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- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784827340464
感想・レビュー・書評
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ヤスパースの実存哲学にもとづいて、兼好、世阿弥、千利休、松尾芭蕉、本居宣長らの思想がもつ美学的意義について考察している本です。
著者は、兼好など日本の中世の思想家たちに見られる無常観を、ヤスパースの「限界状況」の概念によって理解することができると主張しています。実存は、自己にかかわるとともに超越者にかかわることにおいて実存であると著者はいい、そうした実存の意義にしたがって「幽玄」の形而上学的意義を明らかにするとともに、「幽玄」によって裏打ちされた「優美」という美意識を、さまざまな日本の思想家たちのテクストのなかに読み取っています。
ヤスパースの実存哲学と美学と日本の思想という三つのテーマをとりまとめるという壮大な構想にもとづく著作であり、ほんらい新書一冊に収まる内容ではないということはおそらく著者自身もわかっていたのでしょうが、やはりそれぞれのテーマのつながりが十分に論証されているとはいいがたいように感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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