流行神 民間信仰におけるハヤリ・スタリとそのメカニズム (佛教大学研究叢書41)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784831862709

作品紹介・あらすじ

流行神はどのように現れるのか。近世から近現代に顕現したプロセスを寺社、地域、参拝者、歴史や民間信仰との関係等から解明する。
〈目次〉
序章
第一章 流行神研究史の回顧と課題
第一節 宮田登・伊藤唯真・桜井徳太郎
 第二節 鈴木岩弓と宮田登
 第三節 研究史から見える課題
第二章 流行りだす神仏―その構造と思想―
 はじめに
 第一節 民間信仰における流行神の位置づけ
 第二節 流行神の構造
 第三節 流行神の近世から近代、現代への展開
 小括 
第三章 近世「医療信仰」に見る流行神の展開過程
 はじめに
 第一節 『月堂見聞集』における山科妙見
 第二節 日親上人
 第三節 山科妙見の流行り
 小括
第四章 「金運」をめぐる流行神の顕現
 はじめに
 第一節 御金神社
 第二節 正法寺と三面大黒天
 第三節 銭洗弁天
 第四節 現代の流行神の特性
 小括
第五章 「縁結び」から見える現代の流行神
 はじめに
 第一節 東京大神宮とその流行
 第二節 流行る縁結びの神様
 第三節 流行神への群参
 第四節 流行神の顕現
 小括
第六章 民間信仰の盛衰の分岐についての考察
 はじめに
 第一節 願懸重宝記
 第二節 『京都神仏願懸重宝記』
 第三節 断絶を乗り越えた民間信仰
 第四節 京都の大規模神社における神仏分離と民間信仰
 第五節 洛中小社の神仏分離
 第六節 民間信仰の断絶と継続の分岐点
小括
終章―神仏の流行と民間信仰継続のメカニズム―
初出一覧
参考文献一覧
あとがき
索引

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  • 流行はどこからともなくやって来て、話題になり廃れていく。





    その中には一時的な熱狂にとどまらず、定着する場合もある。




    民間信仰の世界でも流行り廃りがある。




    以前行った京都市内にある御金神社。





    金色の鳥居が印象的な神社で、参拝したときも多くの人でにぎわっていた。







    流行神に見られる体系について著者は次の3点にまとめている。




    1.現実の秩序を補完、あるいは復旧させるカミ体系


    2.現実の秩序を破壊し、他の次元の信仰体系を志向するカミ体系


    3.現実の秩序とケース1、2との間隙を埋め、並立させるカミ体系





    御金神社に関しては、1に該当すると述べている。




    流行したのは、2006年正月にテレビで放映されたのがきっかけで一気に流行した。




    あのキンキラの鳥居がランドマークとなり、人々を引き付けるようになったのかな。




    今では神社自らも「京都の新名所」とアピールするまでなっている。




    神社も自社の存在をアピールして人を呼ばないといけない時代だな。




    2008年1月は、観光案内所で御金神社への問い合わせが殺到したとある。




    元をたどると意外なルーツがあった。




    それは明治15(1882)年、大阪の鍛冶師田中庄吉と妻が、金光教を布教するために開設した教会だった。




    しかし、田中庄吉は、金光教の言う「金神様」から、黒住教の教えを取り入れて、自らの教えである「金神様」を崇めるようになった。




    その後、国家神道への迎合を図り、明治16年に現在の場所で創建になったとある。




    金神(こんじん)とは何かと言うと民間信仰の1つで、人々の生活の中に根を下ろしている方位・非柄を司る神の一つであり、陰陽道その源流であると説明している。





    こんなルーツがあったとは初めて知った。





    「御金」がお金と読めるという語呂合わせと、金属の神ということからお金に結び付けられるようになり、金運のご利益アップにつながっていったと著者は述べている。





    メディアや書籍を見ると、「パワースポット」として神社を取り上げることが多い。





    ご利益を求める人々、人々が訪れることを求める神社、コバンザメとして乗っかりたいメディアや出版業界が絡み合った姿だな。




    それにしても世の中にはいろいろなことに興味を持つ人がいるなあと思う今日このごろだ。

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著者プロフィール

村田典生(むらたのりお)1967年、大阪府生まれ。1990年、立命館大学経済学部卒業、2013年、佛教大学大学院文学研究科博士後期課程(通信教育課程)修了。佛教大学非常勤講師。博士(文学)。おもな著書・論文に、『新・民俗学を学ぶ』(共著、2013年、昭和堂)、「死と向き合う民俗信仰―流行神とぽっくり信仰-」(『現代社会における宗教の力』、2018年、佛教大学総合研究所)など。

「2021年 『流行神』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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