未成年儀式 (Style-F)

著者 :
  • 富士見書房
3.13
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本棚登録 : 106
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829176825

感想・レビュー・書評

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  • 夏季休暇により居残る者が淘汰された女子寮、という設定にまず星3つ。
    ただ、少女たちの園に男性教師である神埼は無用やったなー。
    欲を言えば敵は女性教師の方が美しかったかな。
    キャラはそれぞれ立っているので、スピンオフが書けそう。
    気になる作家さんではあるので、他の作品も読みます。

  • 【内容】
    殺人事件+地震のダブルパンチを同じ寮内で迎え撃つことになった女子高生たちの、様々な思惑や記憶、葛藤を描く。

    【感想】

    女子高生たちの、主に負の感情が吐露された、生暖かい印象の作品。

    視点や時系列が行ったり来たりで、やや疲れた。

    ただ、この年代独特の、危うい世界観の雰囲気は出ていると思う。社会に出ると忘れてしまう、恥ずかしいような、イタイような…そんな世界が広がっていた。

  • 高校生の時期のなんていうのかデリケートな感じがすごくリアルだったです。白い家とはなにか考えながら読みました。

  • 「私たちは雪空のような、白い繭に守られている」
    という、cocoon(今日マチ子)の言葉を思い出しました

    繭はこわれ、少女たちは孵化していく
    煮殺されずに、生き残った
    百合は割れ、同性同士の 愛にも似たしがらみや憎しみ、殺意から解放されて、彼女たちはこの時間を慈しみながらも、もう二度と振り返ることはないのでしょうか
    ……寂しいぞ

  • 透明感のある文章がストライク。登場人物が多すぎて未整理だが、終盤のある台詞には心を射抜かれた。

  • 意外と引き込まれたぜ~。
    女子高生だからか 笑?

  • 夏休み、寮に残ったのはそれぞれ個性の強い5人の女子。とある日、2人の双子姉妹が寮に駆け込んできて、彼女たちは事件に巻き込まれていく。そしてさらに、怖ろしい地震が彼女たちを襲ってきて…
    という、序盤は登場人物の説明と次々起こる事件とで情報量が多く展開も速くて、パニック小説のようなノリでした。やがてひと段落すると(といっても災害のさなかですが)、少女たちの背景や謎も見えてきます。特に死んだ少女と親友とされていた少女のエピソードあたりは印象に残りました。こういうもうどうにもできない思い違いは、切ないばかりです。それを思えば、やりかえすことのできた主人公はまだ、幸せだったのかと。
    話の長さのわりには登場人物が多く、しかもみなワケアリだったりするので、人物を減らすか話を長くして人物描写を掘り下げたほうが終盤の一致団結していくくだりがもっとよくなったかなと思いました。それでも読み手をあきさせない、工夫がある書き方をされているなとは思いました。彼女、の引っ張り方とか、双子の間の緊張感とか使い方が巧いなと。双子は、あれは最後、どっちでも取れる書き方ですから、色々と想像が膨らみますね…。

  • 様々な物語がこれでもかと一本に詰め込まれてて大興奮でした

    七瀬の恋が切ない!
    亨くんがいい男すぎます
    話の本筋じゃないけどめっちゃいい

  • 夏休み。高校3年生の「渡辺七瀬」は実家に帰省せず光陵学院の女子寮に残ることに。他に残るのは、七瀬の友人「叶久美」、七瀬の後輩「伊吹薫」、バスケ部の元キャプテン「穂積あきら」、破滅願望を持つ少女「坂本海」――。
    もう二人、後に寮に逃げてくることになるのが双子の姉「果原実月」、妹の「日向」である。実は日向は実月を殺そうと思っており、自身が所属する部活動のレポート作成のために写真を撮りたいという口実を作って、ある山の中腹に連れだしていた。しかし、道路脇のプレハブ小屋で殺害現場を目撃した二人は女子寮に逃げ込むことに。同時に大地震が起こり、少女隊は寮に閉じ込められてしまった。危機的な状況で心の成長を遂げる7人の少女の物語。

    この作品なかなかアツいです。ちょっと意外でした。叶が七瀬に抱いていた感情とか、カーテンをつかって脱出する際に折り合いが悪かった薫を穂積が受けとめるシーンとか、ザ・青春でしたね。そしてそして、お姉ちゃん殺されなくてよかったよおおおうわああああん。妹が姉に負い目を感じたり、その逆パターンもあるけどさ、やっぱり姉妹仲良くしなきゃだめよと長男である僕は思った。

    印象的なのはやはり主人公「七瀬」の心情の変化ですかね。七瀬の信条は、世界から外れないこと。同年代の少女たちと過ごすことに楽しさを感じる一方で、気疲れもする。一定以上の本音をさらさず、日常生活を円滑に送るために適度な距離を保ってることがわかる。小説家になることを目指していて、文芸誌の主催するコンクールで佳作入選したことがあった。しかし、そのことを友人にネタにされると、自分の思いをアツく語ることはせず、「ただ、本を読んだり、書いたりするのが好きだから」程度で済ませてしまう。しかし、叶から自分に対して抱いていた思いを聞かされることで、彼女は変わる。カーテンで地上に降りる際には一番手を買って出て、心配する叶に向かって「未来のベストセラー作家に何ぬかす」とセリフを吐くのだ。「未来のベストセラー作家」という言葉は七瀬が叶から言われると舌打ちしたくなる言葉だった。それを自ら言うということは、彼女が自分自身の気持ちに正直になれたことを表わしてることになると思われる。本書の中で、僕はこのシーンが一番好きだ。どこか冷めてた七瀬が本音を言う、殻を破った瞬間。実に清々しい。幼馴染の亨(とおる)との恋(?)はどうなるのかしら。世の中のJKたち読んじゃいなよ。

  • 大きなアクシデントに見舞われた主人公たちが閉じ込められた建物の中で、襲撃者を躱しながら脱出手段と対処方法を探る。設定だけ見ると、ミステリというよりもまるでパニック映画。災害の規模のわりには外の様子がまったく掴めないあたり、低予算作品を髣髴とさせます。そこに各キャラの抱える悩みだったり、謎解き要素が入ってきたりで、どの方向性を目指しているのかがはっきりしないごった煮状態です。ただし、個々の要素に目を向けるとそれほど悪くなく、リリカルな文章とあの夏の情景が紡ぐ爽やかな青春群像劇として充分に読めました。

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著者プロフィール

山形県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。『未成年儀式』で富士見ヤングミステリー大賞に準入選し、2009年にデビュー(文庫化にあたり『少女は夏に閉ざされる』に改題)。他の著作に『ひぐらしふる』『夏の王国で目覚めない』『僕らの世界が終わる頃』『サクラオト』『思い出リバイバル』などがある。本作『向日葵を手折る』が第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門にノミネート。

「2023年 『向日葵を手折る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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