テクストのモダン都市

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  • 風媒社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833131162

作品紹介・あらすじ

都市は迷宮であり、劇場だ。そこで人々は自らの物語を作り出し、物語を生きる。「郊外住宅/アパート」「電車/円タク/地下鉄」「デパート」「カフェー」「放送局」「競技場」「ダンスホール」。1920年代から30年代の、驚きと輝きに満ちたモダン都市で人々を魅きつけたトポスは、いかにしてテクストに織り込まれたのか。都市の表情と心性を活写し、その歴史的記憶をとじこめたテクストを読み解き、見慣れた都市のむこうに、未だ知られざる風景を鮮やかに探り出す。

感想・レビュー・書評

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  • 1999年刊。1920~1930年代の東京における都市のモダニティを「郊外住宅/アパート」「電車/円タク/地下鉄」「デパート」「カフェー」「放送局」「競技場」「ダンスホール」というトポスをキーとして、小説やエッセイ、詩、短歌といった文学テクストによって織り成された言語都市と感応させながらガイドしていく。
    文学者、芸術家と馴染み深かったと聞くカフェーについての章が、読んでいて煌煌しく感じられた。
    多分意図した構成なのだと思うが、後半に付置された「放送局」「競技場」「ダンスホール」とも、20年代から30年代前半にかけ発展し活況を呈しながら、30年代後半に向かって総力戦体制へと集束していく時局の中で、国策に絡め取られ或いは相応しくないものとして終息させられていく姿は、寂しく哀しいものがあった。
    なお、現代の古書目録について記した終章が個人的に一番面白かったのは、何だか申し訳ない気分になった。

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著者プロフィール

和田 博文(わだ・ひろふみ):1954年、横浜市生まれ。東京女子大学現代教養学部特任教授・東洋大学名誉教授。ロンドン大学SOAS、パリ第7大学、復旦大学大学院の客員研究員や客員教授を務めた。著書に『日本人美術館のパリ 1878-1942』(平凡社)、『三越 誕生!――帝国のデパートと近代化の夢』(筑摩選書)、『海の上の世界地図――欧州航路紀行史』(岩波書店)、『シベリア鉄道紀行史――アジアとヨーロッパを結ぶ旅』(筑摩選書、交通図書賞)、『資生堂という文化装置 1872-1945』(岩波書店)、『飛行の夢 1783-1945』(藤原書店)など、編著に『モダン東京 地図さんぽ』(風媒社)、『猫の文学館』Ⅰ・Ⅱ、『月の文学館』『星の文学館』『森の文学館』『石の文学館』(ちくま文庫)などがある。

「2024年 『漫画家が見た 百年前の西洋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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