幕末怪商伝 (時代小説文庫 37-2)

著者 :
  • KADOKAWA(富士見書房)
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829112663

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  • 幕末に日本で活動した商人スネル兄弟。
    なかなかマニアックな存在の2人を主役にした小説。とても面白かった。
    外国の商人は日本に何を求めてきていたのか、金と銀の価値が世界標準とだいぶ異なり、おかげでこの頃に日本から流出した金はかなりの額になると聞いた。
    そういったある意味のゴールドラッシュを目当てに、幕末の日本には外国商人がたくさん訪れたそうだ。同時期にはアメリカで南北戦争が起きている。
    イギリス、フランスなどのパワーゲームの影響も少なからず日本に及ぶ。
    スネル兄弟はグラバーなどと比べれば出遅れた外国商人だった。そのため薩長の側には食い込めず、奥羽越列藩同盟側の求めに応じて武器を供給した。
    ただ利益だけが欲しくて奥羽越に武器を売ったのなら、不思議な行動がある。
    兄のヘンリーは会津で平松武兵衛と名前をもらって武士になったりした。弟のエドワルドは寄席に通うほど日本語や日本文化に堪能になった。
    少なからず会津や長岡など旧徳川幕府側の武士たちの志に心を寄せた、ノスタルジックなロマンもあったのではないかと思う。
    この小説はそんな話。

    最近は入手困難になっているようで残念。
    再販してくれたら良いのに。

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著者プロフィール

高橋義夫

一九四五年千葉県船橋市生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒。月刊誌の編集者を経て、執筆活動に入る。『闇の葬列――広沢参議暗殺犯人捜査始末』『秘宝月山丸』『北緯50度に消ゆ』『風吹峠』で直木賞候補に。九二年「狼奉行」にて直木賞(第一〇六回)を受賞。著書に『御隠居忍法』シリーズ、『花輪大八湯守り日記』シリーズ、『けんか茶屋お蓮』シリーズ。ほかに、最上義光の生涯を描いた『さむらい道』、義光の妹・義姫の立場から伊達と最上両家の相剋を描いた『保春院義姫』など多数。

「2020年 『さむらい道(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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