学校では絶対に教えてくれない 自分のこころのトリセツ

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822249748

作品紹介・あらすじ

腹が立ったとき、つらいとき、不安なとき-自分の心の扱い方を知っていますか?自衛隊でも使っている修羅場の切り抜け方。

感想・レビュー・書評

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  • 内容もだけれど、本のデザインやイラストも良かったです。

    下園さんの本、気になっていたのですが、予想通り!いい本でした。

    また他の本も読んでみたい。

  • 副題が、「あなたの『困った』にやさしく効く自衛隊式メンタルレスキュー術」。

    災害や紛争の現場で活動する自衛官たちが大きなストレスにさらされていることは、容易に想像できます。
    著者は、そんな隊員たちのメンタルヘルスにたずさわる、自衛隊初の「心理幹部」です。

    本書では、
    ●困った感情や行動は、「原始人のころの本能」に基づく反応とみなせば、原因や性質が理解できる。
    ●原因や性質を理解できれば、それらとうまくつき合う方法もみつかる。
    という考え方を基本に、
    様々な「困った」に対するアドバイスが紹介されています。

    また、上記の「原始人モード」の説明には、別の長所もあります。
    カウンセラーからこの「原始人モード」の説明を受けると、相談者は、「(本能なら)仕方がない」と現状に納得し、自分のことを責めすぎず、今度のアドバイスも受け入れやすくなるのだそう。

    「原始人モード」理論の強度は、正直私にはわかりませんが(著者がカウンセラー育成のためにカウンセリングを学ぶにあたって、十分な準備期間が与えられなかったと書かれているので)、この本を読んだ結果、気持ちが楽になる箇所がたくさんありました。
    その中から、中学生の頃の自分が知っていたら良かったねと思う部分をいくつか。

    ●「子どもの心の強さ」と「大人の心の強さ」:
    人は大人になるにつれ、努力や我慢という「子どもの心の強さ」だけでなく、困難をやりすごしたり他人に頼って解決するという「大人の心の強さ」が必要になる。

    ●状況を変えたいときには、「7対3」のバランスで:
    完ぺきに変化することを目指して、「10対0」で今の状態をすべて否定することは、これまでの自分を守ってきてくれた自分(=今の状態)を、その貢献を無視することになる。
    結果、最初のうちは「今の状態」を0に抑えられても、「変化(進化)」への疲れや不安に対応しきれず、長期的には元に戻ってしまう(=変化できず、自信もなくなる)。
    一番良い目標バランスは、「7対3」。
    「今の状態」と「変化」のどちらが7でどちらが3でもいい。
    欲張って「8対2」や「9体1」にすると、デメリットが急増するので注意。

    ●人は不必要な悩みを抱えがち:
    人は誰でも、
    (1)仲間を作ること
    (2)愛されること
    (3)能力をつけること
    (4)群れの中で一番になること
    の4つが気になってしまうもの。

    なぜなら、これらは「個の保存」と「種の保存」(生き延びて・子孫を残す)という本能の最終目標に直結した中間目標だから。

    でも、この4つの中間目標は達成しにくい。
    しかも、現代では「生き延びて子孫を残す」という最終目標自体が、昔より達成しやすくなっているため、中間目標の達成はあまり必要ではなくなっている。

    つまり、(現代)人は不必要な悩みにとらわれがちな生きものなのである。

    ●打たれ弱い人は、困ったら、人の力を借りて、素早く「手当て」を:
    どんな失敗にも、3割くらいは「いいところ」(=間違っていない、ちゃんとできたところ)が隠れているので、相談することでそれを客観視する。
    また、「尊敬しているあの人だったらどうする?」という視点で、辛かった出来事を思い出し、自分がそれを実行しているところを「次はこうしよう」と想像して、良いイメージで締めくくる。

    ●どうにもならないことが7割:
    何かを行うとき、準備や努力でコントロールできることが3割、予測不可能でどうにもならないことが7割。
    つまり、30点取れたら最低限の義務は果たしたといえる。

  • 子どもの心、というのが目からウロコだった。
    私もまさに大人なのに子どもの心のままで、苦しんでいる。

  • 各ページの「まとめ」で対処法や解決策がコンパクトにまとめられていて、そこだけ読んでも使える内容がたくさんあった。

    気持ちを伝えたい時のABC法はなるほど。
    Aあなたのこの行為が
    Bわたしにはこう感じられた
    Cこうしてくれればうれしい

    さびしいときは人付き合いのバランス調整
    付き合いを3つに分ける
    ①ネットの付き合い
    ②一人でいる
    ③身近な人との濃い付き合い

    嫌われてもいいと思える心の強さを育てていこう
    ①嫌われたくない自分を認める
    ②嫌われる訓練
    元気なとき、思い切って「嫌われる訓練」を試す
    苦手な相手に少しだけ、「嫌だな」という表現をし、口調で感情を表現する。そのたび、「よくやった。感情を出せた。」と自分を褒める。この繰り返しで「嫌われてもいいと思える強さ」が身につく。
    ③距離を置き、時間を短くする

  • 依存の対応。今はこれしかできないと認める。依存により起きるトラブルを提言する方法を考え実行する。落ち着いたときに自分を消耗させない快感の回路をさがす。自分を消耗させない快感の回路としての自然に触れること。ともかく寝ること。
    スリップの時は、目標を短期に(日とか週とか)。パニックの翌日は休む。寝る。動かない。仕事が休めなくなる対応。元気のあるうちに、休む予定を入れる。元気があるうちに断る練習をする。休む日は何もしない。(何も。家事の日ではない!)

