すてきなタータンチェック (たくさんのふしぎ傑作集)

著者 :
  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834086270

作品紹介・あらすじ

タータンチェックのドラマチックな歴史、ファッション、そしてその定義。最初からお終いまでタータンチェックづくしの絵本です。おしゃれに目覚める小学生の子どもたちに、古今東西の人々が夢中になった、このすてきなチェック柄をご紹介します! スコットランド、イングランドといった英国はもちろん、日本、カナダのプリンス・エドワード島も登場。タータンチェックをめぐって世界を旅するような1冊です。

感想・レビュー・書評

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  • すてきな絵本!
    表紙とテーマに惹かれ手に取ったが、最終的にイラスト(時々写真)の美しさに視線を持って行かれた。イラストを眺めるだけで各ページ3分は要していたんじゃないかと思う。

    元は小学3年生向けの月刊誌『たくさんのふしぎ』の記事で、言葉選びも教科書みたいに易しかった。(そりゃそうか) 初耳の箇所も多く、大人も充分楽しめる内容となっている。

    幼少期からチェック柄、とりわけ「タータン・チェック」(以下、タータン。「タータン・チェック」呼びするのは日本だけらしい)が大好きだった著者。カナダ留学で出逢ったある布地を皮切りにタータンの起源を探る旅が始まる。
    タータンをはじめ、ゆかりの地などの風景画を担当されたのはメンズ・ファッションの服飾デザインも手がける穂積和夫氏。彼の温かみのあるイラストが加わり、文字通り美しく彩られた旅であった。

    著者の旅はカナダに始まり、スコットランドがエディンバラ、タータン発祥の地と言われるハイランド地方(高地地方)、最後は日本に帰着する。
    タータンの定義は、①2色以上の色糸を使い、それらの糸が直角に交わるチェック柄であること②縦糸と横糸の色・数が同じで基本パターンが繰り返されることの2つとされる。
    スコットランドの一族間にも家紋のようにそれぞれのタータンが定められているが、商用目的として無断で彼らのタータンが使用され、出回ることもあったらしい…。

    制作方法としては、基本的に学生服やデニム製品と同じ綾織りという手法で織られる。16世紀に誕生したといわれ、素材の種類も麻→羊毛→化学繊維と時代を経て多様になっていった。
    著者が訪れた時のエディンバラでは、布地単体を売るお店は少なくタータン工場や直営の土産店でしか手に入らなかったという。ちなみに…と言ってはあれだが、工場で働くおじさんのイラストが『くまのプーさん』の原画みたいで可愛らしかった。

    先程タータンの無断使用について少し触れたが、タータンと一口に言っても王室や一族、果ては企業独自のデザインがある。
    更に民間にはタータン協会なるものが存在し、独自のタータンを作りたければそこに申請しないといけない。実際伊勢丹のタータン(紙袋でお馴染み!)も「マクミラン・イセタン」の名前でそこに登録されている。
    ところで自分の中でタータンと言うと、バーバリーのチェック柄を思い浮かべるのだが、やはりあれも協会に登録されたものなんだろうか…?

    元はと言えば織り物なのに、プリントされたものを見慣れているせいでその事実を忘れかけていた。
    そして、こんなにも美しい旅にいち早く乗り出せた小さい読者たちを羨ましく思う。彼らには最後、著者と穂積氏からのすてきなサプライズも用意されているのだから。

  • ごく身近にあるタータン(タータンチェックという呼び方は日本特有で正式にはタータンというとのこと)の歴史をわかりやすく解説。いつか、ぜひ本場スコットランドに行ってみたいです!

  • 知らない情報が沢山!
    イギリスをイギリスと呼ぶのは日本だけというのもまたびっくり。
    色んなタータンが紹介されているから、子ども達とどのタータンが好きかって話をするのも楽しかった。

  • ブクログレビューを拝見して読んでみたくなり、図書館に蔵書があったので借りた。

    へ〜!へ〜!へ〜!ということばかり。
    (さすがに私はUKの構成は知っているが、本書は元々小学生向けの物であったようで、そこも詳しく説明されている)

    順を追って、微に入り細に入り、とてもわかりやすく書かれている。
    勉強になったし、面白かった。

  • 秋になると着たくなる、チェック(格子柄)。
    マフラー、スヌード、スカート、靴下、靴…。
    合わせるのが楽しい。
    いろいろなチェック柄があるんだなぁと思わせるのが3ページの一覧。
    赤を基調としたタータンチェックは既視感。
    これ、うちのお弁当包んでるハンカチだ!

    「タータンチェック」なんて言葉がないなんて知らなかった。
    和製英語だそうで、本場では、「タータン」。
    登録制をとっていて、伊勢丹のタータンは登録してあることは知っていたけれど、ハローキティのタータンも登録してあるなんて!

