- Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
- / ISBN・EAN: 9784832968523
作品紹介・あらすじ
周りを海に囲まれた国境意識なき島国、日本。だがかつて陸にひかれた国境があったのをご存じだろうか。尖閣、竹島、北方領土。直面する様々な領土をめぐる困難。「固有の領土」って何? 北米、欧州、ユーラシアを旅する筆者が見た世界のボーダー・ストーリー!
感想・レビュー・書評
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「ボーダーフル」という題名に、少々首を傾げた。
「ボーダーレス」という表現は耳目に馴染んでいる。情報、資金、モノ、人が「国境を簡単に越える」というようなイメージの表現であると思う。そういう方向に世の中が変わって行っているというようなことで、「ボーダーレス」という表現は多用され続けて来た、そしてされ続けているように思う。
他方で「ボーダーフル」は「ボーダーレス」の“反対語”のような感であろうか?正直なところ本書の題名に掲げられていたことで、自身の中では「発見!」という程度に感じられた表現だ。
本書の著者は「ボーダー」という問題意識の下に研究活動を続けられているという方である。
「ボーダー」とは「境界」ということになる。「境界」という言い方をすれば、相当に広範なモノがそこに含まれることであろう。“国境”というようなモノ、都道府県や市町村の境というようなモノをとりあえず思い浮かべるが、例えば「禁煙の場所と喫煙可の場所との境」とか「御手洗の男性用と女性用との境」というのに至るまで、文学や哲学の世界に在りそうな異質なモノの交差する何事かのようなモノまで、「ボーダー」というモノは非常に幅が広いのだとは思う。
本書では「ボーダー」、殊に「国境」に光が当てられている。世界の様々な場所の「国境地域」を訪ねてみた紀行という要素の内容が多い。何れも、簡単に出掛けられるというような場所でもないので、なかなかに面白い。
そう言った「実に多様な“国境”というモノのイメージ」を提示した上で、国境を巡って国内で語られている事柄、そして「ボーダー」という問題意識で拡げ、深めている様々な活動、著者御自身の活動遍歴に関すること等が綴られている。
本書の中にも在ったが…人間は「自他を区別」ということで人間として在るのかもしれない。それは「境界」を意識することに他ならない。だからそれをハッキリさせておきながら、敷居は低くし、「境界」の双方に在る人達が互いに快適であることを図りたいというのが、本書の問題意識なのであろう。
最近は?“事情”により人の往来に関して色々な意味で制限が生じるような事例が在って、「境界」というようなことを、「意識するように無理強いされている??」という感もしないではない。そんな時世の故に、本書が酷く面白いように思った。
本書は九州の代表的な新聞に連載されていたモノをベースに纏めたということだが、その種のモノの例に洩れず非常に読み易い一冊になっていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:312.9A/I96s//K