LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる

制作 : 篠田 真貴子(監訳) 
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822289003

感想・レビュー・書評

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  • 誰か1人の人と会って、じっくりその人の話だけを聴く時間はあっただろうか。
     聴くことは、アメリカ流の会話を仕切って、言いたいことだけを言い切る能力、素晴らしさに囚われて、もっと大事な人生に深みを持たせる会話、特に他人から聴くということを忘れていないか、という問い。ビジネスをやっていれば、聴く間にもう答えを出していないといけない、時間こそが最大の資産であり、それを余計な時間をかければそれだけ生産性が落ちる。だから、遮り、終着点に最短ルートで行く。会話し始めてすでに会話の終わりが見えたら、途中はすっ飛ばしてきた。あなたの話を聞いてくれるのは誰ですか?と聞かれて、うっとなる人が多い。実は、家族でさえも、本気で聞いてくれない。子供達にとっては、本当に切実な問題だが、妻と夫の関係もまた同じと言える。本書では、聴くふりとか、流して聞いているということ、携帯をたまにチラッと見ているのもまた、相手の話を聞いていないことを示している。
     話を遮る、言われた言葉に対して曖昧、筋の通らない反応、携帯や時計など話し手以外を見る、落ち着かない、といった反応がまさに聞き手になれないもっともやってはいけない行為。相手のことをわかっていると言う誤解、配偶者のことは一番わかっている、として喜ばれないプレゼントを渡してしまう。相手のことを知らない、理解したい、という考え方から会話すれば、聴くことが最もその近道であろう。聴きながら、自分の話にすり替えてしまうのも、大きな道を外す。もう一つは、ずらす反応。犬が好きなんだという話題に対して、自分は猫が好きでなぜなら、、、と言うふうにずらした上で自分の話をしてしまう。犬のどの辺が好きなの?と受け止めることが肝要と説く。
     アクティブリスニングは、相手の話が終わるまで唇を閉ざすことではなく、相手が言いたいことを積極的に考えて返すこと。つまり、非言語において理解可能な範囲でその背景などを考えて返すということ。そのとおり、という答えが返ってくるかがYesかどうかの境目になろう。聞き手に徹することを教わってこなかったから、攻め込むこと、話題を提供すること、で面白い人であり続けるのが自分らしさだと思っていたら、大きな勘違いだ。相手の視点に立つ、相手の視点を取り込むことは鍛錬で培うことが必要だ。相入れない考え方を、忍耐で受け止めるということも大事だ。攻撃されていると体が勝手に動いてしまう。
     内なる自分の声、という概念も新しい。自分で独り言を言うとき、それはポジティブなものが多いか、それともネガティブなものが多いか、考えてみる。内なる声は、時としてアドバイスをくれたりする。実は、これらは読書、他人との会話で培ったものが影響するらしいので、正しい内なる声を育むには、対話をすることが一番だ。
     そして、良い質問には、助言してあげよう、助けてあげよう、という概念がないことがポイントだ。それはどういうことなんだろうか、と言う風に考えてみた。困ってるんだよね、、、と言う言葉には、だからどうして欲しいという思いはない。壁打ち相手が欲しいだけだ。それにも関わらず、方法論をぶってみたりしても、意味がない。子供が嫌だと言う言葉に、じゃあ、こうしよう!と言う風に変えてしまうのは非常に良くない。なんでそう言うふうに思ったの?と聞くのが正だ。
     聴く相手は、自分が興味がある人、自分を抑え、言いたい人がほとんどの世の中で、聴きたい人になること。壮大な我慢比べに打ち勝った人だけが、強くなれる社会なのかもしれない。

  • 聞くことの重要性を語った本であり、ハウツー本ではない。それが自分の期待値とギャップを生んだので星3。内容を否定するものではない。
    ・日々のやりとりや活動の積み重ねが人を作る。過去を頼りにいまこの人を理解しようとしない。
    ・その人が自分に話を聞かせている理由を考える。
    ・ずらす対応ではなく、聞き出す対応をしたい。

  • 話を聞いている人ってほとんどいない。
    頭の中で違うことを考えたり、次の話す内容を考えたり。

  • 好奇心を持って相手の話日経新聞耳を傾けることが大事。

  • とにかく、聞くことが最高の知性であり、人生において大切なことが、様々な角度から語られている。全身全霊で聞くこととは何か、を頭に入れて実践あるのみ

  • 加藤紗也香  おすすめ
    33【一般】361.45-M

    ★ブックリストのコメント
    「聴くこと」の本質について考えさせられる一冊です。


  • ソーシャルメディアは、民主的です。
    なぜなら、誰かを通すことなく、編集されていない意見を、誰もが世の中に向かっ
    て発信できるからです。
    一方で、ソーシャルメディアは、非民主的でもあります。
    ─ 184ページ


    SNSは自分のタイミングで自分の意見を書けるし、気に入らない意見を視界から外すのも簡単だ。
    コミュニケーションの中心がSNSになって「聴く」という能力が劣化してしまったのではないかと思う。世間も俺も。


    人として成長する唯一の方法は、反対意見に耳を願けること
    ─ 194ページ

  • 多くの書籍にある小手先のテクニックではなく、「聴く」ことの大切さやメリットを多くの研究や経験に基づき、体系的に整理して書かれた書籍。約500ページのボリュームの多い書籍だけど、内容は多くの実例や調査結果などを用いて、とてもわかりやすく書かれているため、読みづらさは感じず、楽しく読めた。
    多くの書籍で書かれている「オウム返しや言い換え、要約」などは傾聴の本質ではなく、相手に関心、興味を持ち、学ぶ姿勢をもって心から「聴く」ことが重要で、一朝一夕で身につくものではない。ただ、努力して傾聴を身につけることで、自身の成長や周りからの信頼など膨大なメリットを得られる。
    自分も「聴く」力を鍛えたいと強く感じた。

  • 人の話を聴くことが、聞き手のためになる、という視点は今までなかった気がする。

  • 端的に言うと、惜しい。
    一つ一つの内容は、分かりやすいし共感できる。

    ただ、体系的にまとまっておらず、話が短発であり、短編集を読んでいるような感じであるため、何度か読み返さないと、理解は難しそう。

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著者プロフィール

ヒューストンを拠点に活動するジャーナリスト。ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、エコノミスト、AFP通信、テキサス・マンスリーなどで活躍。健康、テクノロジー、科学、デザイン、アート、航空、ビジネス、金融、ファッション、グルメ、旅行、不動産など、多岐にわたるトピックを執筆。特に人間関係や、人がなぜそのように行動するのかを、科学的にわかりやすく解説することに定評がある。

「2021年 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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