量子コンピュータが人工知能を加速する

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251895

感想・レビュー・書評

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  • 「本書では、量子コンピュータがどのようにして動き、どんな計を行っているのか、そしてどうやって人工知能に応用できるのかについて、専門知識がない人でもなるべく理解しやすいように解説する」という言葉に惹かれて読んでみた。
    が、物理の知識ゼロの自分にはやはり難しかった。なんとなくわかったような、わかりにくいような。。

    他方、「第6章 日本が世界をリードする日は来るか」では、日米の研究者のマインドセットや研究環境の違いにも触れ、新たな分野の研究や起業に挑戦する若者が増えてほしいというメッセージも伝わってきた。

  •  量子アニーリング方式を考案した研究者による量子コンピュータの解説書。前半はこれ以前に読んだ本で既に得ていた知識で、肝腎の量子アニーリングの説明も何となくの雰囲気だけに終始。期待していたのとは少し違うという意味で星3。慌てて申し添えておくと、入門書あるいは勉強のモチベ本としては、量子コンピュータを取り巻く状況が概観できて良い本だと思う。そうでなくても、量子アニーリングという概念を知ることが出来ただけで僕としては収穫はあった。
     あとは、他の方のレビューにもあるが、筆者自身の業績に対して自慢たらしい(?)記述がそこここに見受けられるのが(それが凄い業績であると理解していても)、やや鼻につくかな…

  • 以前から気になっていた「量子コンピュータ」。
    動作原理と結果の解釈方法は今一つ理解できなかったが、とりあえず「量子アニーリング方式」と「量子ゲート方式」というキーワードを覚えておこう。
    本書は、「量子アニーリング方式」で組み合わせ最適化問題の近似解を得ることができる「量子コンピュータ」について、現状と発展の方向性のヒントを示してくれている。
    汎用性はないが、問題によってはスーパーコンピュータ「京」で3年かかるものが1秒で出せるのは脅威的。
    答えを得るまでの速さのみならず、コンピュータの動作自体にかかるコスト削減による省エネ率が半端でなく利用価値大。
    ざっくり言うと、3年でかつ1億円もかかるため非実用なものが、1秒1円でできてしまうということ。
    現在はビックデータを力任せに処理するのに、尋常でないエネルギーを使っているから、人工知能の商用化のネックは超省エネ化をいかにして行うかにかかっているはず。

  • 図書館で借りた。量子コンピュータシリーズ

  • 量子コンピュータについて。詳しい作動原理などの話はないので物理に詳しくなくても読める内容。ただ、著者の一人は昔から量子コンピュータを研究している人のようで、自分の業績への言及が過剰なのがちょっと目立つに

    ・グーグルの量子コンピュータは現在最高性能のスパコンが一万年かかる計算を3分で完了するんだそうだ。とはいえ、グーグルの量子コンピュータで計算可能な問題は巡回セールスマン問題に代表される組み合わせ最適化問題という特殊な問題に限られる。もともと量子コンピュータといえば量子ゲート方式という汎用のコンピュータが開発されたいたのがここ数年急に実用化されるようになったのはD-Waveが開発を進めている量子アニーリング方式というもの。ただし、D-Waveによるコンピュータの量子ビットは2007に16、2011に128、2013
    に512、2015には1000を超えている。

    ・量子アニーリング方式の詳しい説明はない(されても理解できなそう。。。)が、ニオブの小さなリングを冷却すると、右回りの電流と左回りの電流が重ね合わさった状態を量子ビットとしているらしい。

    ・量子コンピュータはエコでもある。2013年現在、世界の発電量の10%がITによって消費されている。グーグルだけでも20万軒分の家庭電力量に相当し、検索一回あたりの消費電力は60W の電球を17秒間光らせる量になる。

  • 量子アニーリング方式のコンピュータの解説が中心ですが、それにしては、やや冗長な印象。
    量子コンピュータの紹介という意味なら、量子ゲート方式の解説などもあった方がいいのでは。
    人工知能についての記述は、大したことない印象。
    なんとなく、この分野をのぞいて見たいという方にはいいのかもですね

  • 量子コンピュータおよび「量子アニーリング」を一般の言葉で説明した本。量子コンピュータへの期待の誤解も言及されています。

    数式は皆無なため、原理を追求したい人には不向きです。
    仕組みは少しわかるのですが、実用例が乏しいので実際の活用イメージは付きにくいですね…。

  • 2017.07.30読了

  • 「邪気眼」と並んで声に出して読みたい日本語の代表格である「シュレーディンガーの猫」。恐らく多くのビジネスパーソンも「ああ、その案件はまさにシュレーディンガーの猫状態だね。そういうことでよろしく!」という会話を耳にしたことがあると思うが、本書は量子力学を援用することで、従来のコンピュータよりも遥かに高い演算能力を持つ量子コンピュータの概略書である。

    正直なところ、この1冊で「量子コンピュータが理解できた、ヘイヘイ」とでも言おうものなら、世界中の学者によって私が箱の中に閉じ込められ、青酸カリのガスの中でシュレーディンガーの猫状態になりそうな気もするので、そんな大げさなことは言えないのだが、とにかく量子コンピュータが「バリヤバイ」(by 向井秀徳)なのは分かった。

  • 量子コンピュータといっても本命の量子ゲートによる汎用機ではなく、量子アニーリングを用いて組み合わせ最適化問題に特化したマシンの原理や今後について。
    すぐに読める分量だし、やさしく書いているが、けっきょく原理はよくわからなかった。

著者プロフィール

東京工業大学理学院教授1954年高知生まれ。1977年、東京大学理学部物理学科を卒業。1981年、カーネギーメロン大学で博士研究員となる。1982年、東京大学大学院博士課程を修了し理学博士を取得、ラトガース大学博士研究員に着任。1990年、東京工業大学理学部物理学科の助教授に就任。1996年より現職。1990年に日本IBM科学賞、2006年に仁科記念賞を受賞。著書に『スピングラス理論と情報統計力学』(岩波書店)、『相転移・臨界現象の統計物理学』(培風館)、『物理数学II ―フーリエ解析とラプラス解析・偏微分方程式・特殊関数』(丸善出版)、『Statistical Physics of Spin Glasses and Information Processing: An Introduction』(Oxford University Press)、共著『Elements of Phase Transitions and Critical Phenomena』(Oxford University Press)など。

「2016年 『量子コンピュータが人工知能を加速する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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