく描かれていて新鮮だった。
きっちりと理解を実践に繋げてモノにできるようにしてゆきたい。 -
バリュエーション関係の本はたくさんあるが、本書が一番気に入りました。
How toだけでなくその裏にある思想から解説してあるので飲み込みやすい。 -
【感想】
M&Aに関する本・ファイナンスを読んできて、なんとなくわかってきたつもりであったが、本書を通してその理解が曖昧であることを実感した。
個人的に、本書で最も学びになったことは、「企業価値」「時価総額」「企業の価格」の違いであった。なんとなく、これらは全て同じものだと思っていたが、読了した上でそれぞれが違うものを指し、また、どんな関係があるのかを理解することができた。特に、「企業価値」をPV=C/rーgというテキストでよく見る公式と関連づけられた点は良かった。
DCF法もなんとなく知っているつもりであったが、本書によって理解を深め、さらに、その利用目的も把握することができた。
残念だったことは、本書を読むことで知識が身につくことには繋がらない点だ。本書を読んだのちに、会社の研修で同じような講座を受講したが、全く歯が立たなかった。ブクログの投稿のために読みなおした際に、研修で理解できていなかった点が本書に記載されており、愕然とした。
いずれにせよ、本書は、難しい計算式や理論をできるだけ平易に説明し、実務に近い形で解説してくれる。大変読みやすく勉強になった。
【内容】
第一章 企業価値という共通語
・企業価値とは、
「株主にとっての投資価値。それ以外の利益関係者にとっての利用価値の話ではない。」
・投資価値としての会社の値段は、
「利益またはキャッシュの多寡に寄って決まる。」
・投資価値を計算する最低限のツール
・現在価値
・ディスカウントレート
・永久価値(永続価値)
PV=C/r
… 永久に100万円(C)をもらえるときの「現在価値」
r;ディスカウントレート…リスクの大きさ
第二章 企業価値を決める要因
・PV=C/r-g
…初年度100万円(C)で、成長率gが永久に続いていく時の現在価値
・株価収益率;上記の基本公式を変換しただけ
PV/C
=株価/1株当たり利益
=PER
=1/r-g
…r;リスクが小さいほど、g;成長性が大きいほどPERが高くなる
・r=CAPMで算定できる
※個別の会社のリスクをそのまま数値化するのではなく、分散投資をする機関投資家からその会社はどのように位置付けられ評価されるのかという観点からβを用いる。
(参考)
PV=C/r-g より
「低金利でrが小さい時、わずかなCやgの変化でPVに大きなインパクトを与えてしまう。」
第三章 会社の値段と企業価値の違い
・会社の値段と企業価値は異なる
・会社の値段=株式時価総額とは、
「株価×発行済み株式数」
・なぜ異なるのか
→BSでの範囲が異なる
・企業価値;営業Asset、営業Debtを使って生み出すキャッシュの将来価値
・時価総額;Equityを時価に評価替えしたもの
・企業価値=ネットデット+時価総額
・ネットデット=借入金ー現金等
第四章 会社の値決めの実態①
・時価総額が会社の価格として適正化を検討する余地がある。
・「時価総額は所詮市場が決めるもので、唯一絶対の会社価値なるものはない」
・「時価総額が会社の価格として適正ならば、売り買いは生じない。」
・算定方法1;似た会社と比較する
・何を持って似た会社とするか
→C、r、gのパターンが似ている会社
・その会社とどの指標を持って比較するか
→Multiple(倍率)
・EBITDA倍率;EV(企業価値)/EBITDA
※企業価値=時価総額+ネットデット
…企業価値はEBITDAの何倍か
・PER=税引き後利益/時価総額
…利益≠キャッシュ→全ての企業を機械的に本来の利益に修正することは難しい
・PBR=簿価純資産/時価総額
…最初に投資した株主がいくら儲けたかを示しているだけ
第五章 会社の値決めの実態②
・M&Aの進め方
・財務DD
・将来キャッシュフローの算定
・株式時価総額より価格が小さくなりうる理由
・100%買収によって株式の流動性が失われるから
・「凍結」株式によって、時価総額が大きく見積もられている
・株式時価総額より価格が小さくなりうる理由
・支配権プレミアム
・算定方法1;類似上場会社比準方式
→第四章
・算定方法2;類似取引比準方式
;過去に行われた類似M&A取引
・コントロールプレミアムが踏まえられている
・個別事情を省けないことが多い
・算定方法3;ディスカウントキャッシュフロー方式(DCF方式)
;現在価値に大きく影響する論点
・将来予測をどう作成するか
・どれほど長い期間の予想をするか
・予想期間以降の事業価値(ターミナルバリュー)をどう置くか
・ディスカウントレートをどう想定するか
第六章 M&Aによる価値創造のしかけ
・M&Aの目的 – 4パターン
・自社立ち上げOR買収 の論点
・参入障壁
・市場規模の限界
・経営資源の共有化
・プレミアムの背景・誰のものか
・レバレッジ効果
第七章 M&A現場の実況中継
第八章 良いM&Aと会社経営
・ESOP(従業員持ち株プラン) LBO
・MBO(マネージメントバイアウト)
・プレミアムは買い手のコミットメントが大前提
PMI実行部隊の熱量・人間力
・敵対的という定義 -
企業価値の算定のための本。実際に実務に携わる人でないと、かなりイメージしにくいだろう。
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基礎編は類書よりも先に読むべきだった。非常に素朴かつ原理的な説明でわかりやすい。
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WACCなどがどの様に使われるかよく分かった。