アマゾン銀行が誕生する日 2025年の次世代金融シナリオ

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822289669

作品紹介・あらすじ

次世代金融産業をめぐる戦いの構図と状況を明快に論じた待望の一冊!
テクノロジー企業vs既存金融機関の戦いを徹底分析

三大金融ディスラプター(アマゾン、アリババ、テンセント)は何を目論む?
「世界一のデジタルバンク」と称賛されるシンガポールDBS銀行は何がすごい?
逆襲する米国金融機関ゴールドマン・サックスとJPモルガンはどんな選択をした?
日本型金融ディスラプターとメガバンクとの対決の行方はどうなる?

本書は、次のような重要な問題意識に基づいて、新しい金融のあり方を問います。
①金融はもはや「Duplicate」(擬似的に創造)できる
②金融ディスラプター企業が金融を垂直統合してくる(既存金融機関よりも本来の「金融」機能を実現している)
③金融にも「当たり前」のことが求められてくる

「私は、物事の本質を考える際には、すでに使われている定義を見るのと同時に、大局的に宇宙からその物事が使われている様子を鳥瞰するようなつもりで、超長期かつ地球規模のスケール感で思考するようにしています。(中略)ここで重要なのは、先の項でも述べてきたように、人々の価値観が大きく変化しているなかで、「何が実際にお金として通用するのか」「どのような価値までお金に表象させるべきなのか」が潜在的に問い直されているということなのです」(最終章より)

感想・レビュー・書評

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  • 金融業界の目線でフィンテックを解説した1冊。事例だけでなく、ビジネスモデルの肝、今後の予測など網羅されている。
    アリババ、テンセントの先進的モデル。同様なことがすぐにでも実現可能なアマゾン。危機感を覚える金融業界のプレーヤーたち。中でもシンガポールのDBSは総力を挙げてデジタルバンクに自らを生まれ変わらせた。さて、邦銀はどうする?半沢直樹でスカッとした気分に浸らせてもらった後は厳しい現実が待っている。
    ユーザーとのタッチポイントの確保、レガシー資産をバイパスしオペレーションのコストを削減、さらにはブロックチェーン、AIを活用した新たなサービスの提供。こうしてみると金融業はこれから大変革の時代を迎えることになるわけだが、よく考えると、これは他の業界でも同じ技術を用いて、同じように起こりうること。5GやIoTといったネットワーク技術の活用も考えられるし、まさに大変革の時代ですね。

  • アマゾン銀行どうこうよりも、この本はGAFAとBATHを褒めちぎった本と言える。
    この本を読んで得るものは、GAFAとBATHがDXを加速して、すげぇだろくらいです。

    それよりも、金融界のサグラダファミリアと言えるみずほ銀行のATMシステムをどうにかして欲しいです。システムメンテナンス何回やってるんですか。

  • アマゾン銀行については2割くらいしか紙面が割かれておらず、2025年の金融シナリオがほとんどだった。
    筆者が言うように、金融機関(特に銀行)は、これまでほぼ顧客を無視していたので、今後勝者になるには、顧客との継続で良好な関係性を築いたプレイヤーだ、ということには大賛成。三菱よりSBIの方が数倍使いやすい。
    日頃仕事で国内の金融機関のお客様と相対することが多い(IT部門だけど)が、筆者の言うように日本の銀行が再度這い上がってくるという見方には否定的です。①減点主義の企業文化が変わってないので新しいことにチャンジできない②レガシシーシステムの負の遺産が大きすぎて、それを捨てることができず、新しい領域への投資ができない③前述①、②の文化で育った人たちなので人材がいない&優秀な技術者は行かない。
    都銀でそれなんだから、地銀はなおさら…レガシーを抱えて沈んでいくのでしょう。それにより日本は更に景気悪化、失業率上昇。嗚呼、明るい未来が見えない…

  • 私は現在金融機関勤めなので、次世代金融がどうのという話は好きです。そして大抵メガバンクなどの既存金融機関はダメな子扱いなので、悲しくなって本を閉じます。

    この本で繰り返し述べられているのは、次世代金融においてはカスタマーエクスペリエンス(=UX)が重視され、そのことから必然的に高密度な顧客接点を持つアマゾンなどのディスラプターが金融機能をDepulicate(複製)し、垂直統合していく、という主張です。
    個人的には規制当局の対応が焦点かと思っています。ディスラプターになんの規制も行わずに金融機能を委ねてしまうことは、当局及び中央銀行がコントロールできない部分をますます増やしてしまいますから。ただ、例えば日本の金融庁も、当局の役割として、「金融市場の安定と、その健全な発展」と挙げている通り、金融への新規参入に後ろ向きでいるだけでは後者の役割が果たせないため、何らかの緩和措置はとるかと思います。一方で日本はこの手の新技術導入のための措置(サンドボックスなどの)については、例えば民泊やライドシェアへの反応を見る限りでは苦手な印象があるので不安は残ります。

