正吉とヤギ (福音館創作童話シリーズ)

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  • 福音館書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834086195

作品紹介・あらすじ

ある南の小さな島に暮らす6才の正吉の家に、生まれてまもない子ヤギがやってきます。長いまつげに、真っ黒なやさしい目。白くむくむくした元気な男の子です。「おれのヤギだ! おれのヤギ!」。大喜びの正吉は、小屋をつくったり草原に連れていったり……。おじいやおばあに見守られながら幸せな時間がゆっくりと流れていきます。けれども、ある日、島の沖合で轟音が響き、たくさんの黒い軍艦が現れます。太平洋戦争末期の沖縄が舞台の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ベスト 『正吉とヤギ』 | 教文館ナルニア国(2021年6月16日)
    https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/weblog/31486

    戦後76年をむかえるこの夏、ぜひ読んでほしい作品。『正吉とヤギ』|ふくふく本棚|福音館書店公式Webマガジン(2021.6.23)
    https://www.fukuinkan.co.jp/blog/detail/?id=498

    正吉とヤギ|福音館書店
    https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=6900

  • 手に取る機会があって読みました。

    6歳の正吉は、南の小さな島で、おじいとおばあと暮らしている。
    父さんと兄ちゃんはセンソウへ行き、母さんは大きな島へ働きに行っているからだ。
    ある日、正吉はおじいから一匹の子ヤギをもらった。

    救われない。
    戦争とはそういうものだけど。
    たしかに最期が強制終了っぽく、電源をバチンと落とされる感じ。
    小学校中学年が書いたような、淡々とした日記のような。
    おじいとおばあとの生活の描写は良かったです。

  • せつなーーーーー!!!
    名前を付けないヤギ。つけてはいけないヤギ。
    ほのぼのとした表紙とヤギにつられて、読んでみた。
    戦争の話やん。せつなかった。

  • 表紙が良い。水色の空、黄緑色の大地に立った白い子ヤギ。子ヤギはつぶらな瞳で誰かを見ている。読み終えて改めて表紙を見ると、副題?が書いてある。THE LAST WONDERFUL DAYS この言葉が沁みる。

    南の小さな島で、おじいとおばあと暮らす6歳の正吉(ショウキチ)。正吉の父さんは戦争に、母さんは大きな島にあるかつおぶし工場に働きに、兄さんは大きな島にセンソウの手伝いに行っていて家にはいない。おじいが子ヤギをもらってきて、正吉のヤギだとうでにのせてくれた。
    それから、正吉とヤギの生活が始まる。
    穏やかでほほえましい正吉とヤギの生活が描かれる。しかし戦時中である。予想だにしない急展開のラストをむかえる。おばあの「子どもがセンソウに行くなんて、まちがってるよ。どうしちまったのかねー」の言葉が辛い。

    ロシアとウクライナのセンソウが早く終わる事を願う。

  • 「ある南の小さな島に暮らす6才の正吉の家に、生まれてまもない子ヤギがやってきます。長いまつげに、真っ黒なやさしい目。白くむくむくした元気な男の子です。「おれのヤギだ! おれのヤギ!」。大喜びの正吉は、小屋をつくったり草原に連れていったり……。おじいやおばあに見守られながら幸せな時間がゆっくりと流れていきます。けれども、ある日、島の沖合で轟音が響き、たくさんの黒い軍艦が現れます。太平洋戦争末期の沖縄が舞台の物語。」

  • 終わり方が最悪。子供に何を伝えようとしているのかわからない。

  • 戦争中の沖縄の島を舞台に、正吉という少年の日常を描く。
    ある日おじいがこどものヤギをもらってくる。正吉は熱心に面倒をみる。正吉は飼い主のつもりでいるが、ヤギはそうは思っていない。ヤギと正吉の友情のような交流は微笑ましい。
    先日読んだ『カヨとわたし』にも、ヤギが頭を下げて突進してくるって書いてあった。ヤギの描写がリアルで(と思うのはカヨを読んだからだけど)塩野さんもちゃんとヤギのことわかって書いているなあと思った。
    おじいとおばあはいるが、正吉の父は出征しているし、母も兄も戦争準備に駆り出されて別の島にいる。ヤギだって、いずれは肉になることを島の子どもはわかっているので名前はつけない。そんなさびしさや不安はあるものの、毎日はのんびり過ぎていく。
    大人なので、これは悲しい結末になるだろうと予測できるが、子どもの読者はショックを受けるだろう。
    子どもはのどかな日常の描写をちょっと退屈と思うかもしれない。
    しかし、のどかで退屈で、取り立てて大きな事件はない日常が人間には貴重なもので、それを一瞬にして奪うのが戦争であるということを最後に知ることになる。
    夏に読む本としてすすめたい。

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著者プロフィール

1947年秋田県角館町(現仙北市)生まれ。作家。東京理科大学理学部応用化学科卒業。アウトドア雑誌の編集に携わるかたわら執筆活動に入る。小説で芥川賞候補4回ノミネート。『木のいのち木のこころ』『失われた手仕事の思想』『手業に学べ』『大黒柱に刻まれた家族の百年』など、聞き書きによる著書を多く著す。2003年に絵本『なつのいけ』(絵・村上康成)で日本絵本賞大賞受賞。1950~60年頃の子どもたちの生活を描いた絵本『おじいちゃんの小さかったとき』(絵・松岡達英)がある。他に『正吉とやぎ』など。

「2022年 『少年時代 飛行機雲はるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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