    写真と絵がふんだんに使われていることは、幼い頃私が好きだった「たくさんのふしぎ」と変わっていない。
    歴史や文化を伝えながら、未来に繋げていこうとするこのシリーズは、小学生だけに読ませていては勿体無い!
    もちろん大人向けには、著者、共著者の別の本があるのだけど、
    ワクワクする体験への入り口としては本当に素晴らしくて。
    傑作集という言葉に偽りなし! 

  • 〇タータン歴史紀行。イラストのタータン!
    〇3年生のためのオリジナルタータン!すてき。

    チェックには、種類がある。
    タータン・チェック
    …日本での呼び名。海外ではタータン。
    『赤毛のアン』
    …プリンス・エドワード島タータン
     島の赤土を表す赤褐色、牧草地の緑、島を囲む海の波しぶきの白、太陽の金色

    イギリス
    …北アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イングランドの連合王国

    タータンはスコットランドの衣装と柄に関係ある。
    タータンは織物。綾織り。
    16世紀頃に名前が定着
    フランスの古語で「麻と毛を混ぜて織った布」
    1:2色以上の色糸を使い、それらが直角に交わるチェック柄であること
    2:たて糸とよこ糸に使う糸の色と数が同じで、基本パターンが繰り返されること(上下左右対称模様になる)
    …私たちはいつでもタータンの柄を見分けられる!

    キルトは衣装。
    発祥の地:ハイランド地方

    タータンはイングランドにとって、“野蛮で勇猛、危険なハイランド兵士”の象徴
    →プレード

    グレート・ブリテン王国時代 1707~
    スコットランド王家が追い出され反乱が繰り返される 
    1746 タータンの禁止(他、ゲール語、バグパイプ、プレード、キルト)
     ただし、戦士のみタータンが許された
    1782 禁止令が解かれる
     ジョージ四世のスコットランド訪問時に各家のタータン柄が決まった
    1837~ ヴィクトリア女王
     王室一家のスコットランド好き
     タータンがイギリス国民にひろがり、やがて世界に

    スコットランド・タータン登記所
    ディストリクト・タータン
    クラン・タータン
    ロイヤル・タータン
    ミリタリー・タータン
    コーポレート・タータン(ハローキティ、神戸タータンも!)

  • 小さいころから「チェック柄」が好きだった著者
    留学先のカナダで「プリンス・エドワード島・タータン」と名付けられた州の“公式タータン”に出会い、タータンについて調べ始める

    スコットランドの工場や博物館を訪ね、“イギリス”の地理と歴史をひもとき、タータンの歴史、定義からファッションまで、その魅力をたっぷり紹介する

    巻末には〈読者のみなさん〉をテーマにイメージ、デザインした「たくさんのふしぎオリジナルタータン」が織りあげられている(マフラー、スカートなど商品化を期待!)

    初出は月刊「たくさんのふしぎ」2018年9月
    本書は「傑作集」として2021年9月刊

    ひとくちメモ1
    「タータン・チェック」と呼ぶのは日本だけで、ふつうは「タータン」という

    ひとくちメモ2
    タータンの柄には「エディンバラ」「ロイヤル・スチュアート」「ブラック・ウォッチ」などの名がついている(伊勢丹の緑・赤・黄の包装紙は「マクミラン・イセタン」

    ひとくちメモ3
    「スコットランド・タータン登記所」には毎年7000種類以上のタータンの柄が登録されている

  • 単なるオシャレな本ではなく、スコットランドでタータン禁止令が出され、その後どのように復権したかも書かれていて意外と勉強になった。

  • 「タータンチェックをめぐって世界を旅しよう

    タータンチェックのドラマチックな歴史、ファッション、そしてその定義。最初からお終いまでタータンチェックづくしの絵本です。おしゃれに目覚める小学生の子どもたちに、古今東西の人々が夢中になった、このすてきなチェック柄をご紹介します! スコットランド、イングランドといった英国はもちろん、日本、カナダのプリンス・エドワード島も登場。タータンチェックをめぐって世界を旅するような1冊です。」

  • 縦横が同じだから色の出方が複雑になる、基本綾織り、実はそんなに古くない、へえーと思うことたくさん。伊勢丹のタータンが出ていたのはちょっとうれしかった。

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著者プロフィール

奥田実紀 宮城県仙台市生まれ。コピーライター、編集者をへてフリーライターに。1992~93年、小説『赤毛のアン』の舞台となった、カナダのプリンス・エドワード島に、小さい頃からの夢を果たし滞在。その体験をもとに書籍を出版、雑誌記事も執筆。新聞・ラジオ出演、カルチャーセンター等での講演会も行なう。タータンの著書に『タータンチェックの文化史』(白水社)『スコットランドタータンチェック紀行』(産業編集センター)『図説 タータンチェックの歴史』(河出書房新社)がある。

「2021年 『すてきなタータンチェック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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