実行と責任 日本と日本企業が立ち直るために

著者 :
  • 日経BP
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249359

作品紹介・あらすじ

責任の所在が曖昧でなく、誰かが責任をとれば、組織は成功するのだろうか?"組織における責任"を考える『戦略と実行』の続編。

感想・レビュー・書評

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  • 会社や組織では、任された仕事に対して
    任された人は、ある程度の責任が発生します。

    しかし、その人が、どこまでの範囲が
    自分の責任と考えるのか、によって
    組織の強さが決まってきます。

    本日ご紹介する本は、
    組織における責任について
    どうとらえれば強い組織になるのか
    と言う考え方を紹介した1冊。


    ポイントは
    「統合」

    組織で仕事をするメリットのひとつは
    分業によって効率を上げられることです。

    しかし、組織力を発揮するには、
    「どう分けるか」も大事ですが、
    それを「どう結びつけるか」がより重要になります。

    分業された自分の範囲だけがよければいい
    という人が集まると、いい結果は得られません。



    「目的と事実」

    重要なのは、目的と事実の共有。

    目的がどこで、今どこにいるのか?
    という認識がばらばらだと、
    同じ情報を見ても、人によって思うことや、やることが違ってきます。

    組織の目的と事実を大局的に
    しっかり把握することが重要です。



    「これをやれ」

     コミュニケーションが機能しない原因のひとつに
    「これをやれ」としか言っていない場合があります。

     コミュニケーションの大敵は「思い込み」。

    任す方、任される方
    お互いの考えの違いを明確にし、
    合意に達するプロセスが重要です。


    ぜひ、読んでみてください。

    ◆本から得た気づき◆
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    現場の一人ひとりがどれだけ責任を感じているかが、組織の強さのバロメーター
    責任=人が引き受けてなすべき任務
    分業は責任の分散につながる
    組織において、分業はよく聞くが、統合は十分注意されていない
    ルールに頼ることは、考えなくてもよいことを意味する
    相手が何を考えているかわかっていなければコミュニケーションは成立しない
    そもそも目的や価値観が共有できていなければ、同じ情報を見ても、意味を共有できない 
    責任をとることよりも、責任をもつことが大事
    成果主義=自分の成果になる仕事しかしない
    土台となる事実認識をしっかり固めなければ、どんな計画を立てても崩れてしまう
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ◆目次◆
    第1章 組織における責任とは何か
    第2章 責任とリスク
    第3章 トップの責任
    第4章 組織力とは何か
    第5章 組織の慣性と組織改革
    第6章 組織におけるトップの仕事
    第7章 組織におけるコミュニケーション
    第8章 組織力の本質
    第9章 「責任を持つ」よい目標を作る
    第10章 「責任を持つ」事実を共有する
    第11章 「責任を持つ」会社を私物化する
    第12章 日本の組織力再生に向けて
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  • 著者の「戦略の原点」の読後感が良かったので。
    著者の主張は、日本人が不得手な「目的を共有した上での対立」を取り入れること。
    そのために、出来るだけ高い目標を立てて皆で腹に落ちるまでコミュニケーションを重ねて共有すること。
    目標レベルは、今までのやり方の改善では、成し遂げられないレベルまでストレッチすること。抜本的にやり方や仕組みを改革しなければならないレベル。
    そのために必要なものは、「責任」「勇気」。
    責任は、とるものではなく、責任を持つという心構えを持つこと。
    組織で目的を共有し、対立を顕在化させて、「レベル2」の対立まで持っていくこと。相手が嫌がる意見を言っても、相手がわかってくれると信頼すること。
    小さいですが、組織を率いる責任者として、組織力向上のためになる事柄・エピソードが多数綴られてました。
    最後に、議論のプロセスの中で、この言葉を忘れまいと、しっかりとアタマに焼きつけました。psychological safety

  • 大崎Lib

  • 戦略の策定をメインにした本が多いなか、
    戦略の実行に視点をおいた本。
    そのためのトップとは、責任とは
    組織とコミュニケーションについて。
    リスクを取らないトップ。トレードオフを如何に責任をもって
    実行するか。組織の慣性をどう見るか。
    よい目標・事実の共有・会社の私物化というか我がコトと考える。
    経営トップと株主の違いとリスクに対する考え方。
    云々もろもろためになりました。著者の他の本特に
    『戦略と実行』もよみたいと思います。