  • 心理

  •  陸上自衛隊でメンタルヘルス教官を務める著者は、戦闘や災害支援時などの極限のストレス対処教育に長い経験を持つ。
     「サイアク」と思ったら、本能的な「原始人モード」に照らす。個や種の保存のための4つの中間目標、大人と子どもの心の強さや「7対3のバランス」を意識する。
     「自分の弱さと向き合う」、「感情をコントロールする」の各章へと続き、それぞれ16ずつの項目に分けて、不安や弱音、怒りなどに対しての対応が説明なされる。
     苦しい感情は本能からくる自然なこととまず受け止めて、自分を味方に無理なく回復する。最後の章では人間関係と向き合う方法にも言及され、様々な場面で適用できそうなのである。

  • イライラ、怒り、不安など、働いていると日常的に起こる感情と、どう向き合い、対応していけば良いか。
    当たり前だが、疲れたら休む事。
    近くにこの本を置いておく事でたまにコントロールできているか思い出せたら良いなと思いました。

  • 読書録「自分のこころのトリセツ」4

    著者 下園壮太
    文 柳本操
    出版 日経BP社

    p21より引用
    “ たとえば、よく、「自分はネガティブ思
    考だ」と言う人がいますが、もともと人間は
    ネガティブにできているんです。
     なぜなら、快感はすぐに忘れても命の危険
    はありませんが、不快感は命を脅かす危険と
    つながっている可能性があるからです。”

    目次から抜粋引用
    “「原始人」に照らし合わせればすべての悩みのナゾが解ける
     「サイアク」と思ったとき役立つ「こころのトリセツ」
     「自分の弱さ」と向き合うために
     日々の生々しい感情をコントロールするために
     身近な「人間関係」と向き合うために”

     自衛隊メンタルヘルス教官である著者によ
    る、気持ちの調子が悪い時の対処法について
    記した一冊。
     ストレスと原始人の本能の関係から個々の
    気持ちの具合に対する方策まで、インタ
    ビューを文章化してまとめてあります。

     上記の引用は、現代の環境と原始人の本能
    について書かれた部分。
    物事は前向きに明るく考えよう、とか、ポジ
    ティブであることがいいことばかりなように
    言われることもありますが、命に関わるよう
    なことに関しては、あまり前ばかり向いて考
    えるのも危険なのかもしれませんね。
     心の疲れは、眼に見えないことも多いで
    しょうから、疲れた時は休むという単純な事
    も、気軽に出来る人はそんなに多くないよう
    な気がします。
    つい最近も、大手の新入社員が過労で亡くな
    られていますし。いい大学を卒業し、いい会
    社だと思って就職したのでしょうに。

    ーーーーー

  • 【生き方】自分のこころのトリセツ/下園壮太/20160526(68/494)<222/43341>
    ◆きっかけ
    ・日経新聞広告、最寄の(図)になく取りよせてもらった。

    ◆感想
    ・期待を裏切らない良書だった。今後活用したい。
    ・自分の心を健全に保つキーワードとしてはやはり「レジリエンス」だと思う。文中の言葉を借りるなら、理不尽さに直面してもしぶとくやっていく能力を向上させるということか。
    ・その為にはコミュニケーション、7:3の法則、心の強さのバランス(=子どもの心の強さ(困難にあっても頑張る、向上心の塊)+大人の心の強さ(のらりくらり受け止めて、自分とは異なる価値観があることを認め、自分を許し、いたずらに自信を失わず自分を励ましていく(プチ挫折で傷つくけど、大丈夫、自分には合わなかっただけ、と自ら励ます、自分を認めるおおらかさ、どうにもならないことがあると認める、目標レベルを下げる、目標バランスは7:3にキープ))
    ・もともと自分のできることは限られている。だからこそ自分ができることだけに集中しよう。とハラをくくる。嫌われてもいい、くらいの居直り感。
    ・嫌われたくない、ねたんでいる、怒っている等々、まず自分がそうなんだと認めることが大切=>メタ認知。

    ◆引用
    ・自分の困っている気持ちを心の底から認めてやる
    ・ほどんどの悩みは原始人だったころに立ち返ると正体が見えてくる。人間には本能的に一番になりたい、仲間に入れてもらいたい、といった感情があり、この目標が満たされないと、行き詰まりやすい
    ・セリエの学説:ストレス反応は自分のとって有害な外部刺激による正常は反応。ストレス反応があるからこそ、命を維持できる。
    ・不調について、できない原因を指摘してそれを改めさせることは正論、しかし、心が弱っている人をサポートする手法ではない。がんばりすぎて疲れてた結果の症状なのだと説明すると、だったら休めばいいんだ、そうしよう、と納得できるもの。
    ・つらい体験に意味がなかったと感じるときに最も精神的ダメージを受け、心が蝕まれる。
    ・現代社会の情報量の多さが心を疲れやすくしている。あふれる情報に対して、常に感情を働かせることによる精神疲労。
    ・最終目標=①生き延びること+②子孫をのこすこと。そのための中間目標=①仲間をつくること+②愛されること+③能力をつけること+④群れの中で一番になること
    ・心の強さ=子どもの心の強さ(困難にあっても頑張る、向上心の塊)+大人の心の強さ(のらりくらり受け止めて、自分とは異なる価値観があることを認め、自分を許し、いたずらに自信を失わず自分を励ましていく(プチ挫折で傷つくけど、大丈夫、自分には合わなかっただけ、と自ら励ます、自分を認めるおおらかさ、どうにもならないことがあると認める、目標レベルを下げる、目標バランスは7:3にキープ)
     *子供の心の強さばかりに拘ると、自己嫌悪、自責感、自信の低下が加速し、自分を許せなくなる
    ・理不尽さに直面してもしぶとくやっていく能力を身につける体験=生身のコミュニケーション
    ・昔:村民100人程度で何かしらで一番になれた。現代:組織は万人単位。まだまだ上がいる、心のベースとして誰もが自信のなさを抱えている。
    ・責任は受け取る人のコンディション次第で重さが変わる。疲れると責任ある立場から降りたくなる。
    ・もともと自分のできることは限られている。だからこそ自分ができることだけに集中しよう。とハラをくくる。
    ・打たれ弱い=①一人で乗り越えなきゃとは思わない、人の力を借りる、②出来事を客観視、いいところを見る、③出来事を思い出し、良いイメージで終える。
    ・不安はモチベーションを高める原動力。しかし、過剰は不安は人のエネルギーを消耗させる。=>最悪の事態が起こる確率をイメージする、体に意識を集中させる(深呼吸)、不安を丸ごと認めてしまう。
    ・恐怖の過剰反応は情報不足によって起きている。
    ・夢が生まれる要素:①好き+少しでも人よりできる
    ・心身を休めるにはのんびり過ごす、はしゃぎすぎ系ストレス解消法はNG
    ・何もしたくなるのは弱った自分を守るための大事なメカニズム
    ・つらい、くるしい=助けを求めろ、その場から離れろ、休め、というサイン
    ・自分に×をつける回数を減らす:自分の準備や努力でコントロール可能:どうにもならないことが起こる=3:7、くらいと思ったほうがいい。失敗したら、①深呼吸、7:3バランスで失敗要因を評価、次の対策は細かく区切って
    ・やめられないとき:①今はこれしかできないと認める、②しがみつく結果のトラブルに対処、③別の対処法を探す
    ・わけもなくイライラするときは、感情のSOS信号。疲れのせい、自分をいたわる休み方をする、当たってしまいそうな人とは距離を置く。イライラも落ち込みも波のせいだと認める、
    ・一番になれなくて辛いときは隙間を探す:①一番になりたい気持ちを認める、②一番になれる隙間を探す、③小山の大将になろう。
    ・ねたみは心をむしばむ原因になることも。ねだんでしまう自分を認める、ねたむエネルギーを行動に向ける、ねたみを方向転換のきっかけにする(自分は本当にこのことにこだわるべきか?)
    ・決められない時:①決める時期を決める、②信頼する人に決めてもらう、③運にまかせるのもあり
    ・続けられない時:①課題そのものを見直す、②短期目標を定めて再スタート、③続けることでなく、成長を目標に
    ・怒り:怒りを認めてまずは冷静に、小出しにする、相手に伝える、感情を具体的な言葉にして提案で締めくくる
    ・同じベクトルをむいた経験を共有した仲間同士はがっちりと結びつきやすい
    ・嫌われるのが怖い:嫌われたくない自分を認める、嫌われる訓練をしてみる、距離を置き時間を短くする。

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著者プロフィール

【下園 壮太】(シモゾノ ソウタ)

メンタルレスキュー協会理事長、元陸上自衛隊心理教官。陸自初の心理幹部として多数のカウンセリングを経験。その後、自衛隊の衛生科隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルヘルス、カウンセリング、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。本邦初の試みである「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして、約300件以上の自殺や事故にかかわる。平成27年8月退職。現在はNPOメンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、県や市、企業、大学院などで、メンタルヘルス、カウンセリング、感情のケアプログラム(ストレスコントロール)などについての講演・講義・トレーニングを提供。著書50冊以上。

公式HP: http://www.yayoinokokoro.net/

「2023年 『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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