流行神 民間信仰におけるハヤリ・スタリとそのメカニズム (佛教大学研究叢書41)

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  • 法蔵館 (2021年4月9日発売)
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流行はどこからともなくやって来て、話題になり廃れていく。





その中には一時的な熱狂にとどまらず、定着する場合もある。




民間信仰の世界でも流行り廃りがある。




以前行った京都市内にある御金神社。





金色の鳥居が印象的な神社で、参拝したときも多くの人でにぎわっていた。







流行神に見られる体系について著者は次の3点にまとめている。




1.現実の秩序を補完、あるいは復旧させるカミ体系


2.現実の秩序を破壊し、他の次元の信仰体系を志向するカミ体系


3.現実の秩序とケース1、2との間隙を埋め、並立させるカミ体系





御金神社に関しては、1に該当すると述べている。




流行したのは、2006年正月にテレビで放映されたのがきっかけで一気に流行した。




あのキンキラの鳥居がランドマークとなり、人々を引き付けるようになったのかな。




今では神社自らも「京都の新名所」とアピールするまでなっている。




神社も自社の存在をアピールして人を呼ばないといけない時代だな。




2008年1月は、観光案内所で御金神社への問い合わせが殺到したとある。




元をたどると意外なルーツがあった。




それは明治15(1882)年、大阪の鍛冶師田中庄吉と妻が、金光教を布教するために開設した教会だった。




しかし、田中庄吉は、金光教の言う「金神様」から、黒住教の教えを取り入れて、自らの教えである「金神様」を崇めるようになった。




その後、国家神道への迎合を図り、明治16年に現在の場所で創建になったとある。




金神(こんじん)とは何かと言うと民間信仰の1つで、人々の生活の中に根を下ろしている方位・非柄を司る神の一つであり、陰陽道その源流であると説明している。





こんなルーツがあったとは初めて知った。





「御金」がお金と読めるという語呂合わせと、金属の神ということからお金に結び付けられるようになり、金運のご利益アップにつながっていったと著者は述べている。





メディアや書籍を見ると、「パワースポット」として神社を取り上げることが多い。





ご利益を求める人々、人々が訪れることを求める神社、コバンザメとして乗っかりたいメディアや出版業界が絡み合った姿だな。




それにしても世の中にはいろいろなことに興味を持つ人がいるなあと思う今日このごろだ。

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感想投稿日 : 2024年3月23日
読了日 : 2024年3月23日
本棚登録日 : 2024年3月23日

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