  • 第一部
    人が引き受けてなすべき任務

    GEのリーダーの定義は、人を動かし、変化を起こし、結果を出すことであり、社員全員がリーダーとなることができる。
    「リーダーシップ=権限+影響力」

    与党発想と野党発想
    野党発想は責任欠如、実行できないアイデア、しないアイデアを生むが、既存の枠を破るには有効な場合がある。

    トップの失敗
    1.トップが責任を果たせないのは能力の問題ではない
    2.トップの失敗の多くは、「成功体験の呪縛」と「事実情報の不足」による

    成長は、「できないことができるようになる」こと。無理矢理やらせる、無茶振りすることも必要。できることだけやっていても楽しくも嬉しくもない。
    第二部
    組織力とは
    本来の目的を遂げるために、効率とか生産性をあげるという手段が、反対に目的化されてしまう。
    「わかっているはずた」「忙しい」という言い訳が蔓延する組織は、一人一人は一生懸命仕事をしてるにもかかわらず、チームワークが全くとれず個人の努力が空回り…結果としてますます忙しくなり、ますます本当のコミュニケーションをとる時間が減っていく悪循環。
    日本型成果主義の失敗

    根回し、そのものが悪いのではない。根回し・調整が目的化することが問題。波風をたてない⇒❌
    もっとも良い案を考えるという根回し。
    根回し⇒時間がかかる❌
    何を決めなければならないか
    いつまでに決めなければならないかが明確でない!

    159
    百聞は一見に如かず
    ➡Seeing is Believing だが、人間はBelieving is Seeing な生き物。

    マッキンゼーの7Sモデル
    経営の基本要素
    業績を上げ、競合に対して優位性を確立するには7つのSが一貫性を持たねば。
    企業の価値観shared valueに基づいた良い戦略strategy がせっかくあっても、その実行を支援する組織構造structure や評価システムsystem、さらには戦略そのものも組織の持つ人材staff やそのスキルskill、そして文化やものの見方styleを活かすものでなくてはならない。

    トップの仕事
    社長の仕事の本質は、誰もがしたくない仕事をする。「難しい判断」「人に嫌われる決断」部下がやりたくないことをやらせることだ、ゴーン氏。

    難しい決断2種
    あっているのか、間違っているのかわからない状況でくださねはならない決断。
    あちらを立てればこちらが立たずのトレードオフを伴う決断。

    危機に際しては、リーダーは行動するために考えるのではなく、考えるために行動する必要がある。

    先送りをするトップとは、実は全く決断をしていないのではなく、「決断をしないという決断」「時間を浪費するという決断」「手遅れになってもかまわないという決断」をしている。

    組織におけゆコミュニケーション
    Believing is seeing だから。
    コミュニケーションのたいてきは、思い込み。
    ゴーン リーダーに絶対欠かせない資質の1つとして、人の話を聞くこと。
    仮説と先入観は紙一重、仮説はもっともらしい先入観。

    あうんの呼吸で共有したつもりになって、個人が頑張って現場力で補う。

    送り手が、何を、どのように言ったかではなく、受け手が決める

    コミュニケーションとは、お互いの考えの違いを明確にし、創造力を発揮して、合意に達する協力のプロセスだ。
    ⇒意見が対立するのは当たり前であり、対立から創造が始まる、いや、対立があるから創造があるのだ

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著者プロフィール

清水 勝彦(シミズ カツヒコ)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授
1986年東京大学法学部卒業、86~96年株式会社コーポレイトディレクション(CDI)にて戦略コンサルタント。同社プリンシパルを経て、研究者に転身。94年ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、2000年テキサス大学A&M大学経営学博士(Ph.D.)。テキサス大学サンアントニオ校准教授(テニュア取得)を経て、2010年より現職。2012年より仏エクス・マルセイユ大学経営大学院でも教鞭を執る。専門は、組織変革、 戦略実行 、M&A。Strategic Management Journal、Journal of Management Studiesなどの編集委員を務める。著書に『あなたの会社が理不尽な理由』『戦略と実行』『戦略の原点』『リーダーの基準』(いずれも日経BP社)などのほか、学会のトップジャーナルに英語論文も多数発表している。 金融、メーカー、商社、エネルギー関係など 大手企業の幹部研修や講演も多い。

「2018年 『機会損失 「見えない」リスクと可能性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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