星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント 1 継ぐべきか、継がざるべきか

著者 :
制作 : 日経トップリーダー 
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822263898

作品紹介・あらすじ

本書は経営者同士が語り合い、発信することによって、ファミリービジネス固有のマネジメントを探っていく。いわば経営者がつくるファミリービジネスの教科書を目指している(「はじめに」から)。

感想・レビュー・書評

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  • 家業を継いだ人、事業承継を考えている人にお勧め。
    星野リゾートの星野社長の考え方を、著者がわかりやすく解説。

  • 2021.13

    同族経営の強さ弱さ、承継者の性質、やらなければいけないことが記載されていてとても勉強になった。
    この分野を扱った書籍は少なく新しい視点ばかりだった。

    長く続いている同族企業はビジネスの有効期限が切れていても気づけないことが多い。承継者は常に変革の意識をもたなければいけない。
    また、競争優位性がハッキリとわかっていないことが多い。途中から入った後継者は優位性が見つけやすいためそれを分析して見える化する。そしてそれを発展させていく。

  • 様々なファミリービジネスの事例が紹介されており分かりやすい内容になっている。

  • 201805/
    202104/

    事業の立ち上げには経営者としての能力、知識などを越えたリスクが存在します。成功には運も必要で、それだけ難易度も上がります。一方、ファミリービジネスには先代までに築いた基盤があり、後継者はそのベースを改善すればいいわけです。新事業と比べれば、成功の確率はずっと高い。
    だからこそ、ファミリービジネスに入るチャンスのある人は「自分で一から事業を立ち上げるよりも、家に帰れ」と言いたい。ファミリーの一員にしかできない戦略、変革もたくさんあります。/

    ファミリービジネスを継いでいる若い経営者に聞くと、入ってからおとなしくなる人が意外なくらい多い。親の言うままにやっていては、「いつか変えてやろう」という気持ちもなくなります。後継者は最初からある程度リスクを取っても「変える気概」を持つべきです。そうでなければ、若い世代が入っても、新しいエネルギーになりません。/

    ファミリー出身の後継者はともすれば、周囲から「ちやほやされる」と誤解されがちです。しかし、実際には全然違います。むしろ、「社長の息子だから今の地位にいるのだ」「能力がないのにどうして経営者になるのか」といった厳しい声がどんどん聞こえてきます。私もそうでした。これは後継者にとって、大きなプレッシャーになります。これから事業を承継する人には、ぜひ、「入ればそれでいい」「入ればそのまま継げる」というほど甘くないことを、まず知ってほしいと思います。/

    法事は定期的に開かれる上、ファミリーが自然な形で集まるきっかけとして適している。ファミリービジネスではファミリーと経営が重なっているために、法事ではファミリーの話をするだけでなく、ビジネスの話をするケースがたくさんある。プライベートな場のため、会社で話すのと違い、業務について気楽に話しやすいからだ。法事が終わった後にレストランなどに行くことによって、子ども世代にとっては法事が「楽しみな場」となり、自然な形でファミリービジネスに親近感を持つようになる。/

    3年ほど前までは週に3回ほどのペースで、会社で起きている様々なことや経験を、私から先代に話すようにしていました。これは私だけで気づくことのできない部分があると思っているからです。/

    特に話す案件や議題がなくとも、先代と定期的に話す場を持つ事によって、後継者は様々な気づきを獲得していく。雑談の中からでも、話しているうちにビジネスに役立つ内容が出てくるのがファミリービジネスの大きな特徴だ。話した結果として先代から様々な指摘を受けることがあったとしても、しっかり伝えることによって経営力を高めていく。先代から逃げないようにすることによって、後継者は様々な確認をすることができる。/

    先代は実際のビジネスの中で強さを磨いているケースが多いため、自分では「どうして事業を継続できているのか」についてはっきり分からないことがある。これに対して、後継者は途中から事業に加わる。このため、優位性を見つけやすい面がある。それを分析し、「見える化」することによって継いだ事業を発展させる可能性を高めていく。/

    日本のファミリービジネスは若返りをもっと早くすべきです。役割を明確にして若い人たちにもっと権限を与えていく。企業だけでなく、様々な団体についても同じことが言えます。/

    後継者にファミリービジネスへの興味を持ってもらうために、子供のころから仕事場に連れて行ったり、深い仕事の話を聞かせたりする経営者は多い。こうしたことを繰り返していると、子供は父の仕事を「面白い」「魅力的だ」と思うようになり、次第にそこから「いつか継ごう」と意識するようになっていく。この場合、後継者がモチベーションを持って「継ぎたい」と考えるので、先代が頭ごなしに「継がなければならない」と伝えるよりもずっと効果的だ。/

    松坂社長は4か月の筆談で父の書き残したものを写真に撮った上で携帯電話に入れていつも持ち歩いている。そして、経営に悩んだときやなかなかうまくいかないときに見返している。「思いを忘れるな。困難を乗り越えろ。新しい夢を持て。父の残した言葉は私の今の経営を支えている」。/

  • ファミリービジネスにおける事業継承を幾つかのパターンに分けそれぞれの継承者と著者が対談している。ファミリービジネスに特有な部分を見事に炙り出している。

  • ファミリービジネスに関する本って確かに少ないし、あまり注目もされない。しかし、親から事業を継承するひとが身近にいるようになってから興味をもちました。我々凡人の他人から見ると、親が社長って羨ましく思うし、あまり苦労もしてないように見えて仕方がない。でもいろいろな苦悩がきっとあるはずで、同じ境遇を体験できない自分にはなかなか理解し難いものでした。
    この本はそんな私にほんの少しそうした立場の人を理解する手助けをしてくれました。押しつけがましいところもなく、きちんとフレームワークにもされていて、素晴らしいです。

    会社を親から引き継ぐあなたに言いたい。
    同じような悩みをもっている人はあなただけではない。
    この本を読むべし!

  • タイトル通り、事業継承が書かれている。
    仕事柄、農家の世代交代をたくさん見てきたが、千差万別といおうか、全く持ってだめなところ、うまく行くところ、その中でもいくつものパターンがあったりする。
    継ぐ方の覚悟と、継がせる方の腹のくくり方、そのタイミング、それをどうやって仕掛けていくか。15人のお話が書かれており、事業をなさっている方は、お読みになれば為になる1札であることは間違いないです。

  • 継承することを決めた時のことを思い出しました。
    伸ばすよりも継続することを大切にしている点も共通しているように感じます。

  • 日本に多く見られるファミリービジネス、いわゆる「家業」にスポットを当てて書かれている。

    ビジネス書は多くあれど、この手の種類の本はあまり見たことがなく、内容が考えてる現状に重なる部分があったので購入。

    「家業を継ぐまでの3つのパターン」、「息子、娘以外が継ぐケース」、「継ぐことを決めた瞬間のドキュメンタリー」の大きく3部の構成になっている。

    内容的には、もう少し話を掘り下げても面白かったと感じる。この手の種類のビジネス書も今後、徐々に増えてくるんじゃないか?と予感させる一冊。

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著者プロフィール

日経ビジネス副編集長。1966年新潟市生まれ。慶応義塾大学卒業後、毎日新聞記者を経て日経BPに入社。日経ビジネス編集部、日経トップリーダー編集部、日本経済新聞社企業報道部などを経て2018年4月から現職。著書に『あの同族企業はなぜすごい』(日本経済新聞出版)、『星野リゾートの教科書」「星野リゾートの事件簿』(ともに日経BP)など。

「2021年 『星野リゾートの事件簿2 なぜお客様は感動するのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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