    加えて、シンガポールのDBS銀行の取り組みを例に、デジタルトランスフォーメーション(=DX)の何たるかを説明し、フロントのUIやシステムのみならず企業文化に至る骨の髄まで「デジタル化」できるか否かが、今後の既存金融機関の生き残りに大きな影響を与えるとしています。個人的にはDXというバズワードのイメージが掴めて良かったのではないかと思いました。名前がかっこよいので実態が伴わないまま(コンサルに薦められて)中期経営計画に盛り込む企業は後を立たないのだと思いますが、DBS銀行については今後も動向をウォッチしていこうかなと思いました。

    星は3にしていますが、次世代金融に係る着眼点を知ることができる良書かと思います。

  •  本書にある既存金融機関で仕事をしている身にとってみると、たいへん難しい課題を次から次へと投げつけられているような、そんな読み方になってくる。このような状況下、変われ変われと言われ続けて、定点にあるものはほぼ否定されて、動き続けることが正解だということなのだろう。ある一点からの変革によってたどりついた場所は即座に否定されるのである。
     そういう状況を鑑みると、本書に書かれていることもまた一寸先は闇とも言えるだろう。それぐらいの勢いで変われ変われの課題を投げつけられる。
     やはり本書を振り返ってみても思うことは、金融は手段なのだということなのである。手段が目的化した既存の金融機関にとって、その意識を変えることは非常に負荷が大きいことなのだが、そこをなんとかして金融の本筋に戻るしかない。
     顧客が経験価値として心から欲するところへ向かうしかあるまい。

  • 読みやすかった

  • 2021/5月現在、コロナウィルスは終息の目処は立っておらず、ロシアのウクライナ侵攻も依然として続いている。金融4.0の誕生で世の中はより過ごしやすくなる事を期待したい。

  • メガテック企業がいかにしてフィンテック分野に乗り出して既存企業を脅かしていくかを理解できた。
    Amazon、アリババ、テンセントは代表格。
    国内では楽天やLINEなどは個人とのスマホ上でのタッチポイントをフックにクレジットカードやQR決済で金融ビジネスをどんどん育てていってる。
    弊社でも盤石な法人顧客基盤を強みにSaaS型のプロダクトを敷き詰めて多分なデータを取っていく傍ら、カスタマーサイドのデータも獲得していき法人、個人共に金融ビジネスにも染み出して行くのかなと。プラットフォーマーの金融事業への染み出しが今後加速していく中で既存金融機関はどういう風に太刀打ちしていくのか。そしてフィンテック化していく本質にはカスタマーエクスペリエンスがあることをAmazonの例を基に理解できた。

  • タイトルはアマゾン銀行だが、メインは2025年の金融市場について

    GAFAおよび、テンセント(Wechat)、アリババの金融戦略
    (+日本のLINE、Yahoo/ソフトバンク、楽天、SBI)
    それに伴う既存金融機関の策略

    特に日本の金融機関(メガバンク3行)の生き残り方の遅れ
    旧態依然とした、銀行の経営路線では2050年には残ってないかもしれません。

  • アマゾン銀行というタイトルですが、金融業の将来について書かれた本といえます。
    とくにテクノロジーと金融が結びついて、金融ディスラプターとJPモルガンやみずほ、三菱UFJといった既存金融機関がどう変わっていこうとしているかもわかってよかったです。
    前作同様LINEとメルカリに関しては過大評価だと思う面はあるものの、国内外の金融関連の企業に投資をする人にもオススメしたい本です。

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著者プロフィール

立教大学ビジネススクール教授、戦略コンサルタント。Ridgelinez戦略アドバイザー。専門は企業・産業・技術・金融・経済等の戦略分析。日米欧の金融機関にも長年勤務。主な著作に『GAFA×BATH』(日経BP 日本経済新聞出版)、『2025年のデジタル資本主義』(NHK出版)など。テレビ東京WBSコメンテーター。日経新聞電子版Think!エキスパート。

「2023年 『HUMAN ∞ TRANSFORMATION』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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