松浦武四郎北の大地に立つ

著者 :
  • 北海道出版企画センター
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784832817036

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  • 今年は北海道と命名されて150年にあたり、武四郎生誕200年の年でもある。まだ未開であった蝦夷地を6度にわたり歩いた武四郎の手記から、著者がその足取りを追った。著者の写真も収められている。毎回の足取りを記した地図が織り込んであるのも素晴らしい。読みやすく、わかりやすく、かつ面白かった。
    案内役のアイヌの人々にも慕われ、尊敬された武四郎。和人に苦しめられるアイヌの人たちをなんとか救おうと、何度も上告したが叶わず、ついに役を退く。自分の記録を出版することで、蝦夷地の事情、和人の横暴、アイヌの人々の文化を知らせ続けた。
    著作には、実際に行っていないのに聞きづてに書いた場所もあるなどの批判もあるようだが、それは武四郎が誰にでも読めるよう、読み物として脚色したという意図があるようだ。そんな瑣末なことで、蝦夷地を隅々まで歩き、記録した武四郎の功績は揺るがない。北海道の地名の多くは、この時武四郎が聞き取ったアイヌの呼び名によっている。この偉業には、現地にいるアイヌの人たちの案内が欠かせなかった。武四郎は、アイヌの人々にもてなされ、行動するうち、文化や人柄に触れて心動かされ、尊敬し、感謝を欠かさなかった。北海道とは、アイヌの人々が蝦夷地に住む人であることを込めた意味がある。武四郎の思いが、今実を結びつつあると信じたい。

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著者プロフィール

一九三四年(昭和九年)、北海道空知郡上砂川町生まれ。北海道新聞社に入社し、事件を担当。在職中からノンフィクション作品を発表。退職後は札幌大学講師など。主な作品は『日本史の現場検証』(扶桑社)、『松浦武四郎 北の大地に立つ』(北海道出版企画センター)、『北の墓 歴史と人物を訪ねて』(柏艪舎)、『生還』(柏艪舎)など。1994年より道新文化センターでノンフィクション作家の養成塾、一道塾を主宰。札幌市在住。

「2022年 『小説を旅する 北海道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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