キリンを作った男 マーケティングの天才・前田仁の生涯

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833424608

感想・レビュー・書評

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  • 何となくの直感でこの本は良さそうという
    感触がありましたが、まさにその通り。
    この本は、間違いなく"買い"の一冊です。

    キリンにいた伝説のマーケターの半生を
    当時のビール業界の競争を交えながら語った
    ノンフィクションなのですが、
    お酒を飲まない自分にもとても面白かったです。
    (お酒の銘柄は全然分かりませんでしたが…汗。)
    主人公の男気溢れる考え方がカッコ良過ぎます。
    というか、こんな人、大企業にもいるんですね。。
    唱和だからこそ存在したのかもしれませんが、
    読んでいて気持ちよくなるような本でした。

    もちろんマーケティングの勉強にもなります。
    真似するのは、中々難しいですが。。(笑)

  • ・「お客様は、予定調和的なものに魅力を感じませんが、あまり先を行き過ぎたものもダメです。手の届く幸せではありませんが、手の届く満足、手の届く憧れ、これがよく言われる『等身大の半歩先』です。しかし、半歩先も、『大衆と先端』の両方がわからないと落し処が分かりません。何時も先端に接している事が必要ですし、極端に言うと、先端の実感を掴むためには、あえて先端を商品化しないとわからないとも言えます。さじ加減を掴むと一口に言っても悩ましいところです。」

    ・成功体験が大きければ大きいほど、忘れられない記憶として我々の中に刷り込まれます。周囲の環境が変わっていても、どうしてもその体験を捨てきれないのです。そして、大きな失敗を犯してしまいます。成功体験と同様に、我々は多くの既成概念にも取り巻かれて生活しています。その既成概念も、所与の条件のように我々の思考と行動を支配します。それから抜け出すためにはどうしたらよいか。いつも自分の思考を真っさらにしておくことが必要です。」
    ・「自分の思考を真っさらにする」ため、前田は幅広くさまざまな人々と交流していた。

    ・「とにかく、いまはやれることをやりなさい」、危機に直面すると、その人の「本性」が現れるという。本当に深刻なトラブルに陥った時に、優秀な上司ほど、失敗した部下に感情をぶつけたりしないものだ。激怒したところで、トラブルが無くなるわけではない。冷静に善後策を講じる事こそ本来やるべきことだった。

  • 真に本質的なもの、お客様に喜ばれること、に忠実であることとは何か、を学べる生き様。自社の都合や競争関係から来る要素ではなく、お客様が今そして半歩先の未来に何を求めているか、それを直営店などで接点を常に持って感性として磨き続けることが大切。教養的なものも必要になってくるあたりが印象的。
    あと、稀代のマーケターが、ただ自分がすごい、ではなく、本質に対してチームを動かす統合者(インテグラー)であることも重要

  • 嫌味を言われたり争いになることを恐れていては縦割り組織は崩せないし問題点の解決はできない。勇気を持って他人の縄張りに口を出し、お節介を仕掛けることが求められる。 その際『越権』ではなく『越境』する感覚=『ちょっと境界線を跨ぐ』程度の感覚で相手の領域に入って行くと気持ちは全く楽になる。『ごめんなさい』と軽く言える軽さを持つことが必要。

  • 「一番搾り」をはじめとする今やキリンの定番商品を生んだのマーケターの評伝。
    以前読了していた、同時期のライバル、アサヒビールのマーケターのノンフィクション「奇跡のマーケティング 世紀の怪物・スーパードライはこうして生まれた」(原題「たかがビールされどビール―アサヒスーパードライ、18年目の真実」https://booklog.jp/item/1/4526055212 )と読み比べると、アサヒからすると不可解に見えていたキリンの動きは、キリンなりの必然性があったことがわかり、ドライビール戦争のアナザーサイドストーリーとして立体的に楽しめた。
    両者の成功に共通して言えるのは、生活者のニーズを真摯に受け止めること、それを数量的に把握すること。さらにマーケターのセンスと実行場面での度胸。
    一方で、両者ともスーパーヒット商品を生んだが故の「出る杭は打たれる」組織人の悲哀。ライバルでありながらも生活者ニーズでなく自社のメンツ、数量的でなく「空気」で動いていく組織のあり方まで瓜二つといえるのは、自らも組織人として大きく考えさせられた。

  • これもタイトルが気になって、手に取った本。

    ビール業界のガリバーだったキリン。しかしそんなキリンの現状に、不安を覚えた社員がいた。それが前田仁である。

    ハートランドという、キリンとは似ても似つかないプライベートブランドを立ち上げ成功を収めていく。

    そんな中、慢心のキリンはアサヒが放ったスーパードライに、足を取られる。

    打倒スーパードライの本命として前田仁さんは一番搾りを立ち上げるも、社内抗争に敗れ子会社へ出向する。そしてキリンは、迷走を始める。トップシェアから陥落し、暗黒の時代に入る。

    そこに救世主として出向先から呼び戻されたのが前田仁さんである。マーケティング部長として、次々にヒット商品を生み出していく。淡麗、淡麗グリーンラベル、氷結。 これらは、前田さんとその後輩によって生み出されたヒット作である。

    組織内での立ち位置、役割をどのように見るか?客観的に見てその本質を見定め、言うべきことは言う。会社という組織で働いているものにとっては、耳が痛い言葉ではあるが。そういう個人が会社を立て直すのかもしれない。会社に勤める人であれば、必読の書である。

  • 20230806

  • 前田さんの仕事に取り組む姿勢やお客様の意識と実際の味の好みのズレをお客様理解として認識してヒット商品を生み出す等、とても参考になりました。
    また、キリンビール社内の人事争いやアサヒビールとの争いなど、興味深く読まさせていただきました。

  • のどごしが発売になる時、
    キリンの新川の本社で開かれたイベントに参加したことを、思い出しました。

    自分の仕事に対する姿勢を問われているような感覚で読み進めました。
    いい本。良い人前田さん。

  • 一番搾りや氷結など、数多くのキリンの看板商品を生み出した人。その目の付け所、嗅覚は持って生まれたものなのだろうか?何か自分の社会人人生に生かせるものはないかと読み進めたが、あまりにも自分と違いすぎる。もし身近にいても容易に近づけなかったかもしれない。

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著者プロフィール

1958年群馬県生まれ。明治大学経営学部卒。東京タイムス記者を経て、フリージャーナリスト。著書には『究極にうまいクラフトビールをつくる』(新潮社)、『ビール15年戦争』『ビール最終戦争』『サントリー対キリン』『人事と出世の方程式』(日本経済新聞出版)『国産エコ技術の突破力!』(技術評論社)『敗れざるサラリーマンたち』(講談社)『一身上の都合』(SBクリエイティブ)『現場力』(PHP研究所)など多数。

「2023年 『日本のビールは世界一うまい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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