データを正しく見るための数学的思考

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  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822285395

作品紹介・あらすじ

間違わないデータ分析に必要とされる、統計の数学的知識を、数式を使わずに、グラフ図と日常的な例などで概説した読み物。例に挙げられている題材は、米国大統領選挙、肥満の定義、NBAのシュートランキング、失業率、くじの当選確率など。
解説は、統計の処理に使われる数学の知識を、「なぜそういう概念が必要なのか」、「どのように使い、どういう結果を得るのか」、「その知識を持っていないと、どういう間違いを引き起こすか」というレベルに落とし込んで、丁寧に説明します。
意思決定を狂わす、世の中にはびこるデータの間違った解釈を数学的に正します。

主な内容は、
● 線形性の罠にはまるな
● 確率は前提条件次第
● 期待値は「期待される値」ではない
● 人為データは数字の7で分かる
● 平均への回帰はあらがえない

など。

感想・レビュー・書評

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  • 10日以上かけて何とか読み切った…という感じで一部は消化不良の点もある。。
    回帰については本書でも登場するカーネマンの『ファスト&スロー』を読めば大方分かる。微積分まではいいが昔から幾何学が不得手でよく分からないパートも多かった。

  • 日常の一般的な事象から数学とは何かについて語る本…でいいのかな?正直自分の不勉強が著し過ぎて2割も理解できたのか不安でしょうがない、それでこの評価にならざるを得ないのはこの本に申し訳なくもある。
    中学や高校でこの本を1年かけて輪読したりすればかなり力つくんだろうなとは思った。学ぶってなんなんだろうね…。
    数学的思考を身につけた後にもう一度読みたい本(そんな日は来るのだろうか)

  •  …あらためてフォン・ノイマンの「数学者」から

     飛行機の仕組みや、それを空に引き上げ推進する力の理論を理解することは、飛行機に乗って持ち上げられるだけーあるいは操縦するーよりも難しいことで、もともと動かし方や使い方にとことんなじんでおらず、それを直感的で経験的な形で同化してもいないことについて、あるい過程の理解が得られるという経験はめったにありません。

     言い換えれば、数学をしないで数学を理解するのはとても難しいということだ。


     有意性検定は科学の道具で、他の道具と同様、精度には一定の範囲がある。検定をもっと敏感にーたとえば調査する集団の大きさを増すことによってすれば、さらに小さな影響を見ることもできる。それは方法の威力であり、また危険なところでもある。確かに帰無仮説は、文字どおりにとれば、おそらくほとんどいつでも偽となる。強力な薬を患者の血管に入れるのだから、その介入が、その患者が食道がんや血栓や口臭を発症する確率に及ぼす影響がまったくのゼロであると信じるのは難しい。体の各部分どうしが、影響や支配の複雑なフィードバックループをなして影響しあう。なされることすべては、がんを起こすか、防ぐかする。原理的には、十分に強力な調査を行なえば、どちらであるかはわかるだろう。しかしそうした影響はたいてい、無視しても大丈夫なほど微小なものだ。それを検出できるからというだけでは、必ずしもそれが重大だということにはならない。
     統計学的な命名が始まる頃に戻って、フィッシャーの検定でp値が0.05未満になって合格とされる結果を、「統計学的に有意」ではなく、「統計学的に認識可能」あるいは「統計学的に検出可能」と言っておけばよかったのにと思う。そのほうがこの方法の意味としては正しい。それは何らかの作用が存在すると教えてくれているだけで、その規模や重要度については何も言っていないからだ。しかしもう遅すぎる。われわれの言語は今手にしている言語なのだ。


     しかし、フィッシャーは、有意性の垣根を取り払うのは、真理を見出すのと同じではないこ確かに理解していた。もっと豊かな、もっと反復される手法を構想し、一九二六年にはこう書いている。「科学的事実が実験的に確立したと見なされるべきなのは、適切に設計された実験がこの水準の有意性を示さないことがめったにない場合のみである」。
    「一度示すことに成功する」ではなく「示さないことがめったにない」となっている。統計学的に有意な発見は、研究する力を注入すべき有望な場所を指し示す手がかりを与えてくれる。有意性検定は刑事であって、判事ではない。このことがあのことの原因である、あるいはあのことが他のことを防ぐという画期的な発見についての論文を読むと、最後に必ず、その研究にはかかわっていない年長の科学者からの、「この発見は非常に興味深く、この方向でのさらな研究が必要であることを示唆している」の類を呪文のように唱える陳腐な引用があるのはご存じか?そして、人はそれを内容がない義務的な警告と考えて、それを実は読みさえしないことがどれほどあるかは?
     そこが肝心ー科学者が必ずそういうのは、それが重要で、それは正しいからだ!刺激的で統計学的にとても有意な発見は、科学の家庭では結論ではなく、始まりにすぎないのだ。結果が新しくて重要なら、他の研究室の他の科学者がその現象や変種の現象を検証、再検証し、結果が一度限りのまぐれなのか、フィッシャーの「示さないことがめったにない」の基準に本当にかなうかどうかを明らかにしようとする。それが科学者の言う「再現性」である。ある結果が何度試行を繰り返しても再現されなかったら、科学は「ごめん」と言って引き下がる。再現という手順は、科学の免疫系と考えられ、新しく入ってきたものに群がり、科学の世界に属さないものを殺す。
     ともあれそれが理念だ。実際には、科学は少し免疫反応を抑制する。もちろん、再現が難しい実験がある。自分の研究が、四歳児について、満足を後回しにする能力を測定し、その結果を三十年後に生じる結果と関連づけるとすれば、おいそれとは再現できない。

  • まあまあかな

  • 700ページの本は、久しぶりだ。しかし、一気に読めた。
    ナンニチカカカッテイルケド

    「数学的思考」、「統計的思考」という授業を作ろうとしていて、どんな授業にするのがいいか、学生達にとって面白く、為になる、そういう授業を考案するのに役立つのじゃないかと思って読んだ本だ。

    たとえば、戦闘機に付いた砲弾の跡を統計処理し、もっとも弾痕が多かった先端部を保護するという判断。間違いじゃないが、もっとも有効ではない。もっとも有効だと判断されたのは、もっとも弾痕が少なかった部位だ。
    ...冒頭を飾るこの逸話は、データ収集範囲を意識することの重要性を物語っている。

    グラフの一部を切り取る危険については、砲弾の飛行軌跡が時間を短くすると直線に近づくという話が出てくる。これは、データ収集範囲の外側を推測するのは注意が必要だよという逸話だ。

    新聞だか雑誌だかに連載された記事をまとめた本だけあって、「データを正しく見る」ための物語が、数学者の活躍をちりばめた魅力的なストーリーとして語られたり、歴史的な事件と共に語られたりする。
    読者を引き込む術を、著者は持ち合わせているようだ。

    それにしても、700ページである。
    興味や知識をある程度持っている人向けの本だと思う。
    けれど、1つ、2つのストーリーを読んでみるのなら、ちょっとだけ興味が湧いた人にもお勧めできる。

  • 数学的な感覚を正しく磨こうという本だけど、さすが700ページはしんどい